>>130
まあ、書かれなかったストーリーの先や、謎解きを棚上げして、
平井文学について語ることは可能だろう

日本SF傑作選のおかげで、超久しぶりにレオノーラを読んだよ
それから私の手は、本棚の奥にある黒箱の「虎はねむらない」に伸びた

その作品が彼の当時の心だとすれば、相当な深手を負っていたなという作品ばかりだった
私は読みながら、ムーンライトがどこにもいないと思った
メガロポリスの虎で登場した守護天使がそこにはいなかった
これは大きい
平井文学に救いの明かりが見えるのは、守護天使の存在が大きいと思う
「虎はねむらない」の、あのまっくらさ加減はもうどうしようもない

高橋父娘を知る遥か前に、彼が守護天使を得ていたことを知るのは重要だと思う
その意味で、SFが彼を救ったというのはほんとうなのだろう
闇を照らす月明かりは、静かに、そして優しい