>>541
「…っ………」
菊少年を挟んで責め立てられた母親はたじろいだ
彼女にはいくらか被害妄想地味た思考があるのか自分の考えを全て否定されているように感じたらしい。
その時である。
『は…母を苛めないで…ください…っ!』
菊少年が母親の前に立ち、必死に声を張り上げた。
人通りが少なかったのが幸いしてか野次馬もない、否…例え野次馬がいたとしても少年は母を庇っただろう。と米田は直感した、少年の瞳はまっすぐこちらを見つめ返していたからだ。
『ごめんなさいね、言い過ぎたわ…』
沈黙の後、琴音がひしと菊少年を抱きしめた。その瞳はほのかに潤んでいたという。
次に斧彦がその上から抱きついてワンワン泣き出した
『菊ちゃんっ…アナタは乙女の鑑よぉ!
ねっ琴様!』
『そうよ、ここまで清純で勇敢な心を持った少年を連れまわした挙げ句傷物にしたなんて!』
いくらか過剰な表現が出て、米田は少し眉をひそめる。
『…おいおい…
まあ、…おめぇさんがこの坊主に教えてきたことは間違いじゃなかった
…おめぇを庇って、俺達に歯を向けてきたんだぜ…』
米田の柔らかく穏やかな言葉に、母親も泣き崩れて百合組の輪の中に入っていった