6/30(土) 7:30 Yahoo!ニュース 1655
“忖度メディア”の本領発揮!?
大絶賛はおかしくないか
 サッカーW杯の日本代表は、決勝トーナメント進出をかけたポーランド戦に敗れたにもかかわらず、1次リーグを突破した。これは事実だ。試合内容を巡って賛否両論が沸き起こったのも本当のことだ 
そんな試合結果をどう報じるか、こんな時こそ、スポーツメディアの手腕が問われる局目に違いない。
 筋金入りのサッカーファンほど実践しているが、「賛」も「否」も、感情的な議論は少ない。双方とも冷静に主張を戦わせている。
「勝てば官軍」は真理だ。だが、その一方で、セルジオ越後氏の「世界に対して恥をさらした」、「子どもたちにも『いい試合だった』とは言えない」(サッカーキング/6月29日)という指摘にも頷いてしまう――。
 本音を言えば、サッカーファンは、こんな矛盾した気持ちを抱いている。そんな試合結果を、日本のスポーツメディアは、どう報道したのだろうか。
 少なくとも「辛勝」に類する表現が出てこないとおかしいはずだが、スポーツ紙も一般紙も、多くはひたすら勝利を喜び、日本サッカー界に媚びるだけで終わった。
 論より証拠、各紙の見出しを見ていただく。特に註釈のない限りは、全て6月29日の朝刊1面、最終版から引用した。その結果、スポーツ紙で最も恥知らずな紙面になったのは東京中日スポーツだ。

スポーツ紙より“ヨイショ”の一般紙
「西野マジック負けても2位 日本突破 史上初フェアプレーポイント決着 セネガルも敗れイエロー2枚差」

 名将の采配を「マジック」と形容することが許されるのは、自分たちの努力で奇跡を起こした時だけだ。
同時刻にセネガルと戦っていたコロンビアの勝利頼みという他力本願な戦略に「マジック」という言葉を当てはめるのは、誤用と断じられても仕方がない。

 スポーツ紙は後でじっくりと検討することにして、先に一般紙を片付けよう。
我々のような素人は「スポーツ紙のような専門紙ではないからこそ、距離を置き、冷静な報道ができそうだ」という印象を持つ。だが“現実は真逆”という社も少なくなかった。

 結果からお伝えすると、朝日、毎日、そして産経が、恥ずかしいほど“ヨイショ”な1面となった。
逆に読売と東京が比較的、節度をもって報じた。政治面での主張で区分する時とは異なる面子になったのが面白い。