>>237続き

「所有感」の受け渡しで機能している「石貨」はNFTのそのもの
 
で、さっきから「交換用」「交換用」とか言っちゃってるけど、「貝」ならまぁ交換できるけど、4メートルの石なんて持ち歩けないじゃないですか?
 
そうなんです。財布の中に入れて持ち歩かないんです。
 
交換する時は、「広場にある4メートルの石貨」の〝持ち主〟が変わるんです。
 
でも、ぶっちゃけ〝持ち主〟と言ったって、「広場にある4メートルの石貨」は誰でも触れるわけだし、誰でも写真が撮れるわけで、「じゃあ、持ち主の取り分は何なんだ?」となると思うんですけども、答えは「所有感」なんですね。
 
「僕が所有していると思える」「僕が所有していると島の皆に思ってもらっている」
 
ここに価値が発生して、「所有感」を受け渡しすることで、交換用貴重品として機能している。
 
そして、この交換の手続きに関しては、「石貨銀行」みたいな中央機関があるわけじゃなくて、「西野の石貨が、昨日、梶原に贈られた」ということを島の皆が記憶(脳内に記録)しているだけ。それで交換が成立してるんですね。
 
西野が梶原に贈った石貨を、とろサーモン久保田が勝手に自分のものとして、誰かに贈ると、「いやいや、その石貨は梶原さんのものでしょ。何やってんだ、久保田!」とまわりから指摘が入る。
 
そんな感じで、中央が管理しているわけではなくて、島の皆で管理しているのが、ヤップ島の「石貨」です。

最新刊『夢と金』では、NFTのことを取り上げた第3章の一番最初に、このヤップ島の「石貨」の話を書いています。
 
理由は薄々お気づきだと思いますが、ヤップ島の「石貨」がNFTのそのものだからです。

ヤップ島の仕組みをオンラインでやっているのがブロックチェーンなので、ブロックチェーンの説明を始める前の準備運動としてはもってこいなんです。
 
NFTを知らない人に、いきなりNFTの話をすると「うっ」となっちゃうので、こんな雑学から入るといいと思います。