>>715 -716-717
【読後の感想】
物語内容について「感想」を述べる前に、果たしてこのエントリー作品は何なのか? をはっきりさせておく必要がありますね。
掌編小説であり、かつ「課題」が設定されており、あらかじめ合評を前提にしている文章のようです。
しかも合評を活気づけるために、とりあえず何か書いてみました、という感じの作品のようですね(力作は力作ですが)。
まずこの前提を確認しましょう。
愛猫家の孤独な中年男が、長年いっしょに過ごしてきた飼い猫と死別した日の哀感を描いた掌編小説。
梗概を書くなら、こんな感じ。
といっても、ここにはある技巧的な仕掛けが隠されていることに気づかないといけない。
一見素朴なストーリーに騙されてはいけないw 作者はかなり企画心のある人のようです。
単なる抒情家というわけではありませんよ。
というのは、この掌編は、一種のパロディというか、本歌取りみたいな仕掛けになっているわけです。
このエントリー作品の本歌=元ネタ(小説)は何なのでしょうか。それは何のひねりもなく、川端康成の「掌の小説」である「骨拾い」です。
たった一人の肉親である祖父の死を、たった一人の肉親(?)である「ねこ」に変換している。ねこがほぼ老衰というのも、焼場(斎場)が舞台なのもそのためでしょう。