>>901

X-transの最大の目的は、モワレ現象の抑制だよ。

X-Transが登場した頃は、ライカやシグマなどの一部のカメラを除いて、ほどんどのメーカーが比較的厚めのローパスフィルターを搭載していた。

ローパスフィルターっていうのは、簡単に言うと、外から入ってくる風景の中から高周波数の模様を「ぼやかして」除去する装置だ。
「ロー・パス」=低い周波数を通す、という事は逆に言えば、「ハイ・カット」=高周波数の信号をカットするって意味だからね。
風景の中にある「高周波数の模様をぼかす」って事は、当然、その代償として解像感の低下を招く。
すごく簡単に言うと、極薄の「くもりガラス」をセンサーの直前に付けるって事だから。

じゃあ、なんでわざわざ風景を「ぼやかす」装置を付けるのかと言えば、外の風景に高周波の模様があると、それがセンサー無いのカラー配列と「共鳴現象」を起こしてしまうからだ。
音楽やってる奴なら分かると思うけど、「周波数が近いんだけど、完全には一致していない」二つの音が同時に鳴ると、「ウワァァぁん」って言う「うなり音」が発生する。
あれと同じ現象が、外の風景にある周波数と、センサー側の周波数の間で起きるわけ。

ちなみに、キャノンは、この「モワレ現象」を極端に嫌うメーカーとして有名で、「ローパスフィルターは、自動車にとってのブレーキのような保安部品だ」と言って、頑なに搭載し続けている。

この解像感を劣化させるローパスフィルターを搭載せずに、何とかモワレ現象を抑制する方法はないものか、として考えられたのが富士のX-transだ。
その原理は、カラー配列をわざとバラけさせることにより、センサー側の固有周波数をバラけさせ、風景の中にある特定の周波数パターンと共鳴現象を起こしにくくした。
結果、ローパスフィルターを搭載する必要がなくなった。
つまり、「同じ画素数のローパスフィルター搭載機」より、ローパスフィルターが無いぶん、解像は上、って事。