>>437続き)

それともう一つ。これが今日の話の本題になるのですが…
正直、今回の企画と、今回のキャストを見ていただけると分かると思うのですが、
「チケットが売れる座組み」なんですね。

となると、それこそ、「大きな小屋で、なるべく座席を稼いで…」という発想になっちゃうのですが、
それをやっちゃうと、いつまでたっても「チケットの売り上げで公演をまわす」という体質から抜け出せないんです。
それだと、公演チケットは、いつまでたっても高いままで、お客さんの層を広げることができない。

どの仕事であろうと、同じことが起きていると思うのですが、
僕らは目の前にニーズがあると、ついついつられてしまう。
そのニーズがいつまでも続かないことを知っているのに、そこには目を背けて、ニーズに応えようとする。

たとえば、「若さ」を売りにしている人がいて、一度、支持されてしまうと、それを手放せなくなる。
なぜなら、お客さんがそれを求めているからです。
だから、「あの手この手」で若さを見せる。
だけど、そのうち、ジワジワと「若さ」が消えていって、ジワジワと支持が減っているのに、まだ手放せない。
ついには、もう味がしなくなるまでしがんでしまい、いよいよ次の武器を探しにいかなきゃいけないのに、
その頃には、すっかり挑戦するのが怖くなっている。

ニーズに応えて、商品やサービスや魅力を改善していく作業を「持続的イノベーション」と呼ぶのならば、
それを終わらせる「破壊的イノベーション」も必要で、
そんでもって、「破壊的イノベーション」ができるタイミングってあるんです。
基本、「体力に余裕がある時」です。
今回の会場選びの時に、このことを思いました。

今、「チケット代の売り上げに依存しないビジネスモデル」の創造に手をつけておかないと、
「プペルだと、チケットが売れるし…」で結構ズルズルいっちゃうなぁと思って、スパッと切ってみました。
何かの参考になると嬉しいです。

(終わり)