>>310 >>337
書き直しぞ。また忌憚なく酷評してくれ。



ラスト百メートル、煮え滾るような熱く白い息を吐きながらラストスパートで六人をごぼう抜きにして、ゴール線を駆け抜ける。ゴール寸前、藤波の背後に迫る者の影があった。
背後に誰かついてきている。藤波は、前方の者たちを追い抜きながら、背後に迫る者の息遣いを感じていた。誰にも追い抜かれまいとする強い意志が藤波の身体を更に前へと押しだしていた。

ゴール線に入ると、生徒たちは地面にへたれこむ。教員である大人たちは、そんな先生たちの腕を掴んで、起き上がらせて、生徒にそれぞれ順位を記した紙を渡す。
生徒たちは手を腰に当てて乱れた息を整えながら歩き出し、先生の指示に従って、ゴールを駆け抜けた順に並ばされる。
銀杏並木広がる晩冬の末広公園で藤波は肩で息をしながら、もうすでにゴールしている生徒たちの列に辿り着くと、崩れるように倒れこんだ。
藤波の順位は六位であった。三学年の男子の総人数は百三人。最後の力を振り絞って、前を走る生徒を最後の最後で追い抜いていった藤波にようやく充実した気持ちが芽生えてきた。
藤波は燃えるように熱い上体を起こし、体育座りをする。その背後でポンと肩をひとつ叩くものがいた。
「藤波君はどうして最後あんなに思いっきり走れるの?」同じクラスの級友星崎が言った。星崎の持っていた紙には7位とある。
藤波は、まだ息が整わずハアハアと息を吐いていたが、やがて咳払いをしてから「五位以内に入りたかったから」と乱れた息のまま一言発した。