0001名無し物書き@推敲中?
2017/01/26(木) 06:19:13.17不幸にも、そんな時代に生まれ育ってきた1人の少年がいた。彼の名は、テレマウ・ク
アイサ。暗黒の時代と呼ばれる現代で比較的安全で治安のいい町、ラフテルに住む15歳の
少年だ。
クアイサは今、同い年ほどの少年達3人から虐めを受けていた。
「早く金よこせっての!」
うずくまるクアイサに蹴りを入れる虐めっ子のリーダー、パンダ・ジョン。
「無理ー! これ買い物に必要な金!」
うずくまりながら、そう必死に訴えるクアイサ。
「俺達が使ってやるっての!」
「ほら渡せ!」
次々と虐めっ子3人から蹴りを浴びせられるクアイサ。しかし、どんなに痛めつけられ
ようと、握り締めたお札だけは決して放さなかった。
「何が安全安心の町ラフテルだ……」とクアイサが心の中で皮肉る。
安全安心の町、ラフテル。間違ってはいない。首都から大分離れているお陰もあり、凶
悪組織であるガバンの手が届き難いのだ。そのため、ラフテルだけでの治安維持が成り立
ち、犯罪発生率も低くなっている。しかし、いくら町の治安がよくとも、今は力が物を言
う暗黒の時代。治安部隊の目の届かない所では、今もこうして日常的に犯罪が横行してい
るのだ。
「こいつしぶといな。なあ、魔与(まよ)でとっとと終わらせようぜ」
「そうだな」
仲間の提案を聞き入れたジョンは、魔与と呼ばれる特殊な力を使って、クアイサを宙に
浮かせ始めた。
「何する気だよ……? やめろよ……」
「大人しく金渡してれば痛い目見ずに済んだのにな」
「…………」
楽しそうに話すジョンを見て、クアイサは恐怖する。