高校生くらいのときに読んで、Yはこんなもんのどこが傑作かと
叩きつけそうになった。終盤の小ネタばらしが済んだ後に、全然
ひねりのないミエミエの展開がダラダラ続くだけであきれた。
歴史のないアメリカ人にはあんな程度の「旧家」とかもゴシック調に
思えるのか、こんな茶番が「悲劇」と感じるのか、と青い怒り方を
していたような記憶が。
だから正攻法ひたすら押しのグリーン家の方がよほどスリリングで
ひたすら好きになったなあ。犯人もど真ん中でかえって壮快だった。

あと犯人という点ではカーの「死者はよみがえる」に大喜びした。
「爬虫類館の殺人」とか「連続殺人事件」なんかもカーらしい犯人だし。
「貴婦人として死す」「読者よ欺かるるなかれ」なんかもカーを読んでる
人ほど引っかかるっていうイヤらしい犯人になってるけど。
まああんまり普通の人には薦められないのは無理もない。