第二章では、改めて西方における初期キリスト教思想から中世神学・スコラ哲学までを代表的な神学者とともに解説する。
初期にはテルトゥリアヌス、アウグスティヌス、アンセルムスなど。
13世紀にはアリストテレス哲学が流入し、アルベルトゥス、トマス・アクィナス、ドゥンス・スコトゥス、ロジャー・ベーコン等が登場。
14世紀にはオッカムやビュリダンといった人たちの思想の中に科学的思考の萌芽が見られる。一方でエックハルトのような神秘主義者も出てくる。
他にも自分は名前を見たこともない多くの神学者・思想家が紹介されている。そして結びでは八木雄二『中世哲学の正体』と同様に「中世とは暗黒の時代ではない」ことが強調されている。
第三章は「近代の葛藤の誕生」と題して、ルネサンスと人文主義(ユマニスム)、宗教改革(ルター、ツヴィングリ、カルヴァン)、
近代科学の誕生(クザーヌス、コペルニクス、ケプラー、ガリレオ、ニュートン)と続く。
さらに近代哲学の、デカルト、ライプニッツ、パスカル、スピノザといった人たちのキリスト教思想を検討する。
これらの近代哲学者にしろニュートンのような科学者にしろ皆キリスト教徒であった。
18世紀にはヴォルテールらの啓蒙思想の登場でキリスト教思想は縮小し、また、ロックらによって理神論あるいは自然宗教に引き戻されていった。
カントに関しては、キリスト教の合理主義化の到達点だと著者は評している。またルソーは市民的宗教の思想を抱き、市民革命を予見した。