書いている途中の冒頭だけ晒します
酷評お願いします


 心地よい風と暖かい太陽の光を浴びながら、子守唄のような教師の声を聞いていると、徐々に瞼が重くなっていく。読みかけの漫画を読もうか、音楽を聞こうか……。
何をしてもばれることはない。窓際の一番後ろの席ってのはそういうもの。教室でこれ以上にいい場所なんて無いだろう。一番前に偉そうに立って騒いでいる教師が俺を見ることも無い。
俺は自分の運の良さをほめてあげたいね。
 それだけなら、ああ、今年で高校生活も終わりだなんてしんみりするんだけど、三年の最後に、悲劇は起こった。というか、起きている。俺がここの席に着いたときから、その悲劇は現在進行形で起きている。
 時計の針が昼に近づくと同時に、心地よい風と暖かい太陽の光をかき消しながら、蒸気が俺のところまで侵略しに来る。貧乏ゆすりによる床を叩きつけるような小さな音が何回も聞こえる。
息が荒い。うるさい。暑い。面倒くさい。
 どれだけ食ったらそんな体になるんだ? と質問したい。首は存在しない。贅肉が何重にも重なり、学生服が悲鳴を挙げるかのように軋んでいる。性別が男というのがせめてもの救いか。
その男の周りの景色が、熱気のせいで歪んでいる。こいつが気になって、授業どころじゃない。いや、いつも授業どころじゃないけど。
 名前を二山裕太という。しかしクラスメイトからは、その体を揶揄するように豚山ブウ太と呼ばれている。豚山は、三年も半分を過ぎようとしていた二学期の終盤に転校してきた。
学校生活には熱心に取り組んでいるようだ。ノートが汗で湿っている。