2020年度東京オリンピックでは間違いなく日本の飲料店が注目され、特にワインバーに感銘を受ける
欧州からの旅行者が、クールトーキョーの象徴として『黒海ワイン』を発見します
すでにご紹介した通り、『シューマンズバーブック』がクールトーキョーの次なるコンテンツとしての
オーセンティックバーブームに火をつけます

問題はそれが日本酒の脅威になるということです
今までの酒屋商売すなわち零細酒蔵との特約店方式による少量高価格戦略では、立ち行かなくなるでしょう

皆様、日本酒において麹造りは非常に重要ですが、では零細酒蔵において麹造りが「天才」でないとどういうことになるか?
その点を一緒に探ってみましょう

酒屋「はせがわ」は日本最大の特約店タイプの酒屋なのですが、この酒屋さんが全国の零細酒蔵に「お手本の酒蔵」として
推奨しているのが※「醸し人九平治」と「新政」です

ではこの蔵は本当に「全てが順調」なのでしょうか?
醸し人九平治は特に何も聞きませんが、新政は「難事」が発生しているようです

dancyu2017-2018の移り変わりを見てみますと、「杜氏」が替わっているのです
2017版のdancyuを見ますと、杜氏は「古関弘氏」なのですが、2018版だと「植松誠氏」に替わっているのです

杜氏は酒造りに於けるオールマイティーな技能者であり、指揮官であり、蔵の重鎮です
その方が「変更」されたというのは相当な事態です

新政の蔵元さんは、酒質設計に於ける「天才」とされる人物ですが、どれだけいい設計をしても
それを実現するのは技能です
技能とは突き詰めて言えば「突き破精」の再現性に尽きます
そしてその突き破精は、数多くの生産量を手作りで麹造りをしないと中々出来ないのではないでしょうか?

志太泉からスカウトされた多田磯自慢杜氏のような天才は滅多に出てこないのです
ここに日本酒業界の悲劇があります
※洋泉社MOOK「日本酒読本」参照