>>468

真宮寺一馬の黄泉送りの儀は恙無く執り行われた。

一馬は墓石のしたへと下ってゆき、深い闇に姿を消した。
もう一馬が戻ってくることはない、そうわかっているのだが足音が聞こえると襖の方に注目してしまう。

「・・・・」

米田はひとり、杯を傾けている。
送り酒だから、と若菜がくれたものだ。
その一杯一杯が重く内臓に染み渡る。

米田は、酒を飲み干すと敷かれた布団に潜った。
しかし、目を伏せた瞬間ドタバタという足音が響いてきたのだ。

「大変でごじぇえます!
米田様!大変でごじぇえます!」


米田は瞬時に身体を起こす。
その慌て様に酒で虚ろになっていた頭に冷たい雫が走ったような感覚を受けた。
時はもう午前零時をすぎているのだ。
それだけにかなりの大事である可能性が高い。

先に感じた胸騒ぎと同じ感覚がした。