‐悲しい狼たち‐

あの日おやっさんの口から出た言葉は
俺、今コイツに今恋しているんだよと
寂しげに微笑みながらつぶやいていて
俺は聞かないフリをしていたけれど
ヤツがしんだあとで思い出されてくるのだ
どうしようもない俺たちにたいして
せいいっぱいの親心をそそいでくれてたあのひとの
あれはヤツに対する最後のことばなのだと
おやっさんはきっとわかっていたのだろう
いつかヤツがこの世を去ることに
それが遅かれ早かれいつかはそうなると
そして俺自身もいずれ彼のもとから消えるだろう
そうしたら泣いてくれるのだろうか