新人職人がSSを書いてみる 34ページ目 [無断転載禁止]©2ch.net
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
新人職人さん及び投下先に困っている職人さんがSS・ネタを投下するスレです。
好きな内容で、短編・長編問わず投下できます。
分割投下中の割込み、雑談は控えてください。
面白いものには素直にGJ! を。
投下作品には「つまらん」と言わず一行でも良いのでアドバイスや感想レスを付けて下さい。
現在当板の常駐荒らし「モリーゾ」の粘着被害に遭っております。
テンプレ無視や偽スレ立て、自演による自賛行為、職人さんのなりすまし、投下作を恣意的に改ざん、
外部作のコピペ、無関係なレスなど、更なる迷惑行為が続いております。
よって職人氏には荒らしのなりすまし回避のため、コテ及びトリップをつけることをお勧めします。
(成りすました場合 本物は コテ◆トリップ であるのが コテ◇トリップとなり一目瞭然です)
SS作者には敬意を忘れずに、煽り荒らしはスルー。
本編および外伝、SS作者の叩きは厳禁。
スレ違いの話はほどほどに。
容量が450KBを越えたのに気付いたら、告知の上スレ立てをお願いします。
本編と外伝、両方のファンが楽しめるより良い作品、スレ作りに取り組みましょう。
前スレ
新人職人がSSを書いてみる 33ページ目
http://echo.2ch.net/test/read.cgi/shar/1459687172/
まとめサイト
ガンダムクロスオーバーSS倉庫 Wiki
http://arte.wikiwiki.jp/
新人スレアップローダー
http://ux.getuploader.com/shinjin/ 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:669e095291445c5e5f700f06dfd84fd2) 実に愉快
俺に文句言わない奴がいないことがこんなに気持ちいいとはwwww 富信が毎日俺の行く店、座る台を未来予知して細工して当たらないようにしてるな 中身見ずに表紙絵で抜いてんだからいいだろ
逆に文句言う店員最低だな 富信「宿題ガー」
てめえに提出する義務はない
富信「ハッパとジンクスコクピット」
てめえでぐぐれカス目の前の端末は荒らし専用か?
完全論破 へえドリフターズに出てくる織田信長は過去に存在した人物をモデルにしたのか
また賢くなったぜ https://youtu.be/Fz906kFHM9E
俺、理解力はある方だと思うんだが、この動画の最初の方の戦闘、命中してるのに変な色がついて撃墜されないのと
一発しかうってないのににきに命中してる理由がまるでわからん 演習戦も連装砲も分からない奴がシャア板にいる様になったか…
種厨のせいでシャア板割った影響が住人にも出て来てる。レベルの低いガノタばかりだな 掲示板に張り付きながらまとめ速報の管理人らしき発言を晒してはスレに貼り付けては
私生活を勝手に決めつけて批判
そんで個人の特定にせいを出す
いやーキチガイすぎんよ たねの制作費は高すぎ!
たねは動かない バンクだらけ
なにこの矛盾
普通制作費が高額なら動かしバンクを使う必要なくね? 嘘つきやん
大谷二刀流とか言われてるのにバット一本しか使ってないやん どこが二刀流なのか
二刀流要素ゼロ
ちなみに俺は両刀
左右の手に一本ずつ刀を持って戦う、剣術の流派。 富野信者って、ネットで威張り散らしてるけど、リアルで会ったらびびってしゃべれないんだろね
あー富信とオフ会してぇww オフ会
「お前が溝口か?(超小声」
ん?なんだこのデブボソボソ言ってよく聞こえないんだが
俺「え?」
「ひー!」
富信は逃げ出した
なんだったんだ? んじゃ明日昼2時に俺が通う大学の近くのカラオケでオフ会な ほらオフ会になると黙るんだw
まじチキンだな
ちなみに大阪の甲子園球場からも近いよ 店の名前と通ってる大学名書いてよ
ところで、大阪に甲子園球場がある惑星って何処よ
地球の日本国には該当する場所は無いですよ。
兵庫県の甲子園球場なら周知の事実ですが >>363
bisexualカミングアウトするなんてたまげたなぁ いろんなゲーム実況してる
ゆっくりって人実況下手すぎない?
なんか感情がのってない無気力そうな声で実況してるし
しかも声も聞き取りにくいし
あの人なんであんな人気なの? ───────v────────────────
,;;;-──‐-;;;,
彡'' ミ
彡 ドブ愚痴 ミ
/.-・==- -==・- ミ
.〈∵∴∵(oo )∴∵∵〉
(;∵∴;( ̄,,);;∵∴ノ
/⌒lヽ∵∴;;::||;∵∴イヽ⌒ヽ
/ /‐――r―‐‐-、 .| ヽ
.| / ミ厂 ̄{彡 `ヽ l !
| / 个'' `ー‐、 ヽ |
l l ∧,,∧ i} ヽ |
ヽ ノ (;゚;ё;゚;) '| ノ
丶__ノ ⊂∪(i)∪⊃ 人 ノ
| Pussycat >r´ ブリュッ、ビチビチ...
喋 ち l ____ / i テ ガ
れ ゃ l 〆____ \__/ j メ イ
や ん i γ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ \ソ く. エ ジ
!! と _ゝ ,,/'';~⌒\;;;;;;;;;;;;;ヽ \ /厶,. は か
日 「 / ;; /\ \;;;;;;;;;;;;ヽ \ / ー、 !!
本 ヽ ミ ー;;;;;;' ll ゙;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;ヽ \/ |
-┐ 語,√ 彡 ドブ愚痴 `:、;;;\ | |/| ,-‐' ̄`ー
レ'⌒ヽ/ ( -・==- -==・-' ,,, ',;;;;;\| / `'
彡 U )(OO)( U i,;;;;;ノ /
,(∵∴∵:) ';、;;'。;,;;i(。∵O∴∵i ̄ ヽ
/ .ヽ 。 / i::;;゚;;';。,l ヽ U i 人_,、ノL_,iノヽ
_ノ \_ヽ _y'\ ,' `:、゙゜ o ヾ`ーー',ι o /\ ノ ヽ、
`゙r ___ノ゙`ー------------─''´ ヽ,,,> __ 了
さ ゙フ ゚,、_ 0 o ) , / |
き | ,〉;;| く ノ >
え `ー, /;;;;;;t--―--、_ ! イ (
エ ,i' (~::,-‐-、:::昼飯:;`ー-、_ 。 ノ ゴ >
エ / ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;゙ー、~>::::::::::::) フ オ /
エ |  ̄~);;;;;;;;| ゙-' ̄~ ー、. オ )
エ ( `;、;;;ノ. (;;;;) ヽ オ >
エ / ~ ノ ッ ヽ
! ! ! / i ! ! ! ノ
本当に鹿児島じゃないなら鹿児島ってことにして置けば絶対安全なんだよなぁ・・・
つまり鹿児島です
※誤字にツッコまない優しさ
返信 ID:huQCwuDX0(12/12) やっぱり安全圏が一番やな
ここなら誰も俺に文句言えない さぁもうすぐオフ会の時間やな来なけりゃチキン確定だが果たして? 正確な集合場所も言わないくせして何ほざいてんだこのホモガキは 明日はヨシカズの給料日やし風俗行けること期待してもええかな? おれはちゃんと種のdvdも持ってるしね
四巻だけ
よく16話の燃える砂塵だけ視聴してる せっかく俺がヴィルキスで大阪のカラオケまで行ったのに 温泉の休憩所って最高だな
無料だし、涼しいし
ヨシカズは今日も休出だが7月まで冷房かけるなって虐待してリモコン持ってったから日中はずっと温泉の休憩所でスマホしてたり漫画読んでたりするぜ ヨシカズは貧乏で頭おかしいからね
俺が風呂にお湯入れる途中で半分ちょいしか入ってないのに
お前はそれで十分!それ以上入れたら溢れてもったいないとかwww
どうして半分より少し上で溢れるんですかね頭悪いな 何度も言うけど、大阪府には甲子園は存在しない
それと大阪付近の道路はまだ交通規制されてるとこあるんだけど 『・・・』
祝福の鐘の音が、群青の空に高らかに鳴り響く
花びらが舞い踊り、風が歌い、太陽が祝福の輝きを降らせる
穏やかで、晴れやかで、爽やかで、温かい、幸せに満ちた空間
どこまでも続く緑の絨毯、その世界の中央にあるのは純白の教会、幸せの集まる場所。
神父が聖書を広げ、神に報告する。今日、ふたつの魂が一つの結晶となる、その幸を報告する、顔のない神父が。
見守る大勢の人々、ある者は幸せを、ある者は焦燥を、またある者は悲しみを胸に、顔のない人々が。
父親に手を引かれ、少女がヴァージンロードを歩き出す、顔のない父親に手を引かれて。
ブーケの下になびく髪は、鮮やかな淡い金緑色、風に揺れて波を作る。
白い肌と桃色の唇、そして純白のウェディングドレスに緑に輝く髪、
向かう先には、誰よりも愛しい人。永劫の、そして一瞬の未来を共にする伴侶。
『・・・ヤメロ』
顔のない神父の横で、少年がその人を待つ。優しさと愛しさと、そして悲しさをたたえた瞳で。
何よりも、今この瞬間に自分がここにいる、彼女がそこにいる幸せをかみしめて。
やがて顔のない神父を挟んで少年と少女が、新郎と新婦が対峙する。二人の間には無限の愛と想いが溢れる。
神父が誓いの言葉を促し、新郎が力強く誓う、新婦がその身を投げ出すような柔らかい言葉で応じる。
神の前で、二人は向き合ったまま寄り添う、少年が少女のブーケを上げ、顔を近づける。 少年、そう呼んでいいほどの幼さを残した新郎、顔を赤らめ、凛々しさと優しさをたたえた黒い瞳で、少女を見つめる
少女、そう呼ぶには神秘的な、金緑の髪と琥珀色の瞳を持つ、まるで森の妖精のようなその姿を晒し、少年に委ねる。
二人の周囲には誰もいない。神父も、聖書台も、ステンドグラスに掲げられた十字架さえも。
寄り添う二人の間から光が輝き、やがて光の輪が二人を包み、光芒のシルエットとなる少年と少女。
周囲の人間全てと同じく、黒い影となった二人が今、誓いのキスを交わす。
そして抱擁。
もう離れない、もう離さない、誰にも分かつことは出来ない、運命だろうと、神様だろうとー
祝福の鐘が高らかに鳴り響き、花も、風も、鳥も、周囲の人々も、この幸せを祝福する
そして世界は、光に包まれ輝きに消える。
−二人は歩んでいく、この一瞬の永遠を−
『やめるんだあぁぁっ!』
がばぁっ!!
「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」
男はベッドから飛び起きる、全身に脂汗をかき、呼吸は乱れ、心臓は早鐘を鳴らし続ける。
なんという悪夢を見たのか。
あのおぞましい光景、身震いが止まらない。幾多の困難や死線をくぐってきた男が、心底恐れたその悪夢。
汗をぬぐい、呼吸を整え、心臓の収まりを待つ。それらがようやく安定してきたとき、彼はやっとベッドの傍らの
モニターから呼ぶ声に気付く。 「艦長!どうなさったのです、大丈夫ですか?」
通信士の女性の心配そうな声と表情を認め、男はようやく冷静さを取り戻す。
「ああ、心配するな、今ブリッジに行く」
軍服に着替え、気を落ち着けて艦橋に向かう。着いたとたんに艦橋にいる全員が心配そうな眼差しを向ける。
「艦長!なにがあったんです?」
「いきなり大声で叫ぶなんて、何事ですか?」
皆、一様に不安な顔をしている、それだけの理由がこの艦長にはあるのを、皆知っているから。
「ああ、大丈夫だ。ちょっと夢見が悪かっただけだよ」
その一言に全員から緊張が走る。この艦長が悪い夢を見た、それだけでこの艦のクルーにとっては
ただ事ではすまされないのだ。
「なにか異常の報告はないか?」
艦長の質問に副長が答える、
「いえ、『今はまだ』何も」
「そうか」
それだけを言うと彼は艦長席に腰を下ろした。
−それにしても−
彼は思う。なぜあの夢が悪夢に思えたのか、少年も少女も知らない人間だ、決して少女が初恋の相手でもなければ
少年が恋敵というわけでもない、なのになぜ、あの幸せな光景が、あれほどの悪夢に思えたのか・・・ そんなことを考えていると、通信士がコンソールを睨みつつ、耳のヘッドフォンを押さえて叫ぶ。
「艦長、本国からの通信ですが、ノイズが多くて・・・拾いづらいです」
「・・・どれ」
席を立ち、通信士の傍らに行き、ヘッドフォンを当てる。
そして「見る、聞く」のではなく、発信者の意図を「読み取る」つもりで画面と音を受け入れ、解釈する。
キーを叩き、その意図を文章にする。打ち出された文章レシートを通信士が読み上げる。
「我ら公国、本日1月3日、地球連邦軍に宣戦を布告せり」
艦内に「やっぱりか」という空気が流れる。この艦長が悪夢を見て、ロクなことが起こるはずがない。
1月3日、つまり2日前に本国は連邦と、ついに戦争に突入したのだ。長年の確執を経て。
ここは遠路の旅を祖国に向かう軍艦の中。ジオン公国木星エネルギー船団の先頭を走る、護衛艦ムサイの艦橋。
未開の宇宙を旅する彼らが、何より頼る艦長の乗る艦。
艦長は幾多の危機や予期せぬアクシデントを、その常人離れした直感や予知で切り抜けてきた超常の人。
彼が示した航路はまるで危険な場所を縫うように抜け、ヘリウム採取の際彼が指示した時間帯は
フレアが上がるタイミングをことごとく外し、彼が見た夢はその日の艦の故障部分を先読みしていた。
シャリア・ブル
後に「木星帰りの男」「最初のニュータイプ」と呼ばれ、連邦軍ガンダムのパイロット、アムロ・レイと
死闘を演じる男である。
1年戦争外伝、−HAPPY WEDDING−
プロローグ(0話)「HAPPY WEDDING」 久々、三流です。「顎」のあとがきでチラッと書いた話が具体化してきましたので
プロローグだけ書いてみました、続くかどうかは限りなく不明です。
なんせガンダムキャラもメカもほとんど登場しない、ほぼ全員オリキャラという、
一体どこに需要があるのか謎すぎる話ですからw >>391
全く新シャアでやる必要なく無いかにゃ? >>392
お前にレジバイトは無理だよスレタイの読めない阿呆 SS語る前に常識と道徳観と倫理から学んで来ようか
もしも児童か生徒でなければ、そこからやり直しした方が良いですよ 俺「お前うんこ流してないだろ 夜起きてトイレ行ったらお前のうんこを見せられ臭いを嗅がされて…嫌がらせか?」
ヨシカズ「違うそれは種信がトイレ流れないように細工したんだニダ!俺は悪くないニダ!」
俺「あぁ?!おめぇ事あるごとに種信種信って言ってるがなんだそりゃ?」
ヨシカズ「俺は悪くないいいいい」
パチン! 三流(ryさんは相変わらず渋いところを渋い表現でついてきますね。好きです。
自分も投下します。 ――艦これSEED 響応の星海――
敵は空母級を主軸にした戦艦レ級率いる空母機動部隊。その航空戦力は佐世保側の5倍超。
三人だけの【榛名組】が水雷戦隊を撃退した勢いのまま西進、ナスカ級を曳航していた重巡級をサラリと全滅させ、残りの潜水級を時雨と多摩達に任せ先行していた【金剛組】と合流してから早10分。
深海棲艦達が盛大に繰り出す攻撃機や爆撃機に対し、全力で迎撃機をコントロールし応戦する瑞鳳達によって、航空戦がなんとか拮抗しているこの状況下、勝敗の鍵を握っているものはズバリ戦艦級の砲撃だった。
互いに敵の姿を目視しない一進一退の長距離砲撃合戦は、更に苛烈さを増していっていた。
「ッ!? レ級から更に艦載機が出ようとしてる!! ごめん榛名、抑えきれないかも!!」
「大丈夫です瑞鳳、烈風隊はそのまま下がらせて! 鈴谷、三式弾で発艦前に先制! その後スイッチで10秒間、瑞鳳の抜けた穴を制空しつつ、榛名達の弾着観測もお願いします!!」
「人使い荒すぎない!? ま、やったるけどね・・・・・・! 三式弾用意良し、撃つよ!!」
ところで、突然だが。
人類と飛び装具には密接な関係があることはご存知だろうか。
いや、むしろ人類は飛び道具を使えたからこそ――起源を辿れば200万年以上も昔、原始より人がモノを強く正確に投げるに適した身体構造をしていたからこそ――
ここまで発達・発展することができたという説が存在していることを、知っているだろうか。
曰く、生存競争において素早さよりも強靱さよりも、リーチという武器こそが強力かつ役立つものだった。他の霊長類よりもずっと正確な投石・投槍で、どんな生物よりも狩りを成功させることができたから結果的に、
地球上で唯一無二の頭脳と器用さを獲得できたのだと。投擲能力を一つの岐点とした進化の流れがあった。
頭脳と器用さは言語と道具を発明し、必然、人類は加速度的に進化し地上の覇者となる。
そして人類の歴史とは戦争の歴史で、必然、戦争の歴史とは飛び道具の歴史でもあった。
人類と飛び装具には、遺伝子レベルでの密接な関係がある。
そういった意味では、超弩級戦艦は極地だった。圧倒的リーチはあらゆる敵を蹂躙する。大艦巨砲主義は時代の必然で、一つの時代の象徴、文化文明であったと言えよう。
ちなみにこれは更なる余談でかなりの極例でもあるが、かの旧日本海軍の隠し玉にして世界最大級の戦艦たる大和型の主砲45口径46cm三連装砲の重量は、
一基だけで当時の標準的な駆逐艦一隻分よりも重いものだったという。最大射程は40kmを超え、空陸海問わず「実用的な大砲」として最高の性能を誇ったソレを、大和型は悠々に三基も搭載していたとのことだ。
航空兵器やミサイルの登場により大砲は戦場から淘汰されていってしまったが、後の世にレーザー砲や電磁投射砲、荷電粒子砲や陽電子砲などに続いていくこの系譜、その威力は決して色褪せることはない。
たとえ航空兵器が幅をきかせている戦場だとしても、相対的に大砲の優位性が喪われている戦場だとしても、では絶対的に大砲の破壊力が劣化したかと問われれば、答えは絶対にNOだ。
「こちら翔鶴! 【いぶき丸】がナスカ級にとりつけたみたいです! 木曾さんも戻ってこれると!」
「わかりました。木曾が戻り次第、榛名達は敵艦隊左翼側面から切り込みます。その為に、まずは・・・・・・お姉様!」
「Yes! ワタシ達の実力、見せてやるネ!! Target lock on――Fire!!!!」
「目標11時空母群、撃ちます!!!!」 英国ヴィッカース社で建造された日本初の超弩級戦艦であり第一次世界大戦経験者、誰よりも長く誰よりも強く、東西問わず様々な戦場を駆け巡った高速戦艦の金剛。そして、その妹として轡を並べ続けた三番艦の榛名。
二人が艦艇時代から愛用している主砲、45口径35.6cm連装砲が断続的に火を噴いた。
水平線越しの弾着観測射撃。
翔鶴と龍驤、瑞鳳と鈴谷に護られた小さな小さな防空圏の元、計16門の砲口が仰角43度で、重量674kgの徹甲弾を連射する。
内幾つかはレ級に迎撃され、無事に抜けた砲弾も虚しく空母隊周辺に水柱を立たせるだけであったが、鈴谷の献身的なサポートにより散布界は急速に収束、数分後には遙か17マイル先にいた空母群の一角を殲滅させる。
「3時方向からホ級接近・・・・・・発砲! 直撃コース!」
「そんなもので! ワタシ達を止められると思わないことデース!!」
その間、左右から接近してきた敵軽巡級達がこぞって5inch単装高射砲で翔鶴や龍驤を狙ってきたりもしたが、金剛は機敏にその射線上に割って入り、戦艦としては比較的薄いがそれでも充分に硬い装甲で弾く。
榛名も同様に味方を庇い、お返しに副砲の15.5cm三連装砲による斉射で、地道に敵戦力を削った。
圧倒的リーチと積載量の暴力は、響と夕立のアクロバティックな近接格闘戦以上の戦果を軽々と挙げていく。なにかと出引き立て役にされがちな戦艦級だが、やはりあの師弟が異常なだけで、
引き合いに出されるだけの戦闘力と影響力を持っているのだ。
「にしても、こうしてっと夕立達がホンマモンの化物だってわかるもんやなぁ。いるといないとじゃダンチやでマジで・・・・・・って、アカン!?」
「龍驤!?」
「7時方向に潜水艦発見、雷跡多数や!! 数5・・・・・・いや7、開進射法!」
「レ級、発砲! 魚雷も射出してきたよ!? 数10、二集五散々布帯!」
「伏せていたの!? このタイミングで・・・・・・! くっ、これじゃあ逃げ場が!」
「Chill out! 隊列を維持したまま4時方向へ後退、鈴谷と摩耶は魚雷の対処を優先! ――だーもう、これだからレ級ってのは!!!! Fuck debris!!!!」
「オイオイお前が落ち着け金剛、地団駄踏んでる場合じゃねェぞ。気持ちはわかるけど中指立てンなって」
だが相手は最新鋭少数量産型の超弩級重雷装航空巡洋戦艦(ワン・マン・フリート)。
砲撃戦に雷撃戦に航空戦になんでもござれな、戦闘能力だけなら【姫】にも匹敵する万能戦艦に、最古参の超弩級戦艦はどうしても苦戦を強いられる。彼女一人の攻撃に【金剛&榛名組】はてんやわんやしてしまう。
レ級は間違いなく、現代における戦艦の極地だ。しかも厄介なことに、脅威は目前の敵だけではない。
敵は必ずなにかを仕掛けてくる。不測の事態は、ジョーカーは必ず来る。一度離脱した【軽巡棲姫】が搦手を使ってくるであろうことは火を見るよりも明らかで、最悪【Titan】の乱入も覚悟しなければならない。
その上、慎重を期して長期戦を選べば、瑞鳳達が持ちこたえられず雪崩れ込むようにして不利になるだろう。
現状が一進一退の五分なら、ちょっとした弾みで脆く崩れるのも同義。
ここで旗艦姉妹は高らかに叫び、仲間達を鼓舞した。
「とにかく! 【多摩組】と【いぶき丸】が曳航準備完了するまでの辛抱デース!」
「あと5分、それまでここは死守しますよ!! 大丈夫です。ここには榛名と、金剛お姉様がいるのですから!!!!」 そう。大前提であるナスカ級はこちらの手中にあり、作戦はセカンドフェイズに突入しつつある。
もう少し耐えれば、夕立と響を除く全戦力と合流できる。潜水級達を倒した【多摩組】と時雨、そして木曾が来てくれる。万全とまではいかないが攻勢に出るだけの、短期決戦に出るだけの余裕が持てるようになる。
そしてサードフェイズ、敵を押し込みながら後退という器用な真似で、ナスカ級さえ福江島周辺にまで移送できれば、前線基地に控えてもらっている戦車隊と連携できる。そういう手筈になっている。
それにジョーカーはこちらにもいるのだ。あの青年の動きが深海棲艦達の予想を超えたものになってくれれば、戦況はずっと楽になる。
タイミングとしてはもうナスカ級に乗り込んでもいい頃合いだった。キラはこの戦いの中で、船体内部に突入して調査を――もし可能であれば航行させてみると言っていた。
異世界の宇宙船というのは相当自動化が進んでいるらしく、非効率的だがシステムさえ生きていれば単独操艦ができるのだという。宇宙専用艦艇だが超伝導電磁推進機関のおかげで最低限の水上航行も可能で、
カタログスペック通りのパワーなら曳航されるよりかは速度を出せると。
加えてナスカ級はMS搭載型高速駆逐艦であり、内部にモビルスーツを抱えている可能性もあると。
まったく人類というものは、技術の進歩というものは本当に凄まじいと感嘆せざるを得ない。あれもまたC.E.という世界が行き着いた、時代の象徴の一つなのだろう。
そういった事情から、上手く歯車がかみ合えば、キラは戦線を刺激する存在になれると艦娘達は踏んでいた。
頼れるのなら、アテにできるのなら遠慮なくしたいと素直に思う。不測の事態を超えて、前回のように颯爽と助けてくれるのではと期待してしまう。そう思われるぐらいには、彼は艦娘達に信用されていた。
でもまぁ、それはそれとしてだ。
彼の成果があるにせよないにせよ、自分達が敗退してしまえば何もかもが水泡に帰すのだから、やはりここはいつも通りに、自分達だけで未来を切り拓く気概で臨まなければ。
どんなに科学技術が進歩していこうとも、どんなに世界が変遷していこうとも、この世界の戦線を支えるのは他の誰でもない艦娘である。彼女達は己の存在意義を果たすべく、一意繋心に戦闘を継続した。 《第12話:そのイデアは揺らがない》
そうした戦闘模様を、ソラから眺めているモノがいた。
高度およそ36,000km。
静止衛星軌道上の偵察衛星だ。この世界の人工衛星は六年前の凄まじい電波障害に伴い、その殆どが軌道制御不能となって交信途絶してしまったが、これは近年打ち上げられたばかりの新型であった。
深海棲艦撃退よる海域解放に比例して、衛星を用いた人類の通信環境も確実に復興しつつある。
「――結局、このナスカ級は新しく転移してきたってわけじゃなかったのね」
「タイミングは俺達と同時だな。10月25日にこの世界に来て、台湾から離れた座標に落着。そしてこの嵐で、福江島周辺海域まで流されてきたんだ」
天津風の確認に対し、シン・アスカは窓の外を眺めながら応えた。
広島の呉鎮守府は絶賛、嵐の真っ只中にあった。九州上空に在った時より若干勢力は弱まっているものの、依然として強い雨風は続いていた。時折閃く稲妻が、灰色に染まった街の空を迸る。
少し、無線通信が不安定だ。鎮守府は重要軍事施設なので停電の心配はないが、ブリーフィングルームの大型スクリーン上に出力された映像にラグが生じている。
ノイズに塗れた大海原に、出来の悪いアニメーションのようにコマ落ちした爆炎と水柱が咲いては消えていった。
ほぼリアルタイム、最大望遠での映像である。画面中央には小さくナスカ級のシルエットがあり、仮にもっと拡大できれば周辺で戦う艦娘達の姿を確認することができるだろう。
鎮守府の人間にはこうした映像を閲覧する権限があり、VIPとして籍を置くシンも例外ではない。佐世保が戦闘態勢に入ったと呉の提督に伝えられて以来、
シンと天津風はデスティニーの修理をほっぽり出してずっと画面に食いついていた。
ただ、今観ているのはリアルタイムな戦闘映像だけでなく、もう一つ、録画されていた過去の映像も同時に再生していた。
ある意味、よく見えもしない、今更どうやっても介入できない戦闘よりも、そちらの方が重要だった。
重要だから、シン達は暗い表情で俯いていた。
現場で戦っている者達よりもいち早く、二人は真実に辿り着いていた。
「・・・・・・生存者、いると思う?」
「・・・・・・、・・・・・・」
光学カメラのみならず、偵察衛星に搭載されたありとあらゆるセンサー・レーダーを駆使して、記録を遡りナスカ級をトレース・解析して解ったことは二つ。
「・・・・・・認めたくないけど正直、絶望的だよな・・・・・・。Nジャマー影響下とはいえ救難信号が出た痕跡もないし、ハッチもスラスターも一度だって動かないまま二週間以上漂流してる。
電装系がイカれた程度で棺桶になるような出来じゃないんだぞ、あの艦は」
「緊急時の備えとかも当然ある筈よね、いくらなんでも。・・・・・・雲に隠れたタイミングで脱出してたとか、そんなオチなら?」 「ありえないだろ、海のド真ん中でわざわざ脱出艇を使わないとか。あのサイズなら絶対どこかで映ってる」
「・・・・・・アナタがそう言うなら、そうなんでしょうね」
一つ。時空間転移という現象は、後にも先にも10月25日の一回きりであったこと。
二つ。割れた空からズルリと抜け落ちたナスカ級に、およそ中に人がいるとは思えない程に動きがないこと。あれはNジャマーを前提に設計されていて乗組員も訓練されたコーディネイターなのだから、
一人でも生存者がいれば何かしらのアクションがなければ、漂流するがままでいるのはおかしいのだ。
この二つの事実に、二人は打ちのめされた。
海面に落着した衝撃か、それとも転移のショックでとしか、考えられない。
或いはそもそもこの世界に来る前から無人であったことを、祈るしかない。
せめてあの物言わぬ棺が、佐世保に無事曳航されることを、祈るしかない。
「時空間転移、ね・・・・・・。改めて、ふざけた現象だわ」
少しばかりの黙祷を捧げ、いつも以上にしかめっ面になった天津風が、ふいに吐き捨てるように呟いた。
ここにきて急に怒りがこみ上げてきた。一体なんなんだと叫びたくて堪らない。あの異世界の宇宙船だって、内部に人が残っていようがいまいが、あんな風に終わっていい理由なんか何処にだってないのに。
一体、時空間転移とはなんなのだ。
これまで大して気にとめていなかった疑問が、遂に鎌首をもたげた。顔も知らない誰かの死を目の当たりして、噴出した。
「天津風・・・・・・」
「こんなトンデモなんかで一体どれだけの人が不幸になったのよ。ふざけてる。どうしようもなかった、仕方のない結果だったってのは私達も理解しているつもりよ。けど・・・・・・」
「すまない」
「だから、アナタは謝らないでよ」
この呉に来た当初、殆どの質問に対して沈黙を保っていたシンが応えた、数少ない回答。その一つを天津風は思い出していた。
この現象の元凶は決して、天災でも超常現象でも何でもない、意志ある人の手に依るものなのだと。
これは原始より連綿と続く人類の進化、科学技術の進化、赦されざる業の果てに依るものなのだと。
この騒動は『俺達の責任』なのだと、以前シンは言った。
幾つかの不幸や思惑が絡みついて、半ば事故のようなカタチで、悔やんだってどうにもならない理由だったのだけど、結果として巻き込まれてこの世界にやってきた男は、未だ明確に何があったのかは教えてくれない。
C.E. のアステロイドベルト出身の小惑星基地と共にワープしてきたと断言した男は、きっとなにもかもの真実を知る男は、未だ詳細を黙して語らない。
それは別に構わないと、少女は思う。 彼は元々、天津風達が佐世保防衛戦から帰還したタイミングで全てを話すつもりではあったという。しかしキラ生存の報告を聞いて、また一部記憶喪失になっていることを聞いて、
ならばまだ語ることはできないと彼は口をつぐんだ。今自分一人だけが真実を語ってしまえば『自分の責任がなくなってしまうから』と。
その意志は尊重したい。
しかし。
「でも、そろそろ教えてくれても良いんじゃない? こんなのがアナタ達の責任だなんて、やっぱり信じきれるものじゃないわ。超常現象のがまだ諦めがつくだけマシってもんよ」
そもそも、本当にそうなのか? 人は本当に人為的に、時空の壁ってやつを超えることができるのか?
戦争は発明の母と言うが、宇宙に上がって第五次世界大戦までやってしまう世界とは、そこまで行き着いてしまうものなのか。そこまでして倒したい敵が、いたのだろうか。
何かがちょっとだけズレただけで、この世界の人間も同じ道を辿るであろうC.E.という異世界。
なんの必要があって、その果てに至ったのだ。
なんの根拠があって、己の責任だと宣うのだ。
「時空間転移の技術。それがどうして生まれたのかだけなら、今のアナタでも語れるし、語る義務があると思うわ」
「・・・・・・そう、だな。それだけなら今の俺だって」
この世界に厄災を持ち込んだ技術が、善意であるのか、悪意であるのかだけでも、この世界に生きる人間には知る権利があると思うのだ。
知りたい。
今更なのかもしれないけれど、もう何も知らないままではいられない。でなけりゃ、ナスカ級の人達や、今戦っている佐世保鎮守府の艦娘達も浮かばれない。この機会は逃せない。
人類の進化と技術が、常に闘争と戦争から生まれたものならば、尚更。
天津風は、いや、人の業の化身である艦娘はやはり、人間の在り方という曖昧なものを考えずにはいられないのだ。
故に説明を求める。
佐世保の戦闘は一旦さておいて、そろそろ一つの謎を紐解かなければならないのだ。
もっともだとシンは思った。
「わかった、話す。・・・・・・でも先に言っとくぞ。これから話すのは、転移に関係あるかもしれない技術のことだ。前提を覆すようで悪いけど、だって、C.E.でも転移なんてトンデモ技術は確立してないんだからな」
「・・・・・・つまり、転移の理由そのものはアナタでも分からないって言うこと?」
「ああ。けど当事者だった俺が、まず間違いなく関係あるって思ってるものなんだ。それでも、いいか?」
「いいわ。可能性があるならなんだって。お願い」
少女の真摯な訴えを受け入れた青年は、瞳を閉じて黙考した。 (こんなの全然、俺の柄じゃないんだけどなぁ。説明役はレイとかアスランの方が向いてるってのに、なんだって。・・・・・・どう話したもんかな)
考えを纏める。少女は固唾を呑んで見守るしかない。スクリーンが表示する戦闘模様はもう目に入らなかった。
やがて。
やがて。
「・・・・・・VALKYRJA(ヴァルキュリア)理論」
どこぞのアニメ漫画でしか出てこないであろうキーワードと同じような、現実味のない響きがあった。
「ナチュラルとコーディネイターがやっと掴むことができた、希望の象徴。新地球統合政府が主導するユグドラシル・プランの根幹を成す、超光速航法の可能性すら内包した亜光速航法制御理論の名前。
C.E.の希望であった筈の、極地ってやつだ」
「C.E.の希望、だった筈・・・・・・?」
長い長い沈黙を破り、かつて大きな戦争を戦い抜いた青年はどこか疲れたような様子で、真実の一端を口にした。
ユニウス戦役を経て、シンやキラが今ここに存在している理由の発端を、語り始めた。 ◇
――またも突然な話だが、人類進化の流れの岐点に投擲能力があるのなら、長距離移動能力というのも同様にして、人類を人類たらしめる岐点の一つであった。
人類の踏破能力及び持久力は、全生物の中でもトップクラスの性能を誇る。
これがなければ人という種は現代においてもアフリカ大陸の一端で、類い稀な投擲能力もまったく活かしきれず非効率的な狩りに明け暮れていたかもしれないと言われている程に。人の狩りは両方揃ってこそだった。
となれば、頭脳と器用さを得た人類がこの二つの強力無比な武器を研鑽するのは当然の帰結。
投擲能力の極地が火砲なら、長距離移動能力は? 答えは乗り物だ。より速く、より遠くを求め続けて、人は大海原や大空どころか宇宙にまで進出してしまった。たった数千年の間という、恐るべきスピードで。
では次に目指すものは、亜光速航法とその先にある超光速航法以外にないだろう。
C.E.のヴァルキュリア理論とは、そういう極地であった――
「正式には、
Voiture・lumiere
All dimension
Linked
Kinetic repulsion
Yield element
Removal & compress
Jet & distortion
Active control
・
THEORY
・・・・・・ヴォワチュール・リュミエールを全次元へ連結、斥力エネルギーから生じる要素の転移・圧縮と噴出・歪曲を能動統制する理論・・・・・・のバクロニムだったかな。かなり無理矢理だけど」
「・・・・・・ごめんシン。アナタが頭良さげなこと言ってるのが意外すぎて頭に入ってこない」
「オイ。俺だってザフトのトップエリートだったんだぞ・・・・・・」
「とりあえずちょっと整理させて。斥力ってあの斥力? 重力と反対の、あの?」
「ん、流石にこれがどんだけヤバいかは解るか。まぁこの場合は万有引力の対になる。電磁的じゃなくて、物質的に空間を歪ませて反発する力としての斥力だな」
ある科学者集団が発明した、量子膜を自在に操って時空間にすら干渉する惑星間推進システム、ヴォワチュール・リュミエール。
そして同時期に別の科学者集団が発明していた、特殊な相転移によって強力な斥力を放射する斥力生成装置。
この二つを取りまとめて制御する為の理論であった。
「とにかく、量子膜と斥力を組み合わせるとなんやかんやで時空歪曲場を制御できて、相対性理論とかウラシマ効果とかを超えた亜空間を作れるようになったってことだけ抑えてればいい。
将来的にワープのような超光速航法もできるようになるってオマケつきの」 量子膜により球状に展開された亜空間は、内部の物質を運動量保存則や万有引力といった物理法則から擬似的に隔絶する性質でもって、一種の重力・慣性制御を実現する。
更に、移動する際に発生する慣性や抗力そのものを操り、一部を己の運動エネルギーとして利用することで無限の加速すらも可能とした。
SF的に言うところのバブル型亜光速航法である。
その時、宇宙に進出したと言っても地球圏でいっぱいいっぱいだったC.E.世界に突如、外宇宙進出が現実的な選択肢として降って湧いた。人類は、
有人機を短時間かつ少ない負担で亜光速にまで達せさせることができるようになったのだ。
しかも、理論はその先にあるゲート型超光速航法というゴールの存在をも示唆していた。極地を超えた、高次元へのスタートラインでもある存在を。
「結論から言うとだ。後にコイツは理論じゃなくて、一つの亜光速制御システムとして一度完成した。それであの時・・・・・・、・・・・・・そう、あの時。誰にも予想できないカタチで発動して・・・・・・気付いたら俺はここにいたんだ」
結果として、シン達はこの世界にやって来た。
幾つかの不幸や思惑が絡みついて、半ば事故のようなカタチで、悔やんだってどうにもならない理由で、誰も想定していなかった異世界への跳躍が成された。
原因はこの理論改めヴァルキュリア‐システムであることは間違いない。やはり時空間に干渉するなんて神業じみた所業は、人類にはまだ早過ぎたのだ。
例えそれが希望などと持て囃され、人類の為に実用化が急がれたモノであったしても。
「それってつまり――」
ここで天津風は質問を差し込んだ。
「――単に事故だったっていうこと? えぇと、暴走とかしてうっかり超光速航法、ワープってのが展開しちゃって、そしたら何でか世界を跨いじゃってた・・・・・・みたいな?」
「・・・・・・、・・・・・・まぁそんな感じ、なのか? うん。結局のところは大体そんな感じなんだろうな」
「だったらアナタの口ぶりと合わないじゃない。起動実験だかなんだか知らないけど、なによ、アナタのせいで失敗したとでも言うの? 責任ってそういうこと?」
小難しいことは分からないが、異世界の事情は断片的にしか知らないが、希望とされるだけの影響力があったのは確かなのだろう。
だとしたら、おかしいと感じた。
そういうモノは国家的というか、全世界的なプロジェクトになるのではないか? ちゃんとした人がトップに立ったちゃんとした専門組織で、研究や実験が行われるモノではなかろうか。
それがどうして、シンが沈鬱な貌で『自分達の責任』だと言う?
シンは新地球統合政府直属宇宙軍第一機動部隊副隊長だと言っていたではないか。
どうして、まるで全てを背負い込むかのような。
そんな単調なことが真実なのか?
「そんな理屈、私は・・・・・・!」 「いや、違うんだよ天津風。問題はそんなんじゃないんだ」
対してシンは静かに頭を振って、怒れる少女を制した。
「問題は、この跳躍が起動実験の事故だとか、そういう生やさしいモノなんかの結果じゃないことなんだよ。ヴァルキュリア-システムはもうとっくに実用化されて、制限内で使う分には安全が保証されてたんだから」
「・・・・・・どういうこと?」
「そして、ここからが本題だ。どうしてこの技術が生まれたのか、どうして必要となったのか。・・・・・・そうだよ。そもそも俺達の世界があんなんだったから、あんなシステムに頼らざるを得なくなっちまって・・・・・・」
「シン?」
ここまで話した内容は、技術そのものについてでしかない。システムは単なるキッカケに過ぎない。
二つの世界の人間を観たシンが、人間の出来そのものが違うみたいだと言ったまでの理由が、C.E.にあった。ただの理論、ただの技術でしかないヴァルキュリアを革命ではなく希望と称するまでに疲弊した、あの世界に。
「天津風、お前が知りたいのはそういうことだろ? ならやっぱり、俺達の世界がどういうものだったか話さなきゃならない。まだ俺が俺達の責任だって言った理由までは話せないけど、そこまでの背景なら言えるから」
自分の世界を、人間を、好きになれていない青年は言葉を紡ぐ。
「順を追って話す。俺達の世界がどうやって戦争を乗り越えて、時空間転移に近しい技術に至ったのか。全ての始まりってヤツを」
一つの歴史の顛末を語らなければならない。
さて。
VALKYRJA理論が初めて学会に発表されたのはC.E.75 Janだったと記憶している。
当時、故ギルバート・デュランダルがデスティニー‐プラン導入の前準備として行った、ロゴス解体とそれ伴う既存の経済システムの破壊は、それにとってかわる筈だったプランが結果的に導入されなかったことで、
世界を史上最悪の混乱状態に陥らせていた。
この点についてシンが思うところは多々あるのだが、今回は割愛させて頂こう。
兎も角、ロゴス壊滅による経済破綻・インフラ崩壊、二度の大戦によって減少しすぎた総人口、加速的に悪化していく自然環境、自らの行為に恐怖し疲弊した心、
暗躍するテロ組織等といった数多の問題は混乱を更に拡大させ、戦後の復興活動に対する大きな壁として立ち塞がっていたのだ。
それらへの対処こそが、ユニウス戦役を終えて間もない頃に成立・発足した新地球統合政府の役目であった。
しかし、正直なところ具体的にどうすればいいかなんて全く手探りだった。やるべきことが多すぎて五里霧中だった。けれど、まず決めて、行動しなければ始まらない。どんなものよりも即物的な魔法を欲していた。
だからヴァルキュリアは、タイミング含め間違いなく最高の魔法だった。
そして人類は、それに縋った。 「新地球統合政府は真っ先に飛びついて、人類復興を掲げたあるプランを立ち上げた。人類全体が疲弊していたからこそ、誰にだってわかりやすいシンプルな希望ある未来ってやつを提示した」
ユグドラシル‐プラン。
C.E.75 Marに新地球統合政府が打ち出した、外宇宙開拓を主眼とした全国家参加前提の世界復興計画。
政府は問題に対応する為に、全世界規模で複数の巨大公共事業計画を提示・主導し、全人類に自主的に従事させることによりインフラの整備と雇用問題の解決、人類の活性化、世界の復興を並行して達成させようと画策した。
それは、まず目の前の派手なパフォーマンスに取り込ませることで、細々とした精神的な問題を先送りにしたい政府の苦肉の策であり、時間稼ぎの一手でもあったが。
『我々人類は、真に新人類として、これまでの垣根を越え、真の新世界に飛び立つ刻を迎えている――』
世界が沸いた。
木星より異形の化石『エヴィデンス01』が発見された時と同等の熱気。人類は今度こそ、ネクスト・ステージに進める機会を得たのではないかという、期待。希望。
そうした状況下で立案・実行されたプランは、以下9つの要素から構成された。
1・地球主要都市及び宇宙国家プラントの復興。
2・新経済システムの構築とそれに伴う法の整備。
3・オービタルリング型自律式惑星防衛機構『ノルン』の建造。
4・第一軌道エレベーター『ウルズ』、第二軌道エレベーター『ヴェルザンディ』、第三軌道エレベーター『スクルド』の建造。
5・ヴァルキュリアによるバブル型亜光速航法とゲート型超光速航法の確立。
6・非回転型自律巡航式宇宙コロニー『ニダヴェリール』シリーズの建造、それによる地球圏以遠の探査及び開拓。
7・超巨大外宇宙探査・移民用環境宇宙船『ヴァナヘイム』シリーズの建造、それによる外宇宙の開拓。
8・地球環境の回復。
9・外宇宙進出による、総人類ネクスト・ステージ移行の促進。
尚これらを克服すべき目標としているが、実際に総てをクリアするには技術と時間と資源がいくらあっても全く足りず、超巨大外宇宙探査用環境宇宙船の建造とゲート型超光速航法の確立を抜きにしても、
軽く100年以上の歳月は必要不可欠と考えられている。ネクスト・ステージ云々については完全に妄想の域だ。
その為、この遠大で夢物語に等しい計画は、途中であってもある程度復興が進んで世界情勢が鎮静化した時点で、目的は達成されたと判断されるとのことだった。
その一方でオービタルリングと軌道エレベーター、バブル型亜光速航法、人工重力制御技術による非回転型自律巡航式宇宙コロニーはC.E.78 apr時点で実用化まで漕ぎ着けており、
これは当初の予測を大きく上回る快挙であった。
皮肉にも戦争によって高められた工業力と技術力の産物ではあったが、これにより宇宙開発と地球復興の速度は大きく向上するだろうと見込まれていた。 「新地球統合政府は真っ先に飛びついて、人類復興を掲げたあるプランを立ち上げた。人類全体が疲弊していたからこそ、誰にだってわかりやすいシンプルな希望ある未来ってやつを提示した」
ユグドラシル‐プラン。
C.E.75 Marに新地球統合政府が打ち出した、外宇宙開拓を主眼とした全国家参加前提の世界復興計画。
政府は問題に対応する為に、全世界規模で複数の巨大公共事業計画を提示・主導し、全人類に自主的に従事させることによりインフラの整備と雇用問題の解決、人類の活性化、世界の復興を並行して達成させようと画策した。
それは、まず目の前の派手なパフォーマンスに取り込ませることで、細々とした精神的な問題を先送りにしたい政府の苦肉の策であり、時間稼ぎの一手でもあったが。
『我々人類は、真に新人類として、これまでの垣根を越え、真の新世界に飛び立つ刻を迎えている――』
世界が沸いた。
木星より異形の化石『エヴィデンス01』が発見された時と同等の熱気。人類は今度こそ、ネクスト・ステージに進める機会を得たのではないかという、期待。希望。
そうした状況下で立案・実行されたプランは、以下9つの要素から構成された。
1・地球主要都市及び宇宙国家プラントの復興。
2・新経済システムの構築とそれに伴う法の整備。
3・オービタルリング型自律式惑星防衛機構『ノルン』の建造。
4・第一軌道エレベーター『ウルズ』、第二軌道エレベーター『ヴェルザンディ』、第三軌道エレベーター『スクルド』の建造。
5・ヴァルキュリアによるバブル型亜光速航法とゲート型超光速航法の確立。
6・非回転型自律巡航式宇宙コロニー『ニダヴェリール』シリーズの建造、それによる地球圏以遠の探査及び開拓。
7・超巨大外宇宙探査・移民用環境宇宙船『ヴァナヘイム』シリーズの建造、それによる外宇宙の開拓。
8・地球環境の回復。
9・外宇宙進出による、総人類ネクスト・ステージ移行の促進。
尚これらを克服すべき目標としているが、実際に総てをクリアするには技術と時間と資源がいくらあっても全く足りず、超巨大外宇宙探査用環境宇宙船の建造とゲート型超光速航法の確立を抜きにしても、
軽く100年以上の歳月は必要不可欠と考えられている。ネクスト・ステージ云々については完全に妄想の域だ。
その為、この遠大で夢物語に等しい計画は、途中であってもある程度復興が進んで世界情勢が鎮静化した時点で、目的は達成されたと判断されるとのことだった。
その一方でオービタルリングと軌道エレベーター、バブル型亜光速航法、人工重力制御技術による非回転型自律巡航式宇宙コロニーはC.E.78 apr時点で実用化まで漕ぎ着けており、
これは当初の予測を大きく上回る快挙であった。
皮肉にも戦争によって高められた工業力と技術力の産物ではあったが、これにより宇宙開発と地球復興の速度は大きく向上するだろうと見込まれていた。 「・・・・・・ちょっといい? なんか格好つけたネーミングの割に堅実というか、地味な手法なのね。なのに目的は壮大でなんかチグハグ?」
「結局のところ救済土木事業の超拡大版のみたいなもんだしな。再構築戦争後の宇宙開拓ブーム、第二次世界大戦直前のアメリカやドイツでみられた経済政策の再現でしかないし、
実際、そこを批判する声も少なくなかったよ。でもまぁ歴史に習うってヤツが一番で、名前は話題性があればいいんだとさ」
これもまた余談だが、ユグドラシル‐プランはその名の通り北欧神話をモチーフとしている。
北欧神話では、宇宙を形作る9つ世界における神々の闘争が主題とされており、全てはやがて訪れる最終戦争で滅び消え去り、より良き新しい世界が誕生するのだという。
ならば今のこの世界は最終戦争を終えたばかりの、いずれ消えゆく世界なのではないだろうか。そして未来に芽生えるより良き新世界の礎ではないだろうか。
そうした想いから新地球統合政府は闘争の終焉を願い、一連のプロジェクトやシステム名に北欧神話由来の名を与えることにしたと、ある女性が語った。
それは未来の全てを遺伝子情報で決定付けるデスティニー‐プランとは対極に位置する、不確かな未来に希望を託す行為であるのだと。
「んで、さっき言った通り亜光速航法は実現した。斥力を利用したスラスターをはじめ新しい技術もどんどん生まれてきて、頭打ちと思われてたC.E.の科学水準は一気に上昇したんだ。
・・・・・・そして、そういうのは新しく建造されたモビルスーツにも搭載されるようになった」
「それって・・・・・・まさか?」
ここで漸く、天津風はシンの言わんとしていることに感づいた。
「俺の機体、お前達に修理を手伝ってもらってる【GRMF-EX13F ライオット・デスティニー】にも、亜光速航法制御装置が搭載されている。
と言っても、デスティニーとかキラのフリーダムみたいな極一部のスペシャルモデル限定だけど」
ユグドラシル・プラン遂行にあたって、どうしても避けて通れないものがあった。
統合政府とそれに付き従う国家を敵視し、テロ行為を散発的に繰り返す危険分子の対処だ。特にオービタルリングと軌道エレベーターは格好の的で、護る為の力が必要だった。
それも圧倒的であり尚且つ長距離高精密誘導高速ミサイルや大量破壊兵器に頼らない、明確な個を備えるプロパガンダとしての力が。
性能や知名度は旧デスティニーや旧フリーダムで必要十分であったがしかし、もとより新時代を担う新地球統合政府が運用する機動兵器として、
いかに高性能であろうとZGMFシリーズやGATシリーズといった「前大戦の遺物」は相応しくないという世論があり、政府は直属の設計局を組織してGRMFシリーズを製造した。
なかでもシン達の機体であるEXナンバーは所謂ガンダム‐タイプのスペシャルMSであり『健全な抑止力』として設計された。最新鋭の装備をしこたま詰め込んだ超戦略級機動兵器(ワン・マン・フォース)の誕生である。
これらには亜光速航法制御装置ヴァルキュリア‐システムや擬似斥力場生成式相転移推進機構サーシファス・スラスター等が積まれ、それまでのMSを全て過去のものとした絶対的戦闘力を誇った。 人類の能力を増幅させるパワードスーツから端を発したMSという兵器カテゴリは、遂に究極の領域に一歩踏み出した。
すなわち神の領域に。
「戦争は発明の母って有名な言葉があるよな。同時にさ、戦争って技術を進化させるし、偏在化もさせちまうんだよな。テロ組織との戦いで洗練された新技術は、すぐに戦場の常識になったよ。
ヴァルキュリアを用いた機動兵器達が複数、同一の戦場を闊歩するようになるまでそう時間は掛からなかった」
人類は新境地を目指しながらも、争いを捨てられなかった。
希望と称した理論と技術さえも、人類は争いに組み込んだ。
対話を諦めて暴力を選んだ。
こうしてヴァルキュリアは、特別性を維持しながらも軍事分野に大きく食い込み、普及するまでに至った。
そしてあの時、共振とでも言うべき現象が発生したのはもはや、必然だったのだろうか。
「天津風、お前はどう思う?」
「どう、って・・・・・・」
「俺に話せることはこれで全部だ。どうしてこの技術が生まれたのか、どうして必要となったのか、俺が知る限りはここまでだ」
長々と語ったが、これが今のシンの語れる全てだった。
ユニウス戦役を経て、シンやキラが今ここに存在している理由の発端だ。
「・・・・・・」
「肝心要の、俺達がここに来る直前のことはまだ話せない。キラがストライクに乗ってた理由も、記憶喪失になっちまった理由も、あの小惑星基地のことも、悪いけどアイツが自力で思い出さない限りは駄目だ。
俺はそう決めてる。・・・・・・ここまで聞いてお前は、どう思った?」
言葉に詰まった。
今のシンの説明で、一つの謎が紐解かれたのは確かだ。この世界に厄災を持ち込んだ技術そのものは善意でも悪意でもない、人間社会の混沌そのものであったのだと、天津風は理解した。
以前にシンの言った通りだと。
この現象の元凶は決して、天災でも超常現象でも何でもない、意志ある人の手に依るものなのだと。
これは原始より連綿と続く人類の進化、科学技術の進化、赦されざる業の果てに依るものなのだと。
何が起こったのかは教えてくれないけど、まだ解かねばならない謎は多く残っているけど、想像できるだけのヒントはくれた。それを聞いてどう思ったのかと問われれば、しかし咄嗟に言葉は出てこなかった。
(・・・・・・時空間転移の直接の原因は、闘争だと言うの? それで暴走して、この世界に、沢山の謎を引き連れてやって来た・・・・・・そんなのってないわ。あんまりじゃないの)
ぼんやりと思い浮かんだのは、人類は所詮人類でしかないという、諦観だった。
どんなに高尚なことを言っても、どんなに大層な目標を掲げても、人は争いから逃げられない。そのイデアは揺らがない。人の種の限界を突きつけられている気分で、これではあまりに救いがない。 以前に己が発した言葉が脳裏を過ぎる。
『都合のいい、優しいだけの世界なんてないもの。どこも政治的な思惑に満ちてて・・・・・・言葉で、状況で、人は簡単に大きな流れに飲み込まれて――』
ああ。
『この世界も、アナタの世界も、ちょっとだけ何かが違っただけでしかないと思うの。だから・・・・・・そう、アナタの世界もそんな悲嘆することばかりじゃないって、人は過ちを繰り返すばかりじゃないって私は信じてるわ』
慰めのつもりの、勇気づける為の言葉だった。
でも、なんてことだろう。今となってはまるで虚しい。世界に絶望して人間の出来そのものが違うと悟った男に掛けてやるには無力に過ぎる。
今の自分に、シンに言うべき言葉はあるのか?
黙りこくってしまった少女を、シンは静かに見守っている。
しかしその妖しい光を湛えた紅い瞳は、こう語りかけてくるかのようだった。
『お前はもう一度、その言葉を言えるか?』
言いたい。言えるだけの経験と信念がある。けど、言える、と言い切れるだけの自信が無かった。
彼の絶望が解ってしまって、解きほぐすにはまだ力が足りないことに気付いて、言葉に詰まった。
それが悔しくて、哀しくて、天津風は言葉を探して視線をずらした。
「――・・・・・・、・・・・・・え?」
そして天津風は、全く別の要因で、言葉を失った。
「? どうした天津風――、・・・・・・なん、だと?」
不審に思って少女の視線を追ったシンも、同様に。
沈黙が場を支配する。スクリーンの静かな動作音だけがブリーフィングルームに響いた。二人は同じモノを見たまま指先一つたりとも動けなくなった。
すると、
「Es ist ein Notfall! 天津風、シンさん、大変だよ!!」
扉を鋭く開け放ち、エプロン姿のプリンツ・オイゲンが姿を現した。 「!? ――な、ぷ、プリンツか。 どうした? お前厨房にいたんじゃ・・・・・・」
「ビックリさせないでよ、もう・・・・・・心臓が飛び出るかと・・・・・・ってか包丁持ってなにやってんの」
「それどころじゃないの!! さっき提督(アトミラール)が言ってたのが聞こえたんだけど・・・・・・衛星が!!」
彼女の言葉と同時に、ブリーフィングルームに変化が訪れた。
ブツリと、佐世保の戦闘模様を映しだしていたスクリーンがブラックアウトしたのだ。一瞬故障したのかと思ったが、隅っこには「信号が入力されていません」と出ていて、つまり。
現実逃避気味に、シンと天津風は嵐によるアンテナの不具合かと思った。
だが違う。プリンツが今まさに言った単語が聞き間違いでなければ、真実は。
「偵察衛星が深海棲艦の攻撃を受けてるって・・・・・・。もう3基も墜とされてるみたいなの・・・・・・」
それっきり三人は何も言えなくなってしまった。
スクリーンが映像を出力することはない。大本を叩かれたのだから、これ以上ここにいる意味がない。
しかしシンと天津風は、縋るようにスクリーンを眺めた。どうしようもないと解っていても、それでも。
プリンツからの報告が大変なことだと理解できていても、それよりずっとショックな光景に心を蝕んでいた。C.E.の昔話に現を抜かしている場合ではなかったのだ。
「そんな、なんで・・・・・・」
「・・・・・・クソ、なんで俺は、こういう時に動けないんだ・・・・・・」
現実はいつだって非情だ。
いつだって祈りは届かない。
今まで大して気にとめていなかったリアルタイムの戦闘映像。
二人が偶然にも、最後にチラリと見たものは。
黒煙を上げて沈んでいく、バラバラになったナスカ級の姿だった。 以上です。
今回は要望に応えてシンのターン。今回はちょっとお堅いというか、意図的に流れをぶっちぎって歴史の勉強的なお話になりました。
これまでちょくちょく出てきていたガンダム系オリジナル用語の回収と解説を主としました。
ここいらでもう一度、過去のお話に目を通されると面白いかもしれません。 おお、久々に三流F職人さんが来てる
以前投稿されたBFのSS、IGLOOのSS共に好きだったので今回も楽しみにしてます
あとミート氏も乙
今の新人SSスレはさしずめ『天気晴朗ナラズシテ波マタ高シ』な状態ですが、逆風に負けずに頑張ってください >>ミート ◆ylCNb/NVSEさん
乙ですー。頭の弱い私は読んでいると頭から黒煙がw
いいヒキですね、シンの話が深まってきたときに衝撃の映像が!という展開が
次回を待ち遠しくさせます。
>>422さん
嬉しいお言葉ありがとうございますー。三流創作者にとってその一言で
モチベーションがストップ高です。近いうちに第二話書きます。
ただ今回は前作二つと違って、ベースにすべき作品が無いので
クオリティ的にはやや落ちるかもしれませんが・・・ それじゃ頭文字繋げてもバルキリジャになってしまうが
頭悪すぎだよ ん?SSに対してのアドバイスを行なってるんだが
読めてないのはお前だよ ワルキューレ(北欧神話)で調べればいいよ
ワルキューレ(ドイツ語: Walküre)は、北欧神話に登場する複数の半神。
戦場において死を定め、勝敗を決する女性的存在である。
彼女たちは王侯や勇士を選り分け、ヴァルハラへ迎え入れて彼らをもてなす役割を担ったが、これは尚武を旨とするヴァイキングの思想を反映したものと考えられる。
名称
日本語として定着した「ワルキューレ」は、ドイツ語の Walküre (ヴァルキューレ、ヴァールキューレ)に由来する。
北欧神話の原語である古ノルド語では、単数形が Valkyrja (ヴァルキュリヤ、ヴァルキュリャ)、複数形は valkyrjur(ヴァルキュリユル、ヴァルキュリュル)で、
語義は valr (戦場の死体)と kjόsa (選ぶ)を合わせたもので、「戦死者を選定する女」を意味する。英語では valkyrie (ヴァルキリー)という。 ワルキューレって書くとアイドルっぽい
ヴァルキリアって書くと凛とした女性っぽい
バルキリーって書くとランチおごらされるっぽい >>424,426
ID違えば別人とか言ってるくせになんで答えてるの? つまらない言い訳なら他所でどうぞ
埋め荒し無駄に終わっておめでとう ひさしぶりに伸びてると見にきたら頭おかしい奴に職人さんが攻撃されてたりしてげんなりする たしかに
野球ss書いてる職人様には頑張ってほしい
ミートみたいな頭おかしい奴に負けて欲しくないな ガンダムの小説のスレで野球()の小説書いてるやつの方が頭おかしいよ 1年戦争外伝、−HAPPY WEDDING−
第1話 「トオル君は今日も憂鬱」
宇宙世紀0070、8月。ここオーストラリア、シドニーのバルメイン・プライマリースクール(小学校)
5year(5年生)の教室。
休み時間、教室の一角に出来ている人だかりを眺めながら、日系人トオル・ランドウ君は今日も不機嫌だ。
1週間前までは、あの人だかりの中心にいたのは自分だったハズなのに・・・
人類が増えすぎた人口を宇宙に移住させて、はや半世紀。地球では世界各都市において「国際化」が
ほぼ円熟期を迎えつつあった。
かつて人口爆発が起き、難民や移民が急増した時、様々な事件やトラブルはついて回った。
当然である。宗教、常識、文化、風習、貧富、そして倫理観までまるで違う人々が入り乱れては
共存など望むべくもない。
喧嘩、犯罪、テロ、そして組織間の抗争に至るまで、あらゆる問題が政治家たちを悩ませていた。
しかし、スペースコロニーの技術の確立と、それに伴う移住の開始により、その状況は逆転した。
過密だった地球の都市は、移住によって急にスカスカになってしまったのだ。
人口はもとより、問題となったのが企業や文化の問題だ、新たなフロンティアを求めて宇宙に行ったのは
当然、意欲や才能にたけた、つまりは「時代を作る」野望に燃えた、歴史を動かすような人間たちなのだ。
逆に言えば、地球にとどまる人々はどこか夢のない、無気力で怠惰な人という印象を、なにより
地球に残った人たちがコンプレックスとして感じ取っていたのだ。
それを振り払うように、地球では海外旅行や留学や移住、国際結婚や国際転勤がブームになっていった。
遠い宇宙に行く人がいるんだから、地球でくらいもっと動こうという感情が、地球に残った人々を
突き動かしていった。 そして半世紀、今やどの国にも、様々な国籍の人間がいるのが当たり前になっていった。
このバルメインの小学校も、地元オーストラリアの生徒は全体のわずか4割という具合だ。
かつては文化の違い(主に海生哺乳類の扱い)でやや嫌われていた日本人も、今は普通に住んでいる。
そんな中に、この4月から彼トオル、ランドウ君は地元日本から転校してきた。
家庭環境が良かったのもあり、成績優秀、運動神経抜群、健康で容姿も水準以上、
なにより娯楽文化の高いオオサカと呼ばれた都市の出身であった彼は、人を楽しませること、
喜ばせることに長けていた。転入2週間で彼はすっかりクラスの人気者になっていたのだ。
しかし、1週間前に転入してきた生徒が、彼の立ち位置をひっくり返してしまった―
「今日は転入生を紹介する」
その先生の一言に、当然生徒は興味津々となる。いつの時代も転校生は注目の的だ。
しかし先生が続けて言った言葉に、その興味は天井知らずにハネ上がる。
「なんと彼女は、スペースコロニーから来たんだぞ、さぁ、入ってらっしゃい」
教室から歓声が沸く。地球間ならいざ知らず、スペースコロニーからの移住とは本当に珍しい
本来永住が基本のいわゆる「スペースノイド」が、地球に出戻るのは非常にまれである。
この教室にいる生徒全員が初めて見る、宇宙生まれの宇宙育ちの人間に、全員の注目が集まる。
その生徒がドアを開け、その姿を見せた瞬間、全員の息をのむ音が聞こえた・・・気がした。
緑がかった金髪、ゆるくウェーブのかかったその個性豊かな色の髪の毛。白い肌そして琥珀色の瞳
明らかに自分たちとは違う「人種」、それは宇宙人というより、おとぎ話に出てくる森の妖精を
イメージさせた。男子からは驚愕のため息が、女子からは黄色い歓声が沸く。 「セリカ・ナーレッドといいます、サイド2から来ました、よろしくお願いします」
やや宇宙訛りのある、透き通るような声で挨拶する少女、一呼吸遅れて教室に響く拍手。
そんな中、トオル君だけは不機嫌だった。自分が転入してきたときのパフォーマンスを
外見と出身地だけで上回られた。しかも名前もセリカ(天空)と来たもんだ、宇宙人の名前として出来すぎ!
だが、彼にとっての屈辱はここからがスタートラインだった。
体育の授業、今日は走り高跳びのテスト。高さを生徒自身が決めて飛ぶ形式。
トオルの記録は100cm、平均身長130のクラスにあって、3ケタをクリアできるのはわずか3人
彼以外は全員身長150cmを超える男子生徒だっただけに、トオルも評価はクラス1だった。
「125cmでお願いします」
「「は?」」
生徒と体育教師が固まる。ほとんど自分の身長と同じ高さを申告する転校生少女に全員の注目が集まる。
金緑のウェーブの髪の毛を両端でツインテにまとめ上げた彼女は、そのまま軽やかにバーに駆け寄り
その身を躍らせる、まるでオリンピックを見ているような華麗な背面飛び。
バーのスレスレ上を反り返った彼女の最高点、首筋〜肩甲骨〜背腰〜お尻〜膝〜足先となめるように
クリアしていく、足をバーから抜いて背中から着地すると、そのまま反動を利用して後転して立つ、
歓声と拍手が巻き起こったのは言うまでもない。
「すっごおぉぉい!」
「やっぱ宇宙で過ごしてるから、空中で体を動かすの得意なんじゃない?」
「ホント、まるで宇宙遊泳みたいだよな」
「同じでお願いします!」
対抗意識を燃やしたトオルがバーに突っ込んで、違う意味でウケたのはその1分後であった。 言語の授業、今日はそれぞれ母国語以外の言葉で役のセリフを朗読する、今回のお題は「赤ずきん」。
「オオカミはランドウ頼む。赤ずきんはそうだな・・・ナーレッドさんにやってもらおうか」
彼女以外は先生の意図をすぐに理解した。ことセリフの演技力においてトオルに張り合える生徒は
このクラスにはいなかった。そのまま声優として使えそうな大仰な喋りもトオルの得意技の一つだ。
彼女がこの朗読の授業において、照れ臭さから棒読みになるのを防ぐための人選である。
「それはね、お前の声をよく聞くためさ」
朗読しながら、トオルは勝ちを確信していた。見てろ、体育では不覚を取ったが、この授業なら・・・
「じゃあ、どうしておばあさんのお口は、そんなに大きいの?」
キタ、ここが勝負だ!さぁ俺の演技を見て驚けっ!
「それはねぇ・・・お前を、食べるためさぁーっ!」
静から動への声の動き、流れ、迫力、声量、どれをとっても文句なし完璧!
さぁ俺の演技にひれ伏せっ!!
「ひ、ひぃやぁあ・・・きゃあぁぁーーーーーーーーーーーっ!」
教室にいた全員がその悲鳴を聞いて引きつる、本当に命の危機に瀕したような、絹を引き裂く乙女の悲鳴。
トオルも皆も、あまりのリアリティに次のアクションが全く起こせなかった。その硬直を破ったのは
隣の教室から何事かと駆け付けた生活指導の先生だった。
「あ、すいません・・・下手でしたか?」
困惑した顔で見まわすセリカ、そのアクションでようやく我に返る生徒たち。
生活指導の先生が呆れ顔で帰ると、ようやく教室に拍手が巻き起こった。
おかげでしばらくの間、トオルは襲い掛かるイメージを植え付けられて、女子から距離を取られる始末だ。
まぁ一事が万事この有様で、1週間ですっかりクラスのスーパーガールの地位を得たセリカの周りには
人だかりが絶えなかったというわけだ、そして現在、トオル君は不機嫌だ。
「(くそ、あの宇宙人め・・・今度こそは)」
そんな対抗心を燃やすトオルに気付いて、セリカはトオルに薄い笑顔を向けて手を振る。
「(うぁ、むかつく!余裕かましやがってぇ〜〜)」
その対抗心が、二人を結びつける「縁」になることを、「トオル」はまだ知らない・・・ 1話ですー、難産でした、いやマジで。
大筋が出来上がってる話なのですが、冒頭の「入り」がここまで難しいのも初めてだ。
なんせオリキャラしかいない世界ですからねぇ・・・いいのかこれw 乙です
まさかの甘酸っぱいボーイ・ミーツ・ガールの予感。シャリア・ブルの悪夢との関係が気になりますね
ガンダムの外伝モノなんてオリキャラ作ったもん勝ちみたいなもんですよ 三流(ry氏乙です
前回とはがらりと変わってボーイ・ミーツ・ガール的な展開ですが場所がシドニーというのが気になる…
あとトオル君演技に気合入れ過ぎw
でもこのシリアスとコミカルの絶妙な配分こそが三流(ry氏の持ち味か
続き待ってます >>443
>>444
感想ありがとうございます。しばらくは「そういうお話」になりますw
一向にガンダムらしい話になりませんが、まぁそれは助走ということで
納得していただければ幸いです。
台風で仕事が休みだったので2話書きました、投下します。 1年戦争外伝、−HAPPY WEDDING−
第2話 「二人三脚」
昨日も、今日も、おそらく明日も、トオル君の奮闘は続く。
転校生、セリカ・ナーレッドに勝つための、無駄な努力という名の奮闘が。
ドッジボールの授業、セーフティエリアにはすでにセリカ一人、しかし四方からの球を
まるで全て予知してるかのような彼女の動きに誰一人命中させられない。
やがてボールを奪われると、やはり相手側で唯一人セーフティにいるトオルに四方から攻撃が来る。
持ち前の運動神経でボールから逃げつつ、カットする機会を伺う・・・が、
セリカの「カットすれば至近距離の私に当てられるよ」とでも言わんばかりの位置取りに
欲を出して無理に捕ろうとしたボールをこぼす、試合終了。
写生遠足の水彩画、ほとんどの絵が教室の後ろに張り出されているが、トオルの絵は職員室の一角に
数枚の絵とともに掲示されていた。
で、セリカの絵だけは校長室の応接椅子の上にあり、来客者を驚嘆させていた。
ニュージーランド遠足、ほとんどの生徒がナウルホエ山を描いてたのに、セリカだけはキゥイ鳥の絵
躍動感のあるその絵は数ある山の絵を圧倒していた。
水泳の時間、今度こそ勝つ!と息巻いているトオルだが・・・
水着姿のセリカは、森の妖精から水の妖精に早変わりしたような見事なしなやかな泳ぎを見せ
皆を魅了していた。まぁ元々カナヅチのトオルに勝ち目はなかったわけだが。
結局、雪辱を果たせないまま6year(6年生)に。ご丁寧に今年も同じクラスだ。
トオルが「それ」に気付いたのはそれから1か月たった頃だった。
休み時間、セリカの周囲には誰もいなかった。あれ、取り巻きどこいった?
相変わらず彼女はスーパーガールっぷりを発揮しているし、それをハナにかけることもなく、愛想もいい。
むろん森の妖精のような美貌も変わることは無い、じゃあ一体なぜ? 「あー、あいつといると、なぁ。」
いつの間にか自分の周囲に戻った取り巻きの一人、チャンはこう語った。
「なんかさぁ、自分が『脇役』みたいな気がしてさぁ、空しいんだよな」
転校以来の友人ジャックが続ける。
「誰にでもひとつくらい得意なもんあるだろ、これなら負けない、ってヤツ。
でも彼女はそれすらあっさり負かしてくれるからなぁ・・・自信無くすんだよな」
クラスの委員長、ミアが付け足す。
「なんかすごい記録とか出しても、全然喜ばないっていうか、あっさりしてるのよね
気取ってるわけでもないし、『特別』な感じがして、近くに居づらいのよね」
最後に全員が声をそろえて言う。
「「というわけで、頑張れよな、お前が頼りだ!」」
セリカを見る、こちらの視線に気づいて笑顔で手を振る。
取り巻きが離れていったことも、対抗意識を燃やされていることも、今の会話も全部知ってて
平然としているその姿は、確かに特別と言うべきものだろう。寂しくないのかなアイツ・・・
それからもトオルの挑戦は続いた。しかしそれは以前のような自己顕示欲からくるものでは
次第になくなっていき、むしろ相手のセリカという女の子を知るためのコンタクトになっていく。
無敵の彼女がもし負けたらどういう反応をするのか、勝つたびに孤独になっていく彼女が
何を求めているのか、そんなことを考えながら今日も黒星を重ねていく。
そして一年は駆け足で過ぎ去っていった。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています