この部分は私の実存にとって非常に重要なところです。この部分を夢を見ている時であるかのように、小説に組み込もうと思います。批評してください。

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お袋の育て方も悪いんだよ。だって本当のことを教えかなったんだから。本当のことより道徳心を植え付けるような教育をしてきたんだから。
本当のことよりも道徳的なことを優先して行うと、本当のことが心の底に沈殿していき、濃度が濃くなって、
大人になって本当のことが表側に浮かび上がってきた時、道徳が如何に皮相なことかがわかる。
下手すると、大人になってルールを馬鹿にして、間違った方向に行ってしまうことだってあるだろう。
あなた、いくつなの? と和恵が言う。
お母さんの悪口なんか言わないでよ、いい歳して、といわんばかりの目付きで私を見る。
私は何もお袋を非難しているわけじゃなくて、一般論を言っているのだ、と言った。子供の頃に、本当のことを教えた方がいい。
現実ばかりをみせるのはよくない。本当にずる賢くなってしまうし、人を人として見なくなるかもしれない。
But、しかし、本当のことを蔑ろにして、道徳心ばかりを植え付け無い方がいい。
本当はないのよ、すべて教訓があって、あなたが良い子なら、万事がうまくいく手筈になっている。そんなの嘘だ! 私は高校二年の時に叫んだことがある。
本当は、みんなうまくやっているし、うまくやったやつが幸せになっていく。
でも、あなた二十歳になって、そのことに気づいてあるじゃない、和恵は、この人可哀想、というような哀れんだ目で私を見て言った。
だけど、やっぱり間違いは間違いだ、と私はキッパリと言った。お袋の教育は極端に私を現実でないことに縛り付けた。
お陰で子供の頃に悪い奴等と悪いことをしてこなかった。その代償はでかい。
和恵は溜息を吐いた。あなたいつを生きているの? 後ろ向きでみっともない。
あなたがそこまでのことに気づいているなら、今から本当のことに向き合っていけばいいのよ、と和恵が言った。
和恵の顔が、この時、お袋の顔に見えた。似ている。確かに和恵はお袋に似ている、と私は思った。