>>124
平井には、エンターテイメントとして作品を書いている側面と、自分を救うために作品を書いている側面がある。

表向きに宣伝しているのははもちろんエンターテイメントの方であって、中学生のころから回し読みの小説で同級生を楽しませた、なんてエピソードを書くわけだ。

しかし一方で、SFを書くことで自分の心が救われ、破滅の方向へ向かわずに済んだというようなことも書いている。

ある時期から、おそらくは寿命を漠然と予感した頃から、エンターテイメントを切り捨ててでも、自分と世の中の折り合いがつけられるような物語の方を模索してたんじゃないかな。あなたに面白くないといわれても気にせずにね。

中島の評論はそのあたりの琴線に触れたのだと思う。
もちろん平井先生が元々才女に弱くて、中島が抜け目のない女性であることは間違いないのだろうが、それだけではないような気がする。