ネット誹謗中傷が行われると、名誉毀損が成立することがあります。

名誉毀損とは、事実を摘示することによって相手の社会的評価を低下させることです。
名誉毀損の典型的なものが、虚偽の事実を提示して相手をおとしめる行為です。

ネット名誉毀損の成立要件を解説すると、「サイトやブログ・掲示板上に個人・法人の具体的な事実を書き込み、不特定多数の人がネットで閲覧・アクセスできる状態にして、社会的評価を著しく低下させる行為をしたこと」があてはまります。

よくある誤解ですが、「虚偽」の事実を書けば名誉毀損だけど、「事実」「真実」ならネットに何を書いてもかまわない、名誉毀損にならないと考えている方がいますが、大きな誤解です。

事実を書いて、それである人の社会的評価が下がるなら、名誉毀損罪は成立します。事実の適示は、真実か否かは問われません。

「あいつは前科者だ」「あいつ○○と不倫している」等と個人情報を漏えいする行為や暴露する行為は、それが事実であっても名誉毀損が成立する可能性があります。

名誉毀損行為は、それが相手の社会的評価を低下させるものである限り、内容が真実であるかどうかは基本的に問題にならないからです。

まず、刑事上の責任としては、名誉毀損罪や侮辱罪が問題になります。

公然と、事実を摘示する方法で人の名誉を毀損する行為を行った場合には、刑法230条1項の名誉毀損罪になりますし、抽象的な指摘によって人を侮辱した場合には刑法231条の侮辱罪に該当します。

よって、ネット上の誹謗中傷行為がこれらの犯罪行為に該当する場合には、犯人を逮捕してもらえる可能性があります。

また、ネット上の誹謗中傷行為は、民法上の不法行為に該当する可能性があります。

誹謗中傷や名誉毀損行為は、人の名誉権やプライバシー権を理由無く侵害する違法な行為だからです。

よって、ネット上で誹謗中傷をされた場合には、相手方に対して慰謝料請求(損害賠償請求)をすることが可能です。

被害者が一般人の場合の名誉毀損にもとづく慰謝料の金額の相場は、だいたい10万円〜50万円程度です。

事業の信用が失墜したケースなどの慰謝料にはもう少し高く、50万円〜100万円程度になることもあります。