「公用語」は日本語だけ? 外国人1割超の時代に
日経新聞 (2023年7月)

2023年の日本の外国人割合は2.4%だが、2067年の日本で暮らす外国人は人口の1割を超す。40年ほどで今の4倍になり欧米並みになる

15歳〜65歳の現役世代に限れば、25年後の2048年には外国人が人口の1割を超し、少子化で前倒しもあり得る

学校や職場や地域で様々な言語が交わされ、日本語だけが「公用語」ではいられない。日本人の親を持つ日本生まれが前提の社会は早急に転換を迫られている
現役世代が中心を占める職場では、外国人がいることが普通になるからだ

ITセキュリティの某日本企業は、従業員の約2割を外国籍が占める。国内のエンジニア不足に悩み、12年頃から優秀な人材を世界中から集めている
日本語力は求めない。16年に「英語を社内公用語」と定め、打ち合わせでは外国籍の人が一人でもいれば英語を使う。社内のTOEIC平均スコアは14年の495点から22年は800点に上昇。日本人の方が変わらなければと英語に取り組んだ。
小椋社長は「多国籍社員が前提の会社にするためには10年単位の時間がかかる。それを見越して多言語社会・英語教育を進めるべきだ」

ドイツでは2000年頃に移民の割合が10%を超え、移民法を改正して積極的に受け入れた。600時間ものドイツ語を学べる授業を提供し、文化や社会を理解するためのオリエンテーションも設けている

人手不足が深刻化する日本は、移民受け入れ拡大に舵を切った。製造業などの現場で働くための在留資格「特定技能」では、期間に上限がなく家族帯同も可能な「2号」の対象を大幅に拡大し、全分野で長期就労を可能にした。定住・永住外国人は今後も増える

移民の誰もが一定水準以上の日本語を身に付けられるよう、学習機会を全国で提供する。高度な日本語は求めず、相手の言語も交えて意思疏通を図る。学校や行政などでは翻訳機を多数備えるなどの対応が必要だ


外国人国籍別ランキング(2023年)
1位中国、2位ベトナム、3位韓国、4位フィリピン、5位ブラジル、6位ネパール、7位インドネシア、8位ミャンマー、9位アメリカ、10位台湾…
総数 約322万人