辻先生の世代は、戦争の直撃を被った上に、
軍国少年から民主国家少年へ大人の都合で
転換を強いられた世代だから、国家>個人の発想に
危機感を感じる人は多い。

白黒アニメ版009にもその発想は盛り込まれているし、
アニメ版「デビルマン」も、敵の女に惚れて祖国を裏切った
脱走兵のイメージと先生自ら明かしている。

当然、辻ミステリも「国家」や「戦争」の影が濃い。

でも、トラベルミステリや戦前の東京を舞台にした話などでは、
各地の郷土や戦前の開明的文化への愛着が、明確に
語られている。故郷としての日本への愛着は、半端ではない。

今の政治の風潮に辻先生からネガティブな発言が出るのは、
一連の辻作品を知っていれば、自然なことだよ。

サヨク扱いはあまり適切ではないね。