このような問題が生じるのは顔立ちが整っていることが道徳的に正しいかのような文化からであり、その根本的な原因は恋愛が精神的に特別な価値を有するという神話の存在にある

したがって、まず初等教育の段階で恋愛とは本質的に「出来レース」であり、人間は一部の美男美女にしか惚れられないのだというある種絶望的な真実を定着させ、
また恋愛は本質的には性行為を促すためにあるもので、これが性欲に並ぶ、相手を性的対象としか見ない「卑劣な」欲求であることを認識させる必要がある

次いで、上記のように恋愛は性衝動の一種であり、性的行動を促す「不健全な」コンテンツであるから、恋愛描写を含んだ漫画は少年誌・少女誌に掲載させず、ドラマはゴールデンタイムで放映しないという流れを作り、
同時にこれまでの商業的に煽られた恋愛至上主義がいかに間違ったものであったかをドキュメンタリー番組などで取り上げ、上記のような恋愛の性質を認識した上で社会全体として恋愛の在り方を考える必要がある

そもそも、直感とは反して、恋愛とはそれ自体が制度的なものである。例えば、異性に自らの好意を告白して交際に至るという慣習は欧米では一般的でなく、主に高度成長期にテレビや漫画によって広められたものだ

最終的には、恋愛結婚という20世紀的な社会慣行から決別し、限られた人々の娯楽たる恋愛と、専ら世間体のために行われる結婚をかつてのように切り離すことで、
恋愛を文化の隅に追いやり、平和な家庭と共同体的な人情にもとづく穏やかな社会を作りあげることが、我々に与えられた唯一の手段であり使命である。 −俺 『ブ解放宣言』