■ カルテ1ページで1万円!? 精神科の高すぎる「情報開示料金」を問う 2/3

全医療機関を対象としたカルテ開示手数料の調査は存在しないが、筆者が知り得た
範囲の情報では、緑雲会多摩病院の開示料金が近年では最高額だった。この記録を
塗り替える病院があれば、ぜひ教えていただきたい。

緑雲会多摩病院での開示費用がいったいいくらになるのか、ざっと計算してみよう。
カルテ類20ページで2万円、100ページで6万円、200ページで11万円、300ページで
16万円(以上、すべて税別)になる。まさに「おいくら万円?」の世界だ。

なぜこんなに高いのか

精神科病院では長期入院患者が多く、開示対象のカルテ類が数百枚に及ぶことは珍し
くない。患者は自分の病気や治療についての情報を詳しく知りたいだけなのに、
ケースによっては月の収入を超える料金を払わされることになる。

この驚くべき高額料金の理由について、緑雲会多摩病院の事務長に取材したところ、
「カルテに他の患者さんの名前が載っていたり、家族や友人との関係に悪影響が出か
ねない記載があったりする場合は、その部分を黒塗りにします。このチェック作業を
院長、主治医、看護部長、私の4人が各自行い、最後に4人の会議ですり合わせをする
ので、時間がかかる。料金を下げることは考えていません」と説明する。

緑雲会多摩病院のカルテには、病院幹部らが寄って集って目を凝らさなければいけな
いほど、不都合な記載が溢れているのだろうか。

このような高額料金には、カルテ開示を妨げる働きがある。患者の開示請求権を高額
料金で事実上抑制すれば、個人情報保護法違反の可能性もある。緑雲会多摩病院のカ
ルテ開示件数は、事務長によると「年に2、3件しかない」という。(3/3につづく)