「祭」

頭頂部が酷く喧しい
どうやら、どこぞの団体が私の頭頂部で祭りを催しているらしい

怪しからん

祭り好きの私を差し置いて
ケンケンガクガク歓喜の宴を繰り広げるだなんて

酔狂じみた太鼓の音色が右脳を震わせ
ソースの焼け焦げる臭いが鼻腔を刺激し
いくら耳を塞いでも浴衣姿で浮かれあう
男女の軽やかな笑い声が聞こえてくる

畜生 一体何処の馬鹿野郎共だ
人の頭頂部を我が物顔で祭りやがって

私は何度も顔上げて奴らの祭りを見下ろそうとするのだが

見えるのは、青空

そう、雲一つない青空

それは、もう戻る事のできない、あの日の青空だったのだ