学校の廊下

学校の廊下の壁に貼り出された一覧表を見ていた。
校内模試の順位だ。
もちろん俺の名前は上位30名には入っていない。
巧人(たくと)って言う名前はずっとずっと下だ。

5位、笹倉 結依(ささくら ゆい)。それが彼女の名前だった。
結依はいつもあんな感じなのになぜか勉強はよくできた。
「あいつ、やってなさそうで勉強してるんだよな〜塾も行かないのに」

「ふーん、やっぱ悔しいんだ」
声に気がついて振り向いたら結依がいた。手を前に差し出している。
「おい、無言で背後に近づくなよ」
「そんなことより早く自転車の鍵」
「今度は何忘れたんだ?」
「体操服」
俺は一瞬、白い足にぴちぴちの短パン姿を思い浮かべた。

「あっ、また変なこと考えてる」
「ち、違う」
「嘘、鼻の下伸びてる」
「え?」
俺は口元を押さえた。

「バーカ嘘よ」彼女は冷たく言い放った。
俺は自転車の鍵を投げてよこして
「ぱ、パンクさせんじゃねーぞ、昼休み中に戻ってこいよ」
「りょーかい」
そして結依は走り去って行った。