■■「日本最強の任意団体」日本郵便の局長たちがなぜか転勤をしないで済む■■
怖すぎる理由これでは腐敗は避けられない

日本郵便の局長による犯罪や不祥事が続発している。
背景にはなにがあるのか。
朝日新聞の藤田知也記者は「絶大な力を持つ郵便局長会が絡む問題には、コンプライアンスが軽視される傾向がある。
日本郵政の増田寛也社長は局長会を特別扱いとする構造そのものにメスを入れるべきだ」という。

■■「選考任用」「不転勤」「自営局舎」という三本柱■■
増田氏自身は10月1日の会見で、こう強調していた。
「大きな不祥事もあり、社会的にもコンプライアンスの要請が高まっている。
ルールに反することは厳正に対処する。その点は一層、きちんとやっていきたい」
少なくとも増田体制に変わってから、有力な局長であれ、不正があれば厳しく対応する姿勢に転じてきた。
だが、これから増田体制に求められるのは、単純な犯罪や不正の処罰だけではなく、ガバナンスが効かずにコンプライアンスが軽視されがちな「構造」にメスを入れることだ。
全国郵便局長会は、民営化前から続く「選考任用」「不転勤」「自営局舎」の三本柱の実現を重要施策に位置づけている。
自ら後継を探して育成し、局長は転勤させず、局舎を自ら所有する。それが地域の発展などにつながるとの理屈のもと、局長の採用や役職の配分などにも強い影響を及ぼす。
また、政治的課題の実現のためには政治力が必要だとして、会員となる局長はほぼ自動的に自民党に加入し、政治活動と選挙運動に取り組むことが半ば義務のように課せられるのが実態だ。
複数の地域で取材したところ、来夏の参院選では、局長一人に30〜50票以上の得票がノルマのように求められ、その達成のために100世帯前後の「後援会(支援者)名簿」を出すよう指示される局長が多い。
会社経費で購入したカレンダーが、局長らの政治活動に流用されていた疑惑も浮上してきた。
いよいよ全国郵便局長会にも説明が求められる事態だが、これまで日本郵便が「任意団体のことは承知していない」と目をそむけてきたツケが回ってきたとも言えるだろう。