この春、僕吉良大和は桜舞高校に入学した。
中学からの同級生の徹、才、和弥、美理などと同時に進学した。
桜が舞い散る学校で入学式が行われ、無事終了した。

「なぁ吉良はどこの部に入部する?」

下校中に同級生で同じクラスになった徹が歩みながら問いかけてくる。

「うーん…パソコンとかかな。」
正直運動よりも機械いじりやプログラミングの方が好きで将来はそちらの方面での就職を考えている。

「ええー!吉良運動神経いいのにもったいないよ。」

こちらは美理。徹のガールフレンドで隣のクラスになった。
明るい性格で異性同性問わず分け隔てなく接するタイプだ。

「吉良らしいや。俺もパソコン部に入ろっかな」

こちらは才。眼鏡がトレードマークの優等生。
人柄がよく真面目で気配りができ異性からの人気が高い。

「トールは?」

「俺かぁ…野球やろっかな!」

野球…そのワードを聞いて仲が良かった幼馴染を思い出す。
小学二年生の終わり頃。

「そんな…転校だなんて」
「親の仕事の関係でね…。寂しくなるな。」
「明日蘭…。」
「そんな顔するな吉良!俺はいつか野球で有名になる。そうなったら応援して支えてくれる!」
「うん…。」

「吉良?」
過去を思い出しぼーっとした僕の顔を徹が覗き込み、それに気づいて意識を取り戻す。

「野球…僕も挑戦してみようかな」
「ええー?!」

周りの驚きの声が、大きく響く。