刑事が警部補に報告する。
「イタコによる被害者の口寄せから分かったのは、犯人が容疑者1の渡辺であるということだけです」
「その情報はどこまで信じていいんだ?」警部補が応じる。
「100%信じていい情報です」
「マジか、短編推理すげーな!」

事件の詳細はこうだ。
なんかよく分かんないけど殺人があって、被害者は心臓をバールのようなもので刺されて死亡した。現場はどこかの室内で、被害者による抵抗の跡がびっくりするくらい残っていた。犯人に繋がりそうな指紋やらなんやらの証拠は出ていない。

容疑者は3人。
容疑者1は渡辺。被害者が最近になって通っていた居酒屋の店主で、どう見ても60代にしか見えない40代の男。頭には毛がなく、イタリア製のメガネをかけている。
容疑者2は渡部。被害者とは面識がないが、SNSで数年前からやり取りをしている男。ヒゲがトレードマークだが、刃物が苦手だからあまり剃りたくないだけ。青森出身。
容疑者3は渡邊。被害者の同居人。非常に毛深くて分かりにくいが、じつは非常に色白な中年男性。趣味はコスプレ。

「でもなあ」警部補が言う。「容疑者1の渡辺だけ完璧なアリバイがあるんだよなあ」
「そのアリバイは崩せないんですかね。100%無理ですか」
「100%無理だねえ」
「マジですか、短編推理すげーですね!」


さて、誰が犯人だろうか?