0644名前はいらない
2021/10/19(火) 23:59:03.36ID:zcBHz65k心の中のきたない ものたちよ おまえは常に ふりつづけ
私の心の奥底に 雨がふるように 雪がつもるように
ふりつづけ そして私の精神の
深いところに 澱をなし
やがて流れる年月の あまりの取り返しの つかなさに 恐怖し驚愕し
ふるえる心をつつみこむ 布切れ一枚もっていず
どこへ行けばいいの かも 何をすればいいの かも わからなく
いろんなことを思い いろんなことを行ない 心をあたためようと
してみたけれど 私の心が流す鋭利な 涙はちくちくと
私の眼球の奥底に つきささり 明日に向けて手をのばしても
まだうつくしい 遠い過去を見つめても
ただげきつうがはしり 世の中のいろいろないたみ どめをのみ
世の中のいろいろなほうたい をまき いろいろな人の話をきき
世の中のいろいろな ものごとに目を向けて
変わらぬいたみに ぜつぼうし 心が流す鋭利な血が
身体を破壊し 精神を破壊し
私を人間たらしめている あらゆるものを破壊して 人ではなくなった存在の
かすかな命を摘もうとす 命をうしなったわたくしは 流れる時をともなって
あとはくさって くちていく 恐怖やいたみも今はなく
たださびしさだけが みちている 私は明日をあきらめて
私の心のきたないものを 手ですくう
それはずっしりと 重くもあり 空気のように軽くもあり
白くもあり 黒くもあり 光を吸い込み 光沢を放ち
さらさらとして どろどろとして とてもうつくしい
私のすべてを破壊した きたなくてうつくしいもの
おまえを捨てられないのは きたなくてうつくしい おまえがいとおしいから
私の心が涙を流せど いとしいおまえを 捨てられず
私は命をうしなった
私の心は言っている 命のないままでは 生きられない
うつくしいきたない ものを排泄しなければ ならない
いとしいものよ 私はおまえを排泄する 私は死んだままでは 生きられない
私がきたないものを 排泄すると 命がもどり恐怖がもどり いたみがもどり明日がもどった
きたない世の中で いとしいおまえたちが またふりつもる
排泄したおまえたちは 今どこにいる 私はここで生きている