それから他愛もない話が続き、終わった。僕は前述したように、女性に対して臆病になっているが、文字上なら話は別だ。
積極的な男を演じることができる。だから一つ約束をした。次の木曜日、診察待ちの間に食事に行きませんか? と――

 土曜日に友人のAがやってきたので、真里さんとの一部始終を説明した。するとLは少し興奮気味に、
「向こうから来たんだろ? だったら行けんじゃん!」と言った。
僕もそう思っていたが、一応のポーズとして否定しておいた。
「で、木曜日飯でしょ? どこへ行くか決めたの?」
「いや、診察待ちだしそんなに時間取れないし、金もないから、近場のファミレスでいいかな、と」
「いいねいいね、当然こっち持ちでしょ?」
「まあ、誘ったのはこっちだし、礼儀としてね」
「盛り上がって来たな!」
 しきりにAは楽しそうにしていた。