オカルトでも怖い話でもないんですが。落ちとかもありませんです。

就職したてのころ、一軒家の二階を間借りしていたことがあります。
不動産屋さんに案内されて初めて物件をみた時、特に変わった様子もありませんでした。
ただ、所々の壁に黒いシミ?のようなものが付いていて、そのせいで建物全体がくすん
で見えるんだろうと思いました。

一階には大家さんの家族が住んでいました。
大家さんは神経質そうなおじさんで、家賃は振り込みではなく、毎月直接持ってくる
ように、とのことでした。
大家さん一家は、おじさんと奥さん、中学生か高校生くらいの娘さんの三人だったと
思います。
奥さんは時々駅前のスーパーで見かけたことがあり、随分痩せた人だという印象でし
た。おじさんは目つきが鋭く、猛禽みたいな顔。娘さんの姿は見たことがありません
でしたが、一緒に住んでいることは確かでした。
なぜ娘さんがいることが分かったかというと、毎晩のように娘さんが暴れるからです。
大体夜の八時過ぎくらいになると、下から金切り声がして、ドスン、ドスンと壁か
床を叩く音。木造の古い建物だったので、結構揺れるんですよね。
はっきりとは聞こえませんでしたが、
「・・・てしまえ!死ねよ!どうしてくれるんだよ!」
といった感じの言葉を、半狂乱状態で叫んで暴れるんですよ。
最初はびっくりしましたが、暫くすると慣れました。
私も残業とか飲み会で夜遅くなることが多くて、娘さんが暴れる時間帯にあまり部屋
に居なかったこともあります。