一目惚れをしました。
高校1年、夏。
隣の高校の男子高生に恋をした。

登校時よく一緒になる彼。
きっと私の存在には気付いていない。
彼と同じ歩幅で歩く通学路が日々の幸せだった。

少し肌寒くなってきた10月。
文化祭準備で彼と朝の時間が合わなくなった。
そんな中迎えた文化祭。

「俺らにもパンフレットもらえますか?きみ何年生?」
絡んできたグループは隣の学校の生徒だった。
見るからにチャラチャラしているその男子生徒にパンフレットを渡し
「1年です」と言ってすぐにその場を去った。

親友のえりがトイレに行きたいというので付き添って待っていたら
「さっきはごめんね」と言われ横を振り向くと、そこには彼がいた。

久しぶりの彼は少し髪が伸びていた。
あまりにもびっくりしすぎて「いえ…」と固まってしまった。
素っ気ない態度しか取れない自分に嫌気をさしていたら
「朝。朝、よく会うよね」とゆっくり穏やかな笑顔でこちらを向いている。

彼も私の存在に気付いていたのだ。
嬉しすぎて目頭が熱くなるのを感じた。
「はい」と声にならないような消えそうな声で返事をしたところでえりが来た。

初めての恋。
彼と久しぶりに会えたこと、声を聴けたこと、笑顔を見れたこと。
全てが幸せだった。

朝、いつも通りの朝。
だけどこれからは違う。彼とは顔見知りになったのだ。
3秒ほど間があった後、「おはよう」と穏やかな笑顔で挨拶してくれた。

それから会うと色んな話をした。
通学路10分程度の道で、色んなことを話してくれた。
彼は高校3年生で2個年上だった。

「俺さ、来週から受検シーズン入ってしばらく学校休みなんだ」
突然、お別れを言われたようなそんな気分になったが
どうやら彼は推薦で大学に行くため受検はしないらしい。
でも朝の楽しい幸せな10分はしばらくなくなるわけだ。
明らかに落ち込んだ顔をしていたら
「俺さ、キラキラしたやつ見に行きたいんだよね今年の冬は」
と。初めてのデートに誘われた。


補足