財投3兆円投入、リニアは第3の森加計問題
破格の安倍「お友達融資」を追う
2018.8.30 
https://business.nikkei.com/atcl/report/16/081500232/082400011/

談合問題や企業の撤退などに揺れるリニア新幹線には、安倍首相の号令のもと財投3兆円が投入されている。葛西JR東海名誉会長という「無二の親友」への巨額融資。森友学園や加計学園への「お友だち優遇」の比ではない「第3の疑惑」を追うと、融資スキームの直前に、2人が頻繁に会合を重ねていた事実に突き当たる。

 無担保で3兆円を貸し、30年間も元本返済を猶予する。しかも、超長期なのに金利は平均0.8%という低金利を適用する──。

 首相の安倍晋三が、2016年6月1日に記者の前で「新たな低利貸付制度で、リニア計画を前倒しする」と発表し、巨額の財投資金が、この瞬間に動き出した。

 「いや、あの融資条件は、他に聞いたことがないですね」。同じ財政投融資という融資スキームを扱っている日本政策金融公庫の幹部も首をかしげる。

 「そもそも、30年後から返すって、貸す方も借りる方も責任者は辞めているでしょうし、生きているかどうかも分からないですよね」

葛西は著書で、この解体的改革は、「東海道新幹線救出作戦」だったと振り返る。そのドル箱、東海道新幹線で売上高の7割を稼ぐJR東海が87年に発足すると取締役に就任。88年、常務に昇格し、その秋に関西経済連合会の会合で講演に立ち、こう話している。

 東海道新幹線とリニアは一元的に経営されなければならない」「(リニア計画の)全額を民間資金で行うことは難しい。3分の2は民間資金で行ってもよいが、残る3分の1は国のカネが必要ではないか。つまりナショナル・プロジェクトとして推進しなくてはなりません。

 今から30年前、まだ山梨のリニア実験線すら着手していない時、すでに葛西の頭には、明確に今のリニア計画が描かれていた。資金の3分の1は、国のカネを引っ張ってくることも。

 リニアとJR東海の歴史は、葛西によって築かれたものだった。その当人に話を聞くべく、JR東海に申し入れた。だが、「4月に代表権を返上しており、今は金子が経営の責任者。彼の話したことがすべてだ」と断ってきた。