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「と紅」(2016/5/8)

日の影を煌めき返し流れ流れる川の面に
そっと差し入れ掬う手に満つる雫のつめたきよ
汝(な)をほさば枯れ草はよみがえりて息をせん
刹那の光陰分かつらむ 散り散る水づ霊がごと

ああ うつしみの虚しきになほ息をせる
飾れる言の葉ならぬ花一輪を髪ざして
吾(あ)が兄(せ)にうたう愛のみぞ
吾が命(たま)の緒をつなぎとむればや

ああ 残り火のふれるになほ身を焦がし
ことわりならずひずむ心の奥深く
吾が兄にうたう愛のみぞ
吾が命の緒をつなぎとむればや