「うちのおかんがね、好きなラーメン屋があるらしいんやけど」
「そうなんや。」
「その名前を忘れたらしいねん。」
「好きな店の名前忘れてまうってどうなってんねん。」
「いろいろ聞くんやけどな、全然わからへんねん。」
「ほんだら俺がね、おかんの好きなラーメン屋一緒に考えてあげるから、どんな特徴言うてたかとか教えてみてよ。」
「しょうゆ味で、もやしが山盛りで赤い辛子みたいなの入れて食べるやつやって言うてた。」
「ラーメン福やないかい?」
「俺もラーメン福やと思てんけどな、おかんが言うには、死ぬ前の最後のご飯もそれでいいっていうねんな。」
「ほなラーメン福と違うか!人生の最後がラーメン福でええわけないもんね。」