憲法には「天皇は日本の象徴」と書かれていますが「日本の象徴は天皇」とは書かれていません。
これはどういうことなのか、考えてみましょう。

「犬は、哺乳類ですか?」に対しては「はい」と答えるのが正解です。
同様に、「天皇は日本の象徴ですか?」に対しても「はい」と答えるのが正解です。
なぜなら、憲法にそう書いてあるから。

では、質問を変えましょう。

「哺乳類には、何がありますか?」に対して、どう答えるべきでしょうか?
「猫、猿、牛、馬、豚、鼠などですかね」と答えたら、「犬」が含まれませんが、これは正解? 誤答?
もちろん、正解ですね。「哺乳類には、何がありますか?」に対しては思い浮かぶ哺乳類を挙げればいいのであって、
「犬を必ず挙げるべし」というルールがあるわけではないのです。
ただし、その後で「犬は、どうですか?」と聞かれたら、「ああ、犬もそうですね」と答えるべきでしょう。

同様に、「日本の象徴には、何がありますか?」に対して、
「富士山に、地震に、法隆寺に、神社などですかね」と答えたら、「天皇」が含まれませんがこれも正解なのです。
何に対して「象徴性」を見出すかは人それぞれなので、「自主的に」天皇を挙げなければいけない理由はないのです。
ただし、その後に「天皇はどうですか」と聞かれたら、「ああ、天皇もそうですね」と答えるべきでしょう。

ではついでに、「憲法の記述を抜きにした場合、天皇は日本の象徴だと思いますか?」と聞かれたらどうでしょう?
これはもう、「はい」と答えようが「いいえ」と答えようが完全に個人の自由。
「いいえ」と答えたからといって、非難される筋合いのあるモノではないわけです。
憲法の記述を抜きにした場合、天皇を日本の象徴だと考えねばならないような理由は特にないのです。

要するに、天皇が日本の象徴であるのは「憲法にそう書いてあるから」という、ただそれだけの理由なわけです。
「象徴」なんて、そんな程度のシロモノ。