数物学者が自然の全てを数式で記述することに執着するように、
文学者は己の情動や世の理を文章という形にしなければ気が済まない。

数物学者が美しい定理によって世界を秩序だてることに無上の悦びを見出だすように、
文学者はその体内にわだかまるものを美しく書きあらわしたとき、はじめて自己と世界とを混沌の暗闇から救い上げることができる。