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平成最終正当防衛・これが俺様の結論だ2019
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0001通常の名無しさんの3倍
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2019/04/29(月) 15:14:40.05ID:wF8GbZnv0
俺様のオ※ニーのおかずアニメ・特撮(近年限定)
2015年
終わりのセラフ、クラスルームクライシス、Charlotte、コメットルシファー、
サイコパス劇場版、蒼穹のファフナーEXODUS、東京喰種√A
2016年
クオリディアコード、亜人、シュヴァルツェスマーケン、灰と幻想のグリムガル、
僕だけがいない街、ダンガンロンパ3、ViVidStrike!、魔法少女育成計画、終末のイゼッタ、くまみこ
2017年
カオスチャイルド、王様ゲーム、DYNAMIC:CHORD、いぬやしき、
異世界はスマートフォンとともに、遊戯王ARC-V最終クール、機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ(#40〜#50)、Dies Irae(〜2018年)

2018年
覇穹封神演義、百錬の覇王と聖約の戦乙女、ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士(俺様の昨年の戦闘ヒロイン最高峰)、
青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない、奴隷区 The Animation、甘い懲罰〜私は看守専用ペット、
ハッピーシュガーライフ、魔法少女サイト、されど罪人は竜と踊る、Caligula -カリギュラ-、
俺が好きなのは妹だけど妹じゃない、殺戮の天使、BANANA FISH、ダーリン・イン・ザ・フランキス
音楽少女、ロードオブヴァーミリオン紅蓮の王、 魔法少女 俺、LOST SONG、新イナズマイレブン
2019年(平成31年)1〜4月
エガオノダイカ(俺様の平成リアルロボット系ベスト作)、けものフレンズ2
令和元年以降の予定
(まだ作品決まらない)
0055ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/03/21(日) 17:17:10.07ID:crNdcWCe0
 えー、どうにかペテロブルクの話は完結しました。
実のところを言えば、急遽即興の話を挟んだせいで下書きの方が進まず
ほぼ、この先の話はスタンバってません(苦笑) 誠に申し訳ない。
まぁこの先を進める為のピースはおおよそ揃ったと思うので、持ち直すのは早いんじゃないかなー、と楽観的観測w

まずこの平日でプロットをプロっていって、土日再開が目下の予定となります。
いい加減タイトル詐欺になるから、今度はU.C.100年の戦没者慰霊衛星から再スタートのつもりです
0056通常の名無しさんの3倍
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2021/03/23(火) 17:57:20.82ID:AA64132i0
登場人物まとめ
(未定のところも多いので、ぼやかすところはぼやかしてます)

◯カロル・ツキシマ
 主人公、29歳(U.C.0079)→50歳(U.C.0100)。
うだつの上がらない元バーテンダーの男。
コードネームは「プリョス」。
回想時点では「燃え尽きちゃいない」というより「燻ってるが火力が足りない」といったところ。
もしかしたらニュータイプかもしれない。
乗機は大口径バルカン砲重装甲車(バルカン・カー、砲手、U.C.0079)→???→ギガン→???→バギ・ドーガ(U.C.0100)

◯ペペ・ゴイゴビッチ
 ヒロイン?、10歳(U.C.0079)→31歳(U.C.0100)。
コードネームは「スルタンガリエフ」。
とりあえずダークブロンドの可愛い女の子
(如何にも金髪な名前なので濡れ烏は無理だと思ったが、金髪もベタなので間を取った)。
バーテンダーでしかないカロルが戦線に立つきっかけなので、ファム・ファタールと言っても差し支えない。
サイド3からペテロブルクまで流れてきた孤児であり、子供ながらスパイ活動の末端のようなことをしていた。
恐らく、大人になってからの方が明るい。

◯山南
 きっかけを作った男、40か50の飲んべえ(U.C.0079)。
面倒なので名前は「やまなみ」と読む。「さんなん」と読む奴は本スレ住民?
コードネームは「バトゥミ」。
普通免許は持っているらしい。

◯ネストル・ドニエストル
 山南たちの組織のメンバー。
コードネームは不明(本名で活動?)。
普段は皮肉まじりに豪快に話すが、仕事は寡黙にこなしていくタイプの若い女性、というイメージ。
ペテロブルク市街戦ではリジーナを装備した特製タチャンカで殿を務めた。

◯シャリアピン主任(コードネーム)
 山南たちの活動エリアの主任。
小柄な白髪の紳士といった出で立ちだが、決断する時は気迫がある感じ。
ペペの身内かもしれないし、そうじゃないかもしれない。
ペテロブルク市街戦では61式戦車で徹底抗戦し、生死不明となる。

◯ラザルス・コーウェル
 待たれよ。
0060ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/03/26(金) 07:55:55.20ID:+5Ysr55z0
最後

第11話 侵攻 >>48

第12話 大脱走マッドゲリラ'79 >>52

第13話 炎上のペテロブルク >>53

結局、これぞサンクトペテルブルク!とはならなかった感じ
巨匠とマルガリータくらい読んでおくんだったかなぁ...
0061ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/03/27(土) 00:10:59.22ID:Xgin1Gl50
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第13話 慰霊塔に火の雨は注いだ

〜U.C.0100 サイド3宙域 戦没者慰霊衛星〜

 落雷のような音を立てて、慰霊衛星が恐ろしく震えた。
墓地にいた俺とペペ、同じく誰かを悼んでいた人々、
シャリアピンの墓碑・・・その裏に空の棺がある・・・の、アクリルケースに入った模型のクラシックカーも震えた。
捧げられたばかりの百合と薔薇の花びらが、宙に舞う。
アクリルケースの裏に安置されたシャリアピンの魂も、震えたかもしれない。
衛星中にアラームが鳴り響き、赤色警告灯が異様な光を振りかざす。
言ってみれば、敵襲だ。

 「先に行っていろ」と言う間もない、ペペは俺の手を掴んで離さなかった。
また一人にするのか、独りになるのか。そういう眼差し。31だぞ、コイツめ。
...仕方がない。この娘はこうなったら意地でも離れてくれない。
俺はペペの手を引いて行くところへ行った。

ーーーーー

 幸い、ここまで火の手や深刻な空気漏れはなかった。
「お疲れ様です、同志カロル」
「うむ、ご苦労」
形式ばった挨拶はそこそこに、俺はその相手ヴァシリー・バシコルトにペペを預けた。
「カロル?」
「難民だ、丁重にな」
「?! しかし、ここは組織の者にしか...」
「ヴァシリー、チアトゥーラはコロニーとそこの民を守るために作られたのだ。
 チアトゥーラのためにコロニー市民を泣かすようでは、本末転倒だぞ」
「はっ!」 (*`・ω・)ゞ
「ペペも暴露本なんか書かずに待ってるんだ、もうお前を膝に乗せるわけにもいかん」
「...うん」
実際、50を過ぎて腰が弱ってるのは事実だ。冷え症も出てきている。
「機体は3番ゲート、セノーテ・ホールの隠し堀です」
「『隠し堀』とはよく言ったものだが...
 生きている者が死んでいる者に頼ったのだ、バチが当たったな」
俺はノーマルスーツを着て、ハンド・グリップを手に所定のゲートへ向かおうとした...が
グリップは飛んでいった...ガイドレールが敵の襲撃で切れて、漆黒の海へ直行したのだ。
0062通常の名無しさんの3倍
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2021/03/27(土) 00:53:54.43ID:qYwYPabn0
ヒロインとタンデムする→主人公が50代なのでキツい
ヒロインをMSの手に乗せる→宇宙テロ時に無防備過ぎ

状況を煮詰めていくと、出来ないことが増えていきます
0064通常の名無しさんの3倍
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2021/03/28(日) 00:31:55.54ID:HjPr5Ezt0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第14話 蟲取篭は封を開いた

 ハンド・グリップこそ宙に消え、その先に閃光...核融合爆発が轟いたが
俺は無重力に浮き上がっていた壁を蹴り、小さなデブリは大きなデブリを盾にして
煙たなびく線香、浮かぶ接続部のナット、樹木葬ブロックから吹く土埃...
やっとこさ、件の施設へとたどり着いた。

 隠し堀(MSデッキ)に機影を見つけ、それがどの部位かも分からず飛びつく。
それを梯子のようにして昇っていくと、段々と分かった。これはフロント・スカートだ。
ハッチ手前にメンテナンス用の照明スイッチが仮設されていたので使う。

まだ施設の電気系統が生きていた。
そこに浮かんだフォルムは......MSN-X4 バギ・ドーガ。
このような機体が、まだ息をしているとは。

ハッチを開き、ノーマルスーツのバックパックを背もたれに固定、簡易チェックに入る。
「燃料、出力系統...よし」
いくつか不明瞭な装備もあるが...一か八か、やってみせるか。
「カロル・ツキシマ、バギ・ドーガ、出るぞ!!」
モノアイに灯がつく。周囲確認、敵影なし。
何年ぶりになるだろうか。
この感触、このルーチンに心が踊る。
0065ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/03/29(月) 00:08:07.43ID:Dy9GUp250
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第15話 燕島は血の泡と消えた Part1

 部屋にあった銃剣付きビームライフルを取り、
サイドスカートのサーベルラックの動きを確認。
ポンピングさせ、戻す。ポンピングさせ、戻す。
直ぐ抜けることを確認した上で、こちらへ漂ってきた金属の扉を盾とした。
先ずは宇宙へ出る...そこからが戦じょ...?!

 俺は咄嗟に金属の扉を来た方に押して戻した。
それを払い除けるハイザックの手......(ピキューン!
壁越しに撃たれたハイザックは爆発で壁を貫き...
それを観測して寄ってきたレコン・ザクは、(ジャゴゴゴゴゴゴ...
直ぐ様、サーベルの刺突に沈黙した。

 そのまま、爆発で空いた穴から慎重に宇宙空間へ脱出し
壁を背に、噴射ベクトルが影になるように壁沿いを張ってゆく。

ーーーーー

 もう何処から発進したかは気付かれないだろう。
戦没者慰霊衛星の頂点の手前でMSの前後を入れ換え、目立つようにバーニアを吹かす。
寄ってくる。寄ってくる。
ネモと、バーザムと、ドライセン。
何れも足りない部分を改造しており、先方の懐事情が読めるようだった。
バギ・ドーガのサイコミュ連動が、そのように感じさせてくれるのかもしれない。

 ドライセンがビーム・トマホークで大振りしてくるのを傾いて避けると、ネモの2連射。
所謂ダブルタップでこちらを容赦なく狙ってきている。
肩のバーニアも使いそれを躱せば、両手にトンファー状のビーム刃を持ったバーザムの追撃。
振るわれるトンファーをこちらも両手にサーベルで押さえ、コックピットを蹴りつける。
よろけたところを持ち直したライフルで撃墜。
撃たれたバーザムは衛星を離れてゆき、閃光の中に消えた。
続いてライフルを速射モードに切り替え、360度に掃射。
内1発が突進してきていたドライセンに当たり、トマホークを持った手が爆裂したところを
銃剣で胴体ごと袈裟斬り、残るはネモのみだ。
0066通常の名無しさんの3倍
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2021/03/30(火) 00:26:23.40ID:p6q88Dah0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第16話 燕島は血の泡と消えた Part2

 睨み合うバギ・ドーガと改造ネモ、両者とも隙が見えない。
バギ・ドーガがほぼベース機に準じた改修であるのに対して、改造ネモの変化は大きい。
ジムIIIのバックパック、ドーガ系のビームマシンガン、R・ジャジャの鞘付きビームサーベル...

 先に動いたのが改造ネモ、連射モードのマシンガンで武器破壊を狙ってか。
しかしバギ・ドーガもバーニアで身を翻してペレット状ビームの雨を躱し、速射で三連射、
これらもバーニア・アームを駆使した改造ネモに回避された。
一度距離を取った改造ネモは、腰の鞘付きビームサーベルで上から突き刺しに来る。
バギ・ドーガはサイド・スカートのサーベルで受け止めるも...
高出力サーベルの刃にジワジワと押されていく。
すんでのところで高出力サーベルを弾いたバギ・ドーガは、サーベルをトマホークモードにし
下から切り上げに来た改造ネモに応戦、再び鍔迫り合いを繰り広げる...
高出力サーベルのビーム刃の上をビーム・トマホークが滑り、前腕を破壊!
改造ネモはバーニア・アームのサーベルで再戦するも、今度はネモの方が出力に押される。
形勢は逆転した。改造ネモはサーベルごと斧で胴を真横に切り裂かれ、爆散した!

ーーーーー

 敵機の来た軌道からおおよその敵母艦の配置を感じ取る。
2時の方向、廃棄されたプラントの陰、旧式チベが2隻に.........ムサイ改が1隻。
おそらくムサイ改はグリプス戦役か第一次ネオジオン抗争のどさくさに流出したものだろう。
そうこうしてる間にも、遠巻きからロケット弾頭やビームが慰霊衛星を掠める。
衛星の対デブリレーザー網が破られるのも時間の問題だ、というか撃たれてないところから侵入を許したわけで...
俺は一刻も速く、敵の移動拠点を潰すことにした。
0067ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/03/31(水) 21:57:13.18ID:B09eeqsH0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第17話 燕島は血の泡と消えた Part3

 ハイザック、セミストライカー、ザクキャノン(連邦カラー)...
旧式のバーゲンセールが次々と攻め立ててくる。
こちらは援軍もなく、ワンマンアーミー、やれやれだ。
先ずはザクキャノンの砲撃を避けるにつれ導かれ、ハイザックと対戦。
ハイザックのヒートホーク改を銃剣で受け止めんとするも、付け根側を斬られてしまった。

すかさずビームライフルの銃身をヒートホークごと捨て、
斬り落とされた銃剣を敵のコックピットに突き立てる。
次の瞬間に後ろからセミストライカーの一突き!
すんでのところで避わすも全回避ならず、左サイドスカートと内蔵サーベルを失う。
避わした勢いのそのままに右回し蹴り!
のけぞったセミストライカーを残ったサーベルで刺殺。 機体は静止した。
ザクキャノン(連邦カラー)はビッグガンをぶっ放す、セミストライカーを巻き添えに。
俺はサーベルをトマホークモードにして盾代わりに突撃するも、
平行したガトリング攻撃でトマホークの基部を砕かれてしまった。
続く攻撃を咄嗟に回避し、距離を取る。
ガトリング、ビッグガン、前腕部3連ミサイル(ズサからの流用)
ザクキャノンによる実弾の嵐、未来は誰のためにある?
バギ・ドーガの両肩バーニアを全開で吹かし、噴射炎で全てを焼き尽くした。
はたして帰還用の燃料が残っているのやら...
0068通常の名無しさんの3倍
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2021/04/01(木) 21:14:47.31ID:aYVVZOQN0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第18話 燕島は血の泡と消えた Part4

〜U.C.0100 サイド3宙域 ムサイ改級コスメル、艦橋〜
「ふぁはぁぁ〜〜......もう、潮時かもしれんなぁ...」
艦長席のドランド・グストロフ''元''大佐は肩をすくめた。
「何を仰るんですか。それに作戦行動中の欠伸は控えてください、大佐」
「だってよぉ...」
彼としても、世直しとか義賊というのを心底本気で気取っていたわけではなく
滅びゆく者のため? いや振り上げた拳の下ろしどころを決めてしまったというべきか。
つまるところ、この70になるかどうかのホームレス階級の老兵は
戦没者慰霊衛星で、どうにも収まりのつかないこの気持ちを露にし
「このままサイド3を、連邦に降してよいのか?!」と1席ぶちたかったのだ、それだけだった。
それが同じ気持ちだと主張するアイツやコイツにノセられて、気がつけば強訴の主犯そのもの。
しかも肝心の犯行声明の類を出す前に、
用意されて連れていた何機ものMSが敵1機に蹂躙されているのだ。
担がれた家なきジジイ、ジオンではいつも通りの内部崩壊の兆し...
おかしくなって笑いだしたくなる気持ちを抑え、ドランド元大佐は戦線に目を凝らす。
「敵は来る、馬鹿は来るぞ」
「同志が奮闘しております」
「そうは行っても間近まで来るんだぞぉ」
ドランドは小考した、もはやハッタリの戦力は瓦解する。
死に場所が来た、そう思うと不意に目が冴えてきた。
「チベ共には自動砲撃に切り換えて降りるように伝えろ、敵味方識別で撃たれないようにな」
「アタシらはコムサイでトンズラだ。
 先にMSを積んどけよ、殿にする」
「機体には、誰が?」
「老骨の埋め処くらい好きにさせとくれ」
「大佐......」
0069ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/01(木) 23:47:05.77ID:aYVVZOQN0
明日で戦没者慰霊衛星の件は大体カタを着けます。

>>65
カロルのバギ・ドーガはサイドスカートを改造して、ギラ・ドーガと同じ
ビーム・ソード・アックス(劇中ではビームトマホークと表記)を収納してます。
原型機にはビームサーベルの類は設定されてません。
強行偵察型ザクを本作では「レコン・ザク」と表記します

>>68
ドランド元大佐の一人称「アタシ」はコロンボとか漁師のようなノリです。
別に彼がトランスジェンダーということではありません
0070通常の名無しさんの3倍
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2021/04/02(金) 07:55:39.23ID:1shaOulM0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第19話 燕島は血の泡と消えた Part5

〜U.C.0100 サイド3宙域 戦没者慰霊衛星 近海〜

 ザクキャノン(連邦カラー)に加えてジムキャノンも戦列に加わってきた、無論敵機だ。
2機は互いを撃たない絶妙なコンビネーションでバギ・ドーガに砲撃を浴びせんとする。
俺はジグザグに避けながら隙を見てザクキャノンに肘打ち、ザクマシンガン改を奪う。
最初の3発をザクキャノンの土手っ腹に、撃墜し、ジムキャノンの360mmロケット砲を機関砲で相殺しながら
射角を見てビームスプレーガンを持つ腕を点線で切る、吹っ飛んだ。
なおもロケット砲を撃ってくるジムキャノンにザクマシンガン改の残弾をお見舞いし、爆裂。
獲物をビームスプレーガンに持ち替え、さっきのセミストライカーが遺したツインビームスピアを手に取った。

ーーーーー

「みんな、達者でな」
「敬礼ッ!!」
(こいつらポーズこそ気合いを入れてるが、本当にアタシなぞに敬意を払ってるのは何人だろうか? ゼロかもしれん。
まぁいい、この際だから徒花しかと散らしてやろうじゃないか、それくらいに思わなきゃやってられんよ)
ドランド元大佐はコムサイの格納スペースで、上部(航行時は下部になる)ガイドレールに懸架された機体を見やる。
ザク・フリッパー......そもそも戦闘用の機体ではないが、仮にもジェネレーター部はハイザックのものに換装してあり
餞別にビームランチャーとビームピストルも装備さけてもらっている。
(...ついにゲルググなんかには乗れなかったなぁ)
ドランド元大佐は死の際へ、機体ハッチへ足を踏み込み、跳躍した。
0071ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/02(金) 08:52:25.53ID:1shaOulM0
 艦影が見えた! チベ2、ムサイ改1、直感の通りだ。
俺はバギ・ドーガのバーニア・アームは温存し、デブリを蹴りながらメインスラスターで艦隊に迫った。
対空機関砲やメガ粒子砲を避けながら有効範囲でスプレーガンを撃ち、チベの艦砲を破壊。射線の死角に潜り込む。
敵機はないようだし、あっても味方艦に接触してるので無闇に撃てないはずだ。
「行け、モビルビットたち」
バギ・ドーガの胸部ハッチからディスクアニマル状の艦内制圧用ビットを出す。
右胸のフィーフリッグは甲虫型で、艦内構造を解析しながら接敵時にスタングレネードを撃てる。
左胸のカングレーウはシオマネキ型、ハッキングに精通し接敵すればハサミ状のスタンロッドで拘束・気絶させる。
...変だ、この艦には人っ子一人認識できない。他の艦隊も動きが不自然で、無人のオートメーションを思わせる。
モビルビットを引っ込め、戦艦を潰していく。
1つ!(チベ)、2つ!(同左)、3つ(ムサイ改)...!

 爆散の刹那、ムサイ改から勢いよくコムサイが射出された!
バルカン砲と船体を避けると、船尾ハッチからザク・フリッパーが滑り出してくる!
そいつはビームランチャーで牽制射を重ねる、あまりに正確なので俺はコムサイを逃がしてしまった。
バギ・ドーガ側からもビームスプレーガンで応戦するも、直ぐ弾切れ!
構えたまま距離を縮めようとするが、向こうの砲撃が強きになったのを見るにバレてるのだろう。
ザク・フリッパーに撃たれるのが先か、こちらがツインビームスピアを突き立てるのが先か...
0072ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
垢版 |
2021/04/02(金) 09:04:24.15ID:1shaOulM0
ちなみに
フィーフリッグ(vuurvlieg)→蛍(アフリカーンス語)
カングレーウ(kangreu)→蟹(パピアメント語)
です

前者の言語はドイツ語の影響が強い(と言ってもGlhwurm/グリューヴルムには似てない)ですが
後者はポルトガルやスペインの影響もあって、カングリジョに近いですね
0073ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
垢版 |
2021/04/02(金) 09:22:22.47ID:1shaOulM0
「嫌な敵に当たってしまったぁ...」
ザク・フリッパーの全身のアポジモーターをブイブイ言わせながら、ドランド元大佐は嘆いた。
敵は撃っても撃っても当たらない、しかも推進剤をセーヴしている節がある。
向こうにはバーニア・アームも肩部連接スラスターもある。
もしも彼が間もなく討たれて、十分余裕のあるそれらでコムサイを追われたら
巡航速度を出し切れない素人操舵の仲間たちは、あっという間に屠られるだろう。
だがドランドは見逃してなかった、敵機はビームスプレーガンを構えたまま撃たないのだ。
(さてはジャンクから掘り出したような代物で、装弾数以前でショートしたなぁ...?)
ならば、わざわざ物騒な槍を持った相手の間合いまで詰めることはないのだ。
全身のセンサーを駆使してデブリを避け、遊ぶように舞い、敵の推進剤をスッカラカンにしてやればいい。

(バボォン!!

「何ぃ?!」
だがオンボロ装備はザク・フリッパーも同じで、撃ってる内にビームランチャーが暴発して使えなくなった。
「ちっ」その隙に距離を詰めるアンチクショウ、すかさずビームピストルを構えデタラメに発砲。
間近のそいつと互いの有効範囲ギリギリで睨み合う羽目になる。
「もーやだっ、こんな生活!」
コムサイはもはや噴射ベクトルの見えないところまで退避していた。
0074ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
垢版 |
2021/04/02(金) 09:53:27.34ID:1shaOulM0
 いきなり、バギ・ドーガからザク・フリッパーへ通信が入る。
ビームピストルは構えたまま、ドランド元大佐が受け取ると...
「返すよ」
「何!?」
バギ・ドーガの手から放たれたビームスプレーガンに視線が向いた隙に、カロルは下からツインビームスピアを刺した。
コックピットごとドランドは消し飛び、
眼下には暗い宇宙空間と、破片を受け止めるプラントの残骸、そして小破した十字状の戦没者慰霊衛星だけが残った...

ーーーーー

「さて...どうしたものやら」
バギ・ドーガ、ろくな準備もないままの戦闘でガス欠である。
と、向こうからスペースランチの灯りが見えた。
チアトゥーラも、こういったサバイバル物資だけを慰霊衛星に置いておけばよかったのだ。
そうすれば変に勘ぐられることで、このようなテロに遭うことも無かったかもしれない...

「先に戻って事後処理をしておく、ゆっくりJAFの仕事をしてくれ」
俺は宇宙スクーターを借りて待たせてる奴らの元に向かった。

ーーーーー

「よっ」
「おかえりなさい、カロル」
「ご無事で何よりです、同志カロル」
救護やら補修で慌ただしい慰霊衛星のドッキング・ベイ。
バギ・ドーガは仲間が近海のダークコロニーまで運んでくれる。
宇宙スクーターは普段から点検に使われるようなものだし
セノーテ・ホールに残された予備パーツなどは、勿体ないが敵の忘れ物ということでプチモビで放り出した。
怪しい書類は火葬場で......後々バチが当たるかもしれない。
地元・連邦の警察に疑われるようなことはあるまい。
これで上層部が頭を冷やしてくれればいいのだが...俺は次の秘密基地を何処を提言しようか、そこを考えていた。
まるで遊びに胸が弾む子供のようだった(目の前に自分の半分くらいしか生きてないヴァシリーたちがいるのだが)。

戦没者慰霊衛星編 完
0075ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
垢版 |
2021/04/02(金) 09:57:54.30ID:1shaOulM0
書き忘れてたけど、70前後で機動力だけあるザク・フリッパーで
ドーガ系と戦わされたドランドは、心身ともにボロボロだったと思うのよね...
というわけで辞世の句とかは抜きになりました
0077ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
垢版 |
2021/04/03(土) 08:18:33.15ID:ytL2vlcW0
>>76
ありがとうございます!
何から何まで力不足(約1ヶ月かけて、よーやく敵キャラ1人の心象を出せるようになりましたw)の本作ですが
ツッコミでも入れつつ読んでいただけると幸いです

先にネタバレしておくと、もしゲルググのビームナギナタが出てきたら
本作では「ツインビームソード」と表記します、どう見たってナギナタじゃないものw
まぁそんなノリですので、それは違うよ!と思われたら遠慮なく言ってください
0078ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
垢版 |
2021/04/05(月) 17:09:12.92ID:b6SnnYrP0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第20話 それぞれの旅路

〜U.C.0079年 地球 ペテロブルク近郊〜
 ジオン軍の地上部隊が南部の町オルトロフを占領し、ペテロブルクへの橋頭堡にすると
もはや民間レベルの抵抗ないし調略では対応できなくなり、やむ無く僕たちは街を去った。
不馴れな北国の占領に忙しいジオン兵はもう追ってこない。
白バスの一団は人権団体との接触を求め、やがて散り散りになった。
僕たちの組織の存在を証明する記録・古文書の類いは一切残っていない。

ーーーーー

 それぞれが戦う、戦っている。
ある者は殿で街に残り、ある者はノルウェーへ、またある者はベルファストへ。
僕らは平原をひた走り、向かう先は中央アジアの連邦軍打ち上げ基地、通称バイコヌール。
既に組織が民間レジスタンスとして向こうへ繋ぎを着けてる、そういう手筈である。
山南とネストルは月面都市で活動を続けるつもりだが、
僕はペペがどう言おうと、先ずは宇宙の職探しをして足を洗うのが目標だ。

「ところでペペ、そのリュックに何を入れてきたんだ?」
「ほれほれ、見て驚きなされ」
それらは酒類の携行瓶、僕が珍しい酒を仕入れた時に一定量ずつ採集していたものだ。
「寒い時に飲んでもいいし、物々交換にも使えそうでしょ?」
「おまっ...こんなものの為に...っ!!」
そんな(酒に命を賭けるような)娘に育てた覚えはないとか、確かに助かるとか、色んな感情で
目頭が熱くなって、見ていられなかった。

果てしない平原を、僕らは進む。
月は東に、日は西に。
荒れた広野に降り注ぐ陽射しの、実に眩しいこと。
0079ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/06(火) 15:22:28.95ID:CLzXvRF90
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第21話 新街大波乱 Part1

 イリメニ湖とそこから流れ出るヴォルホフ川に沿って位置する街、
其の名は『新しい街』ノヴゴロド、ロシア最初の首都と呼ばれている。

〜〜〜〜〜

 黒パン、ジャガイモのピロシキ、徹夜でペテロブルクを脱しての最初の飯は悪くなかった。
「クレムリンが綺麗なままね、こういうところに住むのもいいかも」
「しかし有名な観光地だったこの街も、戦争になっちまうとなぁ...」
「ペテロブルクだって戦前は賑わってたじゃないか、ジオン以外のちゃんとした警察もいた」
川から濾過水を担いだネストルが戻ってきた。
「警察がちゃんとしてないから、俺たちもこうやってのんびり休めるんだろ?」
ここは町外れの古い教会跡。
神社仏閣では飲食を良しとしないところもあるが、昔は炊き出しだってやっていただろう。
我々は飢えてるのだ。そう思うことにして、久々に腹を満たした。

ーーーーー

 年寄りと子供ばかりの古都を、山南と歩く。
ペペとネストルが留守番ということだ。
「今更だが...僕たち旅職人に見えてるんだろうか?」
「お前やネストルはその通りだろう、俺は用心棒でペペが...連れ子だな」
「誰の連れ子だ?」
「お前とペペじゃ、兄妹に見えらぁ」
「こちとらよーやく親心が分かってきたんだが...っと、あれは何だい?」
堰の向こうから、小さく黒煙が立っていた。
パン工場にしては不穏な趣のあるたなびき方だ。
0080ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/06(火) 15:24:55.66ID:CLzXvRF90
 堰をかけ登り、かけ降り、そこにあったのは攻撃ヘリコプター・ファンファンだった。
そばには額に汗して故障箇所を見る中年男性、手には使い古しのレンチを持っている。
機体も錆があった部分に色の合わないコーティングを塗ったようで、軍用機には見えない。

「サンちゃん、サンちゃんじゃないか!」
「あっ、てめぇはバルト・クリーシュ!」
駆け寄ってくるバルトを山南は避ける、どうやら知り合いらしい。
「なんでぇ、この街で武器商人みたいなことしてる奴ってお前だったのか」
「あー、汗臭かったかな? 水を浴びてからでもいい?」
「着替えも持ってけ!」

ーーーーー

さらさらと流れる川のほとり。
半裸のオッサンと、旅職人みたいな格好の僕と、山南で焚き火を囲む。
「修理代金も出さないで連邦の連中、ペテロブルク占領にびっくりして逃げていきやがったよ...」
「税金泥棒だな、終戦したらタンと請求してやればいい」
「ホバリングのテストをしようとして、始動に失敗したんですか?」
「そう、それ」
「パーツだけ取って、他の機体でも弄った方がいいだろ」
「質のいいやつは軍で転売しちまったよ。残ってるのはこれだけ」
「銃乱射事件が失くならないわけだ...」
「カラシニコフで良ければ家の垣根を作るくらいにはあるよ、持ってく?」
「4人で4挺、それだけでいい......おめぇは来ないのか?」
「僕はここが気に入ってるからね、自分で戦う性分でもない」
「戦い終わったら...死の商人だって後ろ指さされるぞ」
「生きてりゃいいさ」

ーーーーー

山南は追加の工具と補修パーツを取りに行った。
「カロル、と言ったね。君はなんでまたサンちゃんなんかと?」
「酷い言い種ですね...w
 向こうがスカウトに来て、僕が興味を持った。そしたら街が焼けた、それだけです」
「ま、アイツは嫌がる相手を手篭めにはしないさ...寒い時代に貧乏クジを引いてる」
「あの人がいなかったら戦って、ここまで逃げ延びられなかったのは確かです」
「辛いことの後はいいことだってあるさ、ここはコーヒーブレイクと行こう」
バルトの淹れたコーヒーは酸味が強かったけれども、今まで飲んだ中でもかなり美味しい部類だと感じた。
0081ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/06(火) 15:26:33.22ID:CLzXvRF90
下書きを読んで、キリが悪いと思ったので2話連続投稿しました。
あらためて金曜分を補填しないとなぁ...
0082ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/07(水) 13:43:36.33ID:3wwEkQIO0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第22話 新街大波乱 Part2

「焼き切れた回路はコイツと差し替えだ、変なところケチるんじゃないぞ」
「なぁ、辺りも暗くなってきたし、そろそろ切り上げた方がいいんじゃないか?」
「そうだね、ここだけ明るくなってて目立つのも良くない」
と言ってもコックピットハッチが上手く閉じなくなってるくらいで
仕上げは明日やり始めたら1時間もかからないところまで漕ぎ着けていた。

ブォンブォン......ブォンブォン......
「何だ、この音は」
「あぁ、この辺は出るんだよ...」
「出るって...」
「武装暴走族 Roaring 20 が、さ」
音は段々とこちらに迫ってきて、
そこも改造してるのかってくらいギラギラしたライトが、僕らの目を眩ませた。
「獲物だ!」
逆光の中にあっても、そいつらは目元までギラギラしていた。
僕と山南はファンファンの陰に引っ込んだが、バルトはそうしなかった。
彼は、戦う性分でないと苦笑いしていた彼が、ファンファンに乗り込んだ!
ファンファンは砂塵を撒き散らして宙に浮き、迫ってくる武装暴走族に特設機関砲で威嚇。
少し怯むもバルトに隙の匂いを感じたか、再び迫ってくるバイカー軍団。
もはや口伝えの合図ではなく、猛獣の吠え面のようにして後退するバルトのを追い立てる。
バルトのファンファンは大きく浮き上がり堤を飛び越えると、反転し囮に行ってくれた。
僕らには目もくれず堤越えを実行していく20人のロクデナシ連中、大半がそれに追従した
(内2人は打ち所が悪く、姉さんに助けてほしい事態となる)。
0083ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/07(水) 13:44:04.42ID:3wwEkQIO0
「頭領(ヘッド)、ここで間違いないんですかい?」
「あぁ。車輪には轍が、ローターには旋毛が生まれるものだ」
夜目が効き、正確な判断を下せる、故に頭領。
この街の荒くれ者どもを飴と鞭で従えてきた彼だが、この状況には些かの強がりを要した。
ファンファンの推進器が土を巻き上げ、この木造建築物の展示場まで逃げて来たのは分かる。
しかし獲物はここで急遽、天高く舞い上がり、何処かで静止したらしいのだ...
あれは只のファンファンではない、機首に機関銃が備え付けられていた。
夜風に揺られた伝統建築がギシギシと音を立てる...耳を澄ましても聴こえるのは虫の声...
(くそっ......こいつはひょっとして、俺たちの方がハメられたんじゃないのか...?)
常備の火器があるとはいえ、所詮はバイクに跨がって使うこと前提の軽火器に過ぎない。
あの気弱な行き遅れの武器商人なら、
脅せば使いやすくしてくれた攻撃ヘリを喜んで提供してくれる、そう踏んでいた。
ところが、向こうは圧倒的質量と機動力のソレに、鉛弾を足して寄越すという...
数で辛うじて有利な状況。ファンファンどころではない、殺らなきゃ、殺られる...!
と、頭領は地面に出来立ての線が引いてあるのを見つけた。
片方のファンを斜めにしてしまい、跡が着いたようだった...
これでもかと、その先の屋根には穴が空いている、戦闘ヘリが落ちたような。
「あの小屋だ。
 出てこないのなら、炙り出すまでのこと。
 挟み撃ちにして、出てきたアイツを撃つ!」
グレネードランチャーが、バックショットが、軽機関銃が、その小屋にラブコールを送った。
愛憎は壮大に爆発し、跡形もなくなるほどだった。
「戦うまでもなかったか...」
首は何処かと焼け跡に忍び寄る Roaring 20 の下っ端。
と、背後の小屋が崩れ落ち、頭上から下っ端たちを押し潰した。
ローターに巻き込まれた下っ端は、見るも無惨な姿に...
「あの野郎...っ!!」
ファンファンは残り火をかき混ぜながら旋回し、武装暴走族に機関砲を向けた。
バルトは無言で、口を真一文字に結び、目に力瘤を付けるように彼らを睨んだ。
0084ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/07(水) 13:47:01.52ID:3wwEkQIO0
ぽっと出の武装暴走族Roaring 20の元ネタはRoaring 20s(狂騒の20年代)です。
向こうは戦後のバブル景気、こちらは戦時の統治機構の弱体化に伴う無政府状態と吠え方は真逆ですが...
0085ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/08(木) 08:55:55.24ID:IGUf/oHa0
第23話 新街大波乱 Part3

「見て驚け、俺の普通免許はバイクだって乗りこなしてみせる!」
「僕だってアッポルダムでゴールド免許を取ったさ!...ママチャリの」
堤でズッこけて還って来れなそうな怪我をしたチンピラ達からバイクをおパクリ、
僕たちは Roaring 20 とバルトを追って夜のとばりをひた走る。
さて山南のバイクがドーンと音を立てて散らばったので、僕も一時停止するとドーン...
互いにチリチリパーマのガニ股サ...ろくに点検してない事故車両には二度と乗るまい。

そうして着いた先はヴィトスラヴリツィ、すなわち「木造建築ミュージアム」。
短機関銃の銃声、対戦車ロケットランチャーの爆音。
博物館の静かな恍惚感には程遠いBGM、いやBGVがヴァンダルの特別展示を催していた。
「来たけど、どうするよ」
「どうするもこうするもねぇよ」
そんな音も徐々に止み、双眼鏡を手に博物館をタダ見すると、
大半のゴロツキが蜂の巣となっており(ローターに巻き込まれた者は不出来なスライスに散った)
最後の2人を1人、また1人とファンファンのオプション機関銃が掃除しているところだった。
やがてファンファンもホバリングを止め、静かに着地する。

ーーーーー

「大将を仕留めた......うぅ......連中も独り独りは弱いから、もう襲って来ないよ」
駆け寄ってみると、バルトは腹部に銃弾を浴びていた。
おそらく脂肪が出血を抑えているが、多分もう...
「バカ野郎......ガラにもねぇ......ハッチも閉まらない機体を使うから......」
僕には、かける言葉が思いつかなかった。
「サンちゃん、頼みがある......ふぅ...僕を、この機体と一緒にヴォルホフ川に流してくれないか...?」
「それは出来ない」
「...そうか、.........武運を祈るよ」
バルトは漸く、平和な世界に旅立ったのだろう。
「バルト...山南?」
「...展示品を運ぶトレーラーがあそこにある、幌を外せばコイツらも運べるだろう」
「......分かった、ペペたちの方も気になるしな」
なるべく痕跡の残らない石畳を選んで、僕たちは悪夢のナイトミュージアムを脱した。
0086ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/08(木) 08:58:51.44ID:IGUf/oHa0
アッポルダム = アムステルダム、ペテロブルクと同様の変名です。
向こうは規制の関係もあって自転車の渋滞が絶えないらしいですね

アムステルダム→ニュー・アムステルダム→ニュー・ヨーク→ビッグ・アップル→アッポル→アッポルダムという変遷
0087ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/09(金) 07:57:06.08ID:5bsvxQj50
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第24話 新街大波乱 Part4

「クリ公はよぉ...ペテロブルクで子隠しに遭ったんだ...」
山南は穴を掘りながら話し始めた。
「それでカミさんが心を病んで...こういう長閑なところなら少しは安らぐだろうってな」
そこは放棄された人工林の、一ヶ所だけポカンと池になっている畔だった。
「まぁ、そんな生活も3年しか続かなかったらしいが...」
僕も手伝って、直ぐには死の臭いが立たないくらいの深さまで穴を掘る。
「何があったか、聞いてもいい?」
「つまり、クリーシュの奴は...カミさんと同じ場所で眠りたかったのさ」
「そうなのか...」

「悪いな、クリ公。お前が死んだことが周りに広まれば
 お前の集めた武器が簒奪されて、また死人が出ちまう。
 お前の死はデカい。しばらく放っといた方が平和なんだ...」
山南の手のひらから一すじ、虫除けの灰が注がれ、
僕はその上に場違いの標識ともとれる無名の十字架を立てる。
そして僕らは、竈の脇に無造作に捨ててあったカラシニコフを手に取り
軽く表面の土埃を払って、その場を後にした。

ーーーーー

「こっちも出来たぜ」
「山南のおじさんの友達、凄い物を持っていたのね...」
戻ると、ネストルがファンファンの修理を済ませていた。
ペペの手がオイルで汚れてるのを見るに、彼女も手伝ったのだろう。
「でかした!......じゃ、行くか」
荒事があった以上、長居は無用だ。
何より、僕たちは目的が違えど同じ場所を目指す者同士。
戦禍が及ばなければ平和といっても、この地には留まれない。
バルトの遺したファンファンをヴィトスラヴリツィ(木造建築博物館)土産の台車に括り付け
それをバギーで牽引、新たな武器を手に次なる地へ向かった。
0088ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/09(金) 08:22:10.69ID:5bsvxQj50
これにてノヴコロド編は終了。
なんかペテロブルク編の時もペペが汚れてましたが、当然洗ってますよ。
単に文の流れで略してるだけです、はい。
しかし血まみれのローター洗うとか大変だったろうなぁ...
0089ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/09(金) 08:38:41.95ID:5bsvxQj50
登場人物まとめ

U.C.0079
◯バルト・クリーシュ
 ノヴゴロドでレストア武器を売買していた男。山南の昔馴染み。
 温厚な性格で、元々ペテロブルクに住んでいたが
 子供が失踪し妻が心を病んだことから移住した(妻も3年後に入水自殺をしている)。
 武装暴走族 Roaring 20 との戦いで真っ先に彼らを引き付け、皆殺しにするも自身も被弾し亡くなった。

U.C.0100
◯ドランド・グストロフ
 元大佐の老人。ジオン系組織の歴戦の猛将らしいが、つい先日までホームレスに身をやつしていた。
 血気盛んな若者たちに祭り上げられムサイ改コスメルの艦長を務めるも、ろくな戦果を挙げられず
 殿としてザク・フリッパーに搭乗、奮闘するも僅かな隙を突かれて戦死(コムサイの戦線離脱は成功した)。

◯ヴァシリー・バシコルト
 カロルと同じく民兵組織チアトゥーラのメンバー。
 歳は20半ばと思われる。
 戦没者慰霊衛星の軍事化に関わっており、出撃前にカロルからペペを託される。

伸び伸びやってた割には書くことないな...名無し兵が多すぎたかも
0092ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/09(金) 08:55:53.82ID:5bsvxQj50
続き

第22話 新街大波乱 Part2 >>82-83

第23話 新街大波乱 Part3 >>85

第24話 新街大波乱 Part4 >>87

U.C.0100年は「木枯らし紋次郎」、U.C.0079年は「助け人走る」のサブタイ風になってます(20話は例外)。
扱いやすさは後者かな、前者のムードは取り入れにくい。
そのうちこの辺のルールも勝手に変わっていくと思います
0093通常の名無しさんの3倍
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2021/04/10(土) 11:58:32.12ID:l94lIKsp0
兵器、移動手段解説

U.C.0079

◯バルカン・カー
 正式名称は大口径バルカン砲重装甲車。
 地球連邦のガンダムやジムと同じ60m mバルカン砲を撃つことが出来る
https://blog-imgs-110.fc2.com/t/o/b/tobiuo72/robot_gog17.jpg
◯61式戦車
 地球連邦軍の主力戦車。1st劇場版IIではゾックを倒してるスゲー奴。
 本作ではシャリアピン主任(&ドライバー)が最期まで戦うために搭乗した
https://livedoor.sp.blogimg.jp/robosoku/imgs/c/3/c3074300.jpg
◯対ザク用タンク型自走車、六輪ミサイルバギー
 モブ兵器。カロル達とは異なる自警組織が使用
https://image.middle-edge.jp/medium/8a45a180-33d7-4b02-8417-02d9edad9b97.jpg?1490155723
https://livedoor.blogimg.jp/robosoku/imgs/1/b/1b23b1f5.jpg
◯ファンファン
 ご存知、戦闘ヘリなんだかホバークラフトなんだかな機体。
 バルトの改修した機体は機首側に機関砲が追加されている(元々機首には4基のミニガンがある)
https://image.middle-edge.jp/medium/16cca7ca-9aa2-4566-8345-f490654de679.jpg?1490162090
◯マゼラアタック、M1戦車、戦闘ヘリ
 お馴染みジオン軍の分離戦車とその子分ども
https://bandai-a.akamaihd.net/bc/img/model/b/1000146685_1.jpg
http://img5.futabalog.com/2017/06/566691256a3990939fee010b091f77cd.jpg
https://www.1999.co.jp/itbig05/10051713.jpg
◯タチャンカ
 元々ロシアにある銃座付き馬車。
 本作ではリジーナを取り付けて戦車やヘリと戦った。
https://pic.zawazawa.jp/files/warthunder/b30d27af56f36.jpg
http://blog-imgs-46.fc2.com/g/u/n/gundamucrecord/Image118.jpg
◯カラシニコフ
 ロシア製で扱い易すぎることから紛争地域に欠かせない代物
https://img.huffingtonpost.com/asset/5c632333230000ed0221e2d2.jpeg?ops=scalefit_720_noupscale&;format=webp
◯白バス
 WW2時にデンマーク・ノルウェーが戦争捕虜救出のために出したバスの通称。
 本作では焼き討ちに遭うペテロブルクにNGO団体が派遣している
https://hyggelig-news.com/wp/wp-content/uploads/2015/07/DeHvideBusser201501.png
◯マルシュルートカ
 旧ソ連圏内でよく見られる小型バス。
 もしかしたら出るかもしれない
https://alacartyo.com/wp-content/uploads/2019/05/IMG_20190623_191955-1024x512.jpg
0094ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/10(土) 12:40:49.67ID:l94lIKsp0
U.C.0100

〜チアトゥーラ〜
◯バギ・ドーガ
 本作の主役機、モビル・ビットを搭載したNT用MS。
 原型機の接近戦用装備が銃剣のみであることから、サイドスカートにビームソードアックスを各2機マウントしている。
 またモビル・ビットは非致死性で、ディスクアニマル状に畳むことで複数を効率的に展開・収納できるようになった。
 本編でモビル・ビットを除く全兵装を損壊しているため、ダーク・コロニーで再改修予定
http://img6.futabalog.com/2017/12/b0284e2ab2be20c2eb400aac196c54ec.jpg
◯宇宙用スクーター
 Vガンダムのカテジナさんが度々使ってるようなやつ
https://livedoor.blogimg.jp/legolego05/imgs/b/a/bab026ab.jpg

〜ジオン残党・コスメル隊〜
◯ムサイ改 コスメル
 旗艦。カロルのNT的直感であっさり位置が割れ撃沈(コムサイは脱出している)
https://www.gundam-c.com/manual/mechanic/z/image/musai-custom.jpg
◯チベ
 旧式の僚艦。空気
https://steamuserimages-a.akamaihd.net/ugc/842591243234978661/2E42B3595BCC86FAF98716F384654E0A0D9169F2/?imw=637&;imh=358&ima=fit&impolicy=Letterbox&imcolor=%23000000&letterbox=true
◯ハイザック
 ジムIIIに改修できるはずもなく、恐らく一番ダブってる旧式。
 それ故にヤられ役に最適
https://hobby.dengeki.com/ss/hobby/uploads/2017/09/ph012-440x561.jpg
◯レコン・ザク、ドライセン、ジムIIセミストライカー
 賑やかしの皆さん
https://img.atwikiimg.com/www65.atwiki.jp/battle-operation2/attach/1617/2924/m/img_5s9byjt3.png
https://img.atwikiimg.com/www65.atwiki.jp/battle-operation2/attach/2509/3321/m/img_o2pf755z.png
https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/userstorage/000/046/399/632/b1adfe8895.jpg?ct=458703d79314
◯バーザム
 オリジナルのビームトンファーを装備
https://storage.mantan-web.jp/images/2021/04/02/20210402dog00m200070000c/001_size6.jpg
◯ネモ
 ジムIIIのバックパック、ドーガ系のビームマシンガン、R・ジャジャの鞘付きビームサーベルなど各所を改造している
https://img.atwikiimg.com/www65.atwiki.jp/battle-operation2/attach/1806/3020/m/img_ya4ks2d1.png
◯ザク・キャノン(連邦カラー)
 ビッグ・ガン及び前腕部にズサ用の3連ミサイルポッドを装備
https://gunpla-beginning.com/wp-content/uploads/msinfo_zkcga_001.png
◯ザク・フリッパー(ドランド機)
 ジェネレーターをハイザック用に換え、ビームランチャーとビームピストルを携えている
https://img.atwikiimg.com/www65.atwiki.jp/battle-operation2/attach/1783/3004/m/img_n9hpmw6y.png
0097ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/12(月) 19:18:07.63ID:E5GnZXP50
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第25話 中洲大滞留

 バルト海方面からツナ川を遡ってきた船乗りは、
ここで船と荷物を陸に揚げて歩いて運び、
トヴェルツァ川で下ろしてヴォルガ川流域へと進んでいた。
こうした交易路は、ヴァリャーグ(ヴァイキング)たちの時代には
スカンジナビアとビザンチン帝国とを結ぶ毛皮などの貿易経路であった。
その名は『上流部の連水陸路』ヴィシニー・ヴォロチョーク、船乗り達の止まり木である。

〜〜〜〜〜

ファンファンは目立つので人気のない廃船置き場に隠し、僕たちはジープで町に入る。
「おい見ろよ、ウォッカだぜぇ!」
ヴィシニー・ヴォロチョークは物流の中心だからか、戦中でも中々の盛況だった。
山南はウキウキ、かくいう僕もウキウキ、食いつなぐ為の仕事と言えど
こう流浪する身になってみると、バーテン職に愛着を持っていたことが実感できる。
吊るされた肉の塩漬け、チュルチュヘラ、売り場に並ぶオレンジの山、箱詰めバステラ...
目まぐるしい各地の産物に、ペペもワクワクが止められないらしい。
ネストルは只ぼんやりと、景色を眺めていた。

街の外れの川縁まで来ると、なんと向こうから馬が泳いでくるではないか!
その、よく見れば覚えのある馬がヒヒンの良い鳴き声で挨拶した。
「プレクラスニー!!」
「マジかよ...」と山南。
プレクラスニー(正確にはプレクラスニー改)はネストルの愛馬で
ペテロブルク攻防戦の時も、彼女のタチャンカを牽いていた。
街を抜けた後に、連れてはいけないと野に放ったはずだが...
「帰巣本能でもないのに、不思議ね」
ネストルの頬を舐めるプレクラスニーの頭を、ペペが撫でた。
馬に好かれてない僕はそれを眺めるだけ。
0098ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/12(月) 19:19:01.69ID:E5GnZXP50
カロル「しかしプレクラスニー改、すっかり泥まみれだな」
ネストル「泥水で虫を落としたんだろうが、流石に仄白い毛並みが台無しだ」
山南「水のある場所なら心当たりがあるぜ」
ペペ「そういえば喉も渇いたかも」
マッドゲリラ探検隊は山南隊長に連れられて中洲エリアに向かった。

ーーーーー

「おいおいおい...」
色めき立つネオン、漂うお酒や香水の匂い、客を引いてナンボのスーツの青年たち。
山南やネストルはともかく、ペペを連れてくるのは...
「お水が水に詳しい、違うか?」
まぁ、ある意味サラリーマン以上に身繕いに気を使う人たちのエリアだ。
「あたし平気よ、ペテロブルクのお仕事でもこういうところには来たもの」
「お前さんはペペとデェトするんだな、俺たちで馬を洗う。
 なぁに、趣味人の店なら厩だってあるのさ」
「真面目くさってても仕方ないだろ、ウィンドウショッピングのつもりでさ、ほらほら」
「行こ行こっ」
やれやれ、まぁネンネを連れてる分にはキャッチに絡まれることもないだろう...
この頃は慌ただしくて、ペペと話す機会もあまりなかったしな。

ーーーーー
0099ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/12(月) 19:36:29.71ID:E5GnZXP50
(途中送信してしまいましたw OTL)

 僕とペペは、比較的中高年が集まっていてのどかな雰囲気のパブに入った。
「旅職人さんだなんて、珍しいね」
「この娘にはミルクセーキを、僕は...君がこれと交換するなら、どれにする?」
「どれどれ.........おぉ、これは!」
酒の携行瓶の香りをバーテンが嗅ぐと、それはこの店で最上級のものに化けた。

「こう煩雑ながら栄えてる街だと、お巡りさんもさぞ真面目に働いてるだろう?」
「栄えあるところに関所を設けて、儲ける。みんな考えることは同じです」
「兄さん、実は逃がし屋だったりしないかい?」
「お客さんのことを売るかもしれませんよ? 危ない橋は渡りたくない」
「地獄に橋掛けられちゃ、かなわないなw 子供だっているんだ」
「いざとなったらあたしだけでも逃げるわ(そして助けを呼ぶもの)」
「それはそれとして」
「おいおい...」
「もしもお金にお困りのようでしたら、ドラゴンボートレースに賭けてみてはいかがです?」
「何だね?」
「ジオンが捨てていったシーランスにエアロパーツやら着けて、競艇をやってるんですよ」
「ほほう」興味深い話だ、山南あたりが気に入るかもしれない。
0100ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/12(月) 19:43:42.41ID:E5GnZXP50
祝、>>100レス!

さて、馬に竜とザクさえ出てこない状況、とりまヴィシニー・ヴォロチョークで戦闘をさせる予定はありません。
代わりに出てくるのがこちら↓、シーランス。
https://www.suruga-ya.jp/database/pics_light/game/g3400277.jpg

バルカン・カー(>>93参照)がケッテンクラートのオマージュだとすれば
こちらは小型エクラノプランってところですかね。
1stだとシャアがベルファスト沖を移動するのに使っていました、
Zのウッダーとナミカーもニュー・ホンコン沖で似たようなのに乗ってたような...
水上バイクと呼ぶにはやや大きいものの、ロシアの川なら何とかなるかとw
(同じ大陸の中国の人には関門海峡が河に見えるのだそうです)
0101ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/13(火) 10:44:42.10ID:+oNrGxv60
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
27話 【ダーク・コロニー】3分で分かるNT専用機のバーゲンセール【バギ・ドーガ改】

かつてリトーと呼ばれた試作促成建造コロニーは
空気漏れ事故により竣工記念祝賀会の参加者を全員死亡させ
(一説にはザビ家による対抗勢力の粛清と囁かれている)
表向きは解体、資源利用処分になったとして処理されているが
実態はダーク・コロニーに名を代え、領有者を代えながら表に出せない営みを続けている...

〜〜〜〜〜

「あるとは聞いていたが......立派なものだな」
バギ・ドーガを引き取りに来た俺は、初めての隠れ里に感心していた。
ドッキングベイから降りて最初に目に入るのは、さながら灰の谷。
戦後復興期に持ち寄られたコロニーやら作業機械の、使い物にならなくなった残骸が転がり
申し訳程度に洗浄剤の余りが宛がわれてるので、見た目ほどの臭いはしない。
ジャンクの山にあばら家が続く、タイヤがパンクしないのも不思議な散らかった舗装道を
これまた中古のエレカで抜け、ビルの屋上だけ、資源ゴミの海に島のようになっている建屋へ入る。
具合の悪いエンジン音をBGMにエレベーターで下に降りれば
そこは一年戦争当時から遜色ない、いや幾つかの機材は最新式まで取り入れた
いつだって戦争の出来そうなファクトリーが軒を連ねている。
これなら、素人のロンド・ベルが見ても貧乏コロニーの一角としか思わないだろう。

「ズム・シティから来たカロル・ツキシマだ」
「これはこれは、わざわざ遠いところをどうも」
俺はメカニックと握手してから、機体の方を見やる。
薄暗いファクトリーに置かれたバギ・ドーガは第一印象から大きく変貌していた。
まずカラーリングがオレンジからマリンブルーに変わり、
胸部ハッチ上にはチアトゥーラのシンボル、金のコノハムシがペイントされている。
修復されたサイドスカートにはゲーマルク用のサーベルが差され
壁つきのウェポンラックには、注文しておいたフェダーイン・ライフルが架かっていた。
更にライフルの向かい側のラックには、サイコ・ギラ・ドーガのスラスターが用意されている。
「潤沢な補修備品、とも行きませんからね。
 この際ですから、一通り試していかれるといいでしょう」
0102ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/13(火) 13:46:27.97ID:+oNrGxv60
木枯らし紋次郎テイストのサブタイが面倒になってきたので、YouTuberナツアニキの3分詐欺から様式を拝借しました

灰の谷(正式にはコロナ・アッシュ・ダンプ)、というのは戦間期のアメリカに見られた廃棄物の捨て場で
ロングアイランドとマンハッタンの間にあったようです。
当時のアメリカはほぼノーダメージで戦勝国となったのもあり、凄まじくバブル状態でした。
ここに集まった灰はやがてニューヨーク万博時の舗装に混ぜて完全除去、跡地は公園に整備されたそうで
さながら、光と光の間に差した影といったところです
http://members.trainweb.com/bedt/indloco/barccoronadumploco.jpg
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/a/aniram-czech/20140831/20140831102531.jpg

チアトゥーラのシンボルがコノハムシなのは「木の葉を森に隠す & 虫(=チアトゥーラ)」そのまんまです
0103ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/14(水) 22:30:34.70ID:I3PZ0dKw0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第28話 中間大混戦

〜U.C.0079年 ヴィシニー・ヴォロチョーク〜
「ドラゴンボートレース? こんなところでか」
僕だって信じられないが、現にビラだって配られているのだ。
戦時の思わぬ息抜き、異常事態下の狂気にしてはマシな方だろう。
「夕暮れ時に、すぐそこの河岸公園でやるんだと。
 軍資金を無駄には出来ないが、後からどうして言わなかったと愚痴られても困るからな」
「そういうことなら話が早い、お前、ギャンブル童貞を捨ててこい」
「はぁ?」
プレクラスニー改が小さくヒヒン、ヒヒンとこちらに首を振る。
「なんだ、お前も行きたいのか?」
「仲直りのチャンスじゃないか」とネストル。喧嘩した覚えはないんだけどなぁ...

ーーーーー
 暮れなずむ内陸の港。
潰れた観光用の船着き場に、ドラゴンボートが並ぶ。
「そっから......あそこまでか」とネストル。
2つの黄色い浮きに挟まった、その直線がスタートラインで
ゴールは100m先、高架橋の手前に赤い浮き2つで仕切ったところだ。
(どれだ、お前が買ったんは)と言わんばかりのプレクラスニー改。
ドラゴンボートはそれぞれ番号が振られ、僕は6番...緑と紺のユランを思わせる舟に賭ける。
コイツが負けたなら、僕の夕食は抜きだ。

 先頭を切ったのは白一色の1番、しかし大型エンジンを船尾左右につけた3番が抜き
三基のウォータージェットエンジンを追加した4番が後ろから攻めるも抜けない。
(4番、馬だったら安楽死だな)という顔つきのプレクラスニー改。
徐々に黄色い5番と緑の6番が距離を詰め、4番、やがて1番を追い抜く。
「1番、粘りきれてないな」僕もネストルに同感だった。
レースは3番vs5番vs6番となり、5番が......3番が.........最後には6番が全てを抜き去り
ゴールの浮きを突き抜けて、高架橋の向こうへ消えていった。
0104ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/15(木) 20:23:06.25ID:TC/lMvxK0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第29話 【サイド3宙域】3分で分かるドッカンブースター【バギ・ドーガ改(ブースター装備)】

〜U.C.0100年 サイド3 ダーク・コロニー
 軋む搬出入用エレベーター、いざという時にはクッション・バーニアを吹かす構え。
「カロル・ツキシマ、バギ・ドーガ改、出るぞ」
武装と色を新たにした機体で、灰の谷へ再び上がる。
この一帯で宇宙機雷の混入が判明したので、除去作業のため洗濯出動する。
ダーク・コロニーでは、時折そんなことがあるのだ。

ーーーーー

 先ずはコロニー内を通常バーニアで試運転、噴射の効きが初搭乗時より良いのを実感する。
「ばぁ!」と叫び模擬サーベルで切りかかってきたのはガルスJ!
間接駆動もいいのでバーニア無しで避けられる。
「悪趣味なんじゃないか、ニヴフ」
「リアルの敵さんは『それじゃ、行くぜ?』なんて言わないんだぜ?」
それはそうだ、ニヴフ・ノルニレンコはチアトゥーラの中でも実戦慣れしている。
「ヤェアーーッ!!」
「トゥアーーッ!」
ジジジジジ...
バギ・ドーガの模擬サーベルのレーザーが、ガルスJのハッチ上で音を立てていた。
ニヴフに悪あがきをしようとする気があったので、
重ねてフェダーインライフルの模擬スピアを突き立てる。ジジジジジ...
「負けたぁ...」
「『勝ったな、ガハハ』とお前なら言うんだろうな、ニヴフ」
「覚えてろよーっ(苦笑)」
「ハハハ、いつでも来い」
互いのMSの拳をカンと当てた。

ーーーーー

 続いてコロニー外壁側での機動力テスト。
現状、この機体に追随する仕様の兵器がチアトゥーラにはないので
ヴァシリー・バシコルトのアイザックに観測してもらってのソロ舞踏となる。
「ご健闘を」
「とくとご覧あれ」

「おい見ろよ、またチャの字(=チアトゥーラ)だぜ?」
「大した敵もいない、中古のマシーンばかりで熱心なこった」
外壁の作業員が手を休めこちらを見ているが、向こうも非合法だと喚くようなことはしない。
外壁作業だと喫煙もままならないので、一寸した娯楽と見ているのだろう。
ならばこちらも、機体のパフォーマンスを披露するのみ。
「おっ、こっち来た.........近すぎねぇか?」
「わ、わ、こっち来る!!」
「「ヒャーッ!!」」
巻き込まない程度に接近して夜の銀河を滑るように翔ぶと、
絶叫マシーンのような声を受信できた。
0105ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/15(木) 20:50:20.39ID:TC/lMvxK0
「まったく......遊びは程々に。
 次はブースターを付けて的当て、ですよ」
「了解した、一時帰投する」
コロニーに近づき、点だったものが全体になり、人工重力に引き込まれる感覚は、いつになっても慣れない。

ーーーーー

「んぐっ......大したジャジャ馬だ...!」
新装備のガーベラ・ブースター(サイコ・ギラ・ドーガ用シュツルム・ブースター)は曲者で
シュウウウ...とシンプルに加速していたかと思うと、ポンッと破裂するように噴射が弾ける。
この癖を理解しなければならない、同調して活かす...!
今度のフェダーインライフルは速射モードがないので、先ずは長時照射で的を焼き切りながら...
段々と短時照射を、点を当てるようにして...
見えた!!

「全弾命中です! すっかり馴染んでますね」
「あたぼうよ、ジジイもみんなニュータイプってな」
しかし当分は通常仕様で戦いたい、まだまだ熟練とはいかないのだ。
0106ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/16(金) 09:59:59.93ID:atCT8tWa0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第30話 中道大往還

〜U.C.0079 地球 ヴィシニー・ヴォロチョーク〜
「大儲けだな、旦那」
「さて、大金せしめてどうするね...?」
ドラゴンボートレースの賞金は、とても両手に持てるものではなかった。
一部をレンタカー代に当てて、エレカで運ぶしかない。
隣を悠然とプレクラスニー改が歩く、不思議とコイツも誇らしそうだ。
「ペペに何か買ってやるか、バギー(4輪エレカ)を新調するか...」
と、そこで目に入ったのは...!

ーーーーー

山南「で、お前の戦果がコレか?」
ネストル「俺もどうかと思ったんだけど、悪い買い物じゃないかと」
ペペ「いくら何でも目立つでしょ!」
カロル「バギーより補給の間隔も短いし、居住性だって快適だろう」
山南「いざって時にはトップだけ切り離せばいい、か」
ペペ「まったく...」
元バーテンダー、サムソン・トレーラーを買う。
コックピットの真後ろにプレハブ小屋の資材を積み、
真ん中にファンファンとバギーを積めば新拠点の完成だ。
「さぁ、いいアシも出来たしそろそろ出ようぜ」
「戦争が終わったら、こういう楽しい場所も増えるのかしら」
サムソン・トレーラーの一行は、日没と共に街を去った。

「で、残りの金はどうなったね?」
「コレでおしまい」
オイスター・ペイルに盛り沢山のペリメニは、河岸公園の揚げ菓子より口に合う。
0107ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/16(金) 10:10:08.86ID:atCT8tWa0
これにてヴィシニー・ヴォロチョーク編は了。
歴史的な街の割に資料が少なく、満足な旅行記もなかったので大体妄想です。
多分、当地でドラゴンボートレースはやってないんじゃないかな?w

本来のドラゴンボートは20数人で太鼓を鳴らしながら漕ぐものですが、すっかり跡形もないです。
https://www.roc-taiwan.org/uploads/sites/44/2020/06/img20200629091435484_800.jpg
伝統といっても風化し変化するところはありますから、別に太鼓を忘れてたとかじゃないです、そういうことで(苦笑)
https://bandai-a.akamaihd.net/bc/img/model/b/1000100285_3.jpg
0108ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/16(金) 10:15:20.51ID:atCT8tWa0
正直、ちょいネタ切れです。
ペースが落ちて下書きから投稿までのスパンが短く、時系列表記を忘れるなど結構ドジを踏んでいたり...

来週の平日は休んで、土〜金のスケジュールで投稿していこうと思います
0109ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/18(日) 16:57:45.56ID:v9bhu+zt0
閃光のハサウェイ、冒頭15分強を観賞

ハサウェイの読んでた洋書は ''Aerial Enviromental Botany''、大気環境下の植物学といったところで
宇宙に暮らす人々が普通に存在すればこそのタイトル、草花を愛でながら反乱の兆しか

ケネスの「若さ=社会の潤滑油」はかつてのジオン残党にも当てはまるかと、
海上を右往左往するあいつらがいるから海軍に予算が付くってね(ジョニー・ライデンの帰還)

階級やバツイチを容赦なく見抜くギギ、やっぱり若いだけでパパ活できる日本が異常か(ギギが普通とは言ってない)
https://president.jp/articles/-/44410
あとフランスでは出張先の腹上死は労災適用できるんだとか(オマケ)
https://www.nikkansports.com/m/general/nikkan/news/201909150001220_m.html

「諸君たちの命と引き換えに、地球連邦政府から軍資金を調達する!」
ケチの連邦はこんな奴等きっちり見捨てて、ついでに面子を刷新すると思うな

スーダン語→マフティー
アラブ語→ナビーユ
古いアイルランド語→エリン
偽マフティーから忘れられてるナビーユ君w

「僕が...昔の戦争で酷い死体は見ているつもりだ」
アストナージか...
ヒステリー起こして気絶したオバサン復活からのカメラアングル、まるでアンサンブル・キャストだな

「やっちゃいなよ、そんな偽者なんか」
ハサウェイの中でクェスとギギがダブってる......その先は地獄だぞ?(止めてくれるアムロもシャアも去っていった...)
全員で上手くテロリストを制止(内ハサウェイとケネスで一人ずつ生け捕り)...出来ませんでしたぁ!
テロリストはスペースシャトルを操縦できるし、ケネスは狙撃銃を撃てる、プロだらけだ
走り出したら〜♪ 何か答えが出るだろうなんて〜♪
このハサウェイ君、流れ弾の1つや2つ、胸に何時でも刺さってそう

ハサウェイ、危うく香港に戻るとこだったのか、いやそっちの方が良かったのか?
ケネス、結構生け捕ったんだねw
彼はマフティーに清廉さを感じるそうで...相手の親父に耳打ちされたら不味いのでは?
そんなわけで二人は互いに名乗って終了
0110通常の名無しさんの3倍
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2021/04/19(月) 19:52:58.25ID:eqwbPCWS0
942 :通常の名無しさんの3倍 (オッペケ Srdd-wGG4 [126.133.196.131])[sage]:2021/04/19(月) 16:02:57.49 ID:yCoZ2No/r
ニトログリセリン注射は草

945 :通常の名無しさんの3倍 (オッペケ Srdd-wGG4 [126.133.196.131])[sage]:2021/04/19(月) 16:28:59.39 ID:yCoZ2No/r
>>944
これは失礼した。
物は使いようなんだな..
0111ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/19(月) 23:19:34.47ID:yCoZ2No/0
そんな訳でニトログリセリンを使った短編です、はい

機動戦士ガンダムU.C.0079 ガラス瓶の中の舟
第1話 ひかりひとしずく 1/3

OPテーマ 佐藤博 - Hopeful Heart
https://youtu.be/k99QoF8igks

 サイド6(戦後は新サイド5)の23バンチコロニー・バマコはかつて連邦寄りの中立表明島だったが
急進派の新市長がジオン寄りの政策を示した為、不穏な空気が漂い、さながら火薬庫の様相だった。
またこのコロニーは隣接する24バンチ・クールラント(完全中立)と折り合いが悪く
時折、互いに目掛けて推進力のついたスペース・デブリが流れる程だという。
なおバマコとはバンバラ語で「ワニの尾」という意味である。

〜〜〜〜〜

 ラザルス・コーウェル(9)は、ツチハンミョウが掘ったにしては大きすぎる穴を刮目していた。
「何だろ、これ」
そこから顔を出してたのは、平べったいがツチハンミョウの幼虫の顔ではなく、瓶の蓋だった。
ツチハンミョウよりは大きいが、それでも彼の小さな手で掘り出せる程だ。

 この悪童は通学路のコンクリート擁壁に伸びた葛の蔦を登り、その上のセイタカアワダチソウの茂みを越え、
(彼にとっては)彼だけが知っている秘密の場所、立派なタイサンボクの木陰に、ローゼルの苗を植えようとしていた。
(木の爺さん、ゴメン。でもこうしないと、ぼくのアパートじゃ花を育てられないんだ...)
それで木陰の中でも陽当たりが良くて、タイサンボクを傷つけないような場所を探していたら、これを見つけたのだ。
「せいさんコーラでも入ってたら怖いなぁ...でも気になるや」
ラザルスはコロニーの外にも、中にも、危ない物を捨てる悪い大人がいるのは父や母や兄から聴いていたので、
この歳頃の悪童にしては、慎重な方だと自負していた。
実際、虫の知らせのようなものがあり、彼だけ友ガキ連中でも妙に叱られにくいという実績がある。
ラザルスは大根を引っこ抜くようにではなく、周りを柔らかく崩して、井戸に落ちた子象を引き上げるような手つきで
それを、悪い顔して、手中に収めた。
「穴は、つかえる!」
そしてお詫びのつもりか、残った木陰の穴にローゼルの苗を植え込み、そろりそろりとその場を後にした。

ーーーーー

 しばらくして、同じ場所で二人の若者が転がりながら殴りあっていた。
「ないってどういうことだよ、ヤッフェ!!」ゴロゴロ...
「こんなところに来るヤツもいるまいに、瓶もないんだよ、ブルース!!」ゴロゴロ...
「ないない尽くしで済むか、この野郎!!」ボコボコ!!
「じゃれてる場合かよ、こん畜生!!」ボコボコ!!
「おっと、崖だ!!!」キキーッ!
「あふ '' ねぇ!!!」グググググ...
「...見ろよ、泥のついた靴で降りた後があるぜ」
「大人の幅じゃないな、子供か小人症だ」
「「探せ!!」」ボロボロ
ブルース&ヤッフェ vs ラザルス vs ダークライの鬼ごっこが始まる。
その様子をタイサンボクの木と、ローゼルの苗だけが見ているようだった。
0112ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/19(月) 23:22:54.31ID:yCoZ2No/0
機動戦士ガンダムU.C.0079 ガラス瓶の中の舟
第2話 ひかりひとしずく 2/3

 サイド6内の急進派といっても幾つもの枝分かれがあり、
法案を通してから勝手をしたがる者、シンパが既成事実を作って押し通す者、政見放送で歌うだけ等
これらを科や目に分けていくと、枚挙に暇がない。
気に入らないからと車に爆弾を投げ込むような者は、古典に尽きる。

〜〜〜〜〜

戦闘BGM 大貫妙子 - Silent Screamer
https://youtu.be/dqtrf936n8I

「待てやーーーーーっ!!!」(ブルース)
「うわああああっっっ!!!」
自転車に乗って帰宅しようとしていたラザルスは、ブルースとヤッフェのワッパに見つかり追いかけ回されていた。
「あやまるからさーっ!!(泣)」
「ごめんで済んだら警察は要らねぇ!!」(ヤッフェ)
ラザルスはパニックだったし、バカ2人は頭に血が昇っていた。
「ところで何でワッパで自転車に追い付けないの?」
「何だとぉ?」(ヤッフェ)
「ギアを上げるぞっ!」(ブルース)
「えっ?」(ヤッフェ)
「うおおおっ!!!、、、おっ?」(ブルース)
「「うわぁぁぁぁぁーーーっ!!」」
バカ2人は仲良くゴミ溜めにキスをした。
「べーっ だ」
大人を小憎らしくバカにして車輪を翻し、その場を去ろうとするラザルス。
「あったまきたぁーっ!!」(ブルース)
「やるか、やっちゃうか?!」(ヤッフェ)
「おうよ!」

「なんでコロニーにモビルスーツがあるんだよーっ!!」
「逆主人公補正ってヤツだ!」(ブルース)
「そういうこと!」(ヤッフェ)
ラザルスの自転車はそのまま、バカ2人の駆るアッグに追い回される羽目になった。
「で、なんで俺たち、まだガキに追い付けないんだよ?」(ブルース)
「アイツにも主人公補正が入ってんだろ?」(ヤッフェ)
レーザートーチの嘴から出る火花を、すんでのところで避けるラザルス。
「何なんだよ、もぉ!!......、、、っと、おあぁっ?!」
前方不注意の悪童は、前輪を石に躓かせて空へ.........直感で、リュックから跳んだ瓶をサっと懐に抱きかかえた。
(こんなことで、僕...死ぬのか?)
思わず目を閉じたラザルスは、その刹那、リュックが何かにかかって吊られるのを実感した。

「よう弟ぉ!!」
「兄ちゃん!!」
目を開けると、そこには兄と、彼のマシーンがあった。
0113ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/19(月) 23:26:59.25ID:yCoZ2No/0
機動戦士ガンダムU.C.0079 ガラス瓶の中の舟
第2話 ひかりひとしずく 3/3

 サイド6の23バンチ・バマコはれっきとした開放型コロニーであり
ラザルスと急進派2名が死に物狂いで競っているのは、その採光ミラーに程近いところである。

〜〜〜〜〜

「兄ちゃん!シュウィマー兄ちゃん!!」
兄は飛びながら、弟をコックピットに降ろした。
「ナニ勝手に空飛んでんだ、ひこうタイプかよ」
「アイツら、これ狙ってんだ!」
瓶は無事だった。「なんだそれ」「知らない!」「馬鹿か...」
タンクトップ姿のシュウィマー・コーウェル(18)が駆るのは作業用MS、ドラケンE。
少なくともアッグよりサイド6で馴染みのある機体だ。
「仕事がえりだったの?」
「あぁ、様子を見に来ればコレだ......お前、やんちゃ過ぎるぞ」
「なんだお前!」(ヤッフェ)
「やるなら相手になるぜ、おらおらぁ!」(ブルース)
「しっかり捕まってろ!」
シュウィマーのドラケンEはアッグのドリルをひらりひらりと回避し、モノアイに取り付いた。
「「ぎゃあああっ!! 落ちるぅーっ!」」
アッグは採光ミラーに激突し、さながら半身浴のようになった。
「いっちゃえよ!」
「ラザルス?!」
「結局、落ちるのかよ!」(ブルース)
「うわぁぁぁーーっ!!」(ヤッフェ)
弟は兄から操縦桿を奪うと、トドメの一撃でアッグを暗黒空間に追放した。

ーーーーー

「あ痛っ!」
「コロニーはフラジャイルなんだ、ヒビが広がるようなことをするなよ」
「ごめん...怖かったんだ」
アッグの出た穴は一先ず応急処置のピンク色のバルーンを貼り
防衛軍に通報してあるので、直にニトログリセリン(瓶に書かれてあった)も回収される。
兄弟はコロニーの河の岸で、ようやくひと息ついた。
「それにしたって、よくドラケンEにパンチなんかさせられたな」
「見てれば、なんとなく分かったよ」
「そういうものなのか...」
その後、「ニトロは凍らせた方が揺れにくいんじゃないか?」と言ったシュウィマーに
「絶対やめとけよ、兄ちゃん」と釘を刺すラザルスだった。

第1部 完

EDテーマ タケカワユキヒデ - FLY, MY BOY, FLY(Early Version)
https://youtu.be/r1djQBdfMZw
0114ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/19(月) 23:37:43.12ID:yCoZ2No/0
>28 通常の名無しさんの3倍 2021/02/25(木) 15:11:53.81 ID:Z6ev3QVz0
>ラザルス・コ―ウェル

>特にモデルとしたキャラも無く思い付きの命名。


初登場エピソードも、完全に突飛な思い付きになってしまいましたw
すまないな、ジャミトフ。
とりあえず第1部完として、思いつくことがあったら続きを書くかもです
(どのみち、U.C.0100年でカロルとは対戦させるつもり)
0115ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
垢版 |
2021/04/20(火) 22:00:34.13ID:+9pjbo/l0
登場動物と人物まとめ

U.C.0079
◯プレクラスニー改
 ネストル・ドニエストルの愛馬。
主からは改抜き、カロルからは改付きで呼ばれている。
ペテロブルク防衛戦でタチャンカを牽いた後、広野に放されたがどういうわけか再合流した
(馬にも帰巣本能はあるが、移動中の人間に合流するわけではない)。
カロルとは仲が悪かったが、一緒にボートレースを観戦して和解したかも...?

U.C.0100
◯ニヴフ・ノルニレンコ
 チアトゥーラの一員、特に年齢は決めてないが生意気盛りなので10代半ばといったところか。
模擬戦ではガルスJに搭乗、引き続き各種ガルス・タイプに乗ってもらう予定。


今回はたっぷり短め、馬を含んでも2頭だもの()
0116ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
垢版 |
2021/04/24(土) 07:59:20.72ID:EhHZxdyN0
機動戦士ガンダム U.C.100 ズム・シティの落日
第31話 もしもズム・シティに南洋宗が伝来したら

〜U.C.0100 サイド3 ズム・シティ〜
 ズム・シティ市庁舎の裏の食堂の向かい側にあるオフィスビル、
その地下階がチアトゥーラの事務所である。
「急に呼び出してスマンな、まぁ座れ」
「「失礼します」」
「はいよっ」
ソン・セダの促すままに、俺と、ヴァシリーと、ニヴフが席につく。
向かいには坊主頭の、それも石頭だろうなと思わせる神妙な面持ちの青年が座っていた。
こめかみには、かつてはキラキラと波打っていたかもしれない金髪の名残が見える。
因みにソン・セダはチアトゥーラのズムシティ代表だ。
「マジュロ・ペック、南洋宗の外交僧などをしています」
「既に君たちの紹介はしてあるから、挨拶はいいよ」
「そうですか。さて、ご用件は?」
どうも連邦と一戦交えて以来、この南洋宗の連中は好かない。
関与していないジオン共和国まで、陰険な臨検を受けたものだから。
「今度、宗派の一つである魔羅坊殿がこちらへ宣教に伺います」
「そのような連絡は受けていますね」
「その時公演するホジャ・ギジェットを殺めてはもらえませんか?」
「...そういう話はマーダー・インクにでも回すことですな」
「いや、殺めるとは言い過ぎました......少しでも怪しい様子だったら、脅かしていただきたい」
ニヴフは「ほほう」と頷き、ヴァシリーは続きを聞きたげだ。
俺はとっとと帰ってほしい。ソン・セダは「まぁまぁ」話だけでもさ、という眼差し。

「どうやらカロルさんは南洋宗に良い印象は持たれてないようだ」
「まぁ、ね」
「おい旦那ァ」「同士カロル」若い連中が止めたがってるが、言わせてくれよ。
マジュロ「リユース・サイコ・デバイスの情報は全て連邦にお渡し致しました、
 我らの手元には残ってません」
カロル「ニタ研で大ウケだったそうじゃないですか、だから弾圧も程々だった」
マジュロ「貴方は信仰の歴史にあまり明るくないようだ」
ソン「おい、カロル!」
カロル「...言い過ぎました。過ぎたことは一旦置いておきましょう」
マジュロ「助かります」相手はホッと息をついている。
0117ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/24(土) 08:03:57.40ID:EhHZxdyN0
「我らも寺院に隠ってばかりではありません。世情に合わせて人々を安寧に導きたい」
「セダのとっつぁん、良かったじゃねぇか。表稼業の新聞の投函先が増えるぜ?」
「お前は黙ってろ、ニヴフ」
「このジオン共和国は不況が続き、今年中にでも自治権放棄が決定しているとか」
「はっきりしたことはお話できませんね」(ヴァシリー)
「構いません。我らは目の前の人心に向き合うのみ」
「つまり、共和国民の不安と、ホジャ・ギジェット氏の教えが絡むのが、宜しくないと?」(カロル)
「平和を想うところまでは南洋宗に限らず、皆が思うところでしょう。
 しかしやり方は人それぞれ。
 我らが分派を作るのも、それ故のことです」
戦国武将は違うんじゃないかな?という意地悪を喉元に抑える。
「魔羅坊殿の教えは、端的に言えば恐怖支配です。
 いつも通りの模擬戦をやってみせて、宇宙ゴミを撒き散らすことでしょう。
 他の十把一絡げのコロニーならいいとは言いませんが、仮にも独立したコロニー国家で行うには過激に過ぎます」
「掃海事業から名を挙げたのに?」
「あらゆる掃除を、任せておけという考えです」
「新手のネオジオンかよ、7年前だったら3つのジオン国が並ぶところだったな」(ニヴフ)
「認識の違いがあっても仲間です、そういう風には言わないでもらいたい」
「あ痛っ!」軽口の過ぎるニヴフにヴァシリーの拳骨。
「部下の非礼をお詫びします。
 話を続けましょう。ホジャ氏を驚かして帰ってもらった後、どうしたいですか?」
「私ども印古衆が静かに慎ましい寺社を建てられたら...
 一つのサイドに伝導拠点は二つも要りませんから」
どちらにせよ、南洋宗が割って入るつもりか...
「これは宗教戦争じゃないよ、新しきことには多少の反発は付き物」
あぁ...ソン・セダ、饅頭の一つも受け取ったな。
(自治権放棄の後、活動を縮小する時のリサイクル代。それだけにしてくださいよ)
正直、裏で献金を貰ってる現状でもチアトゥーラは自転車操業だ。本当の意味で豊かなスポンサーなどいない。
(分かってる、後は飲み屋のツケをパーッと払ってオケラよ)
ダメだコイツ......宗教を長期的なスポンサーに加えるよりかはマシか?
しかしデブリ処理の過程でダーク・コロニーの実態が漏れるようでは、組織の生命線に関わる。
俺は途方に暮れた。
0118ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/24(土) 22:52:16.50ID:A3i+p4sV0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第32話 仮任大雷帝

〜U.C.0079 地球 ロシア中西部〜
 ロシアの都市トヴェリはサンクトペテルブルクとモスクワの中間に位置し
水運の中継地がヴィシニー・ヴォロチョークなら、鉄道・高速道路といった陸運はこちらである。
旧称 : カリーニン、旧21世紀初頭にドイツとの共同開発でバイオマス発電の拠点となった。
かつては深い森と湖沼を持ち、一国の首都になり、
共産主義政権下では大規模な粛清を実施と歴史のある街だが
宇宙世紀において、特に語るところはない。

〜〜〜〜〜

「で、俺たちはカリャージンに向かってるわけだが?」(ネストル)
目先のカリャージンは、モスクワのほぼ真北である。
ここからトヴェリに入るとすれば、南西に回り道だ。
「仕方ないだろ、ジオンのパトロール隊に見つかりかけたんだから」(カロル)
「連中がこの辺に定期便を送ってなくて幸運だったな。
 こんなに木を薙ぎ倒して、空から丸見えよ」(山南)
「うぅ......揺れる...」(ペペ)
枝葉がサムソン・トレーラーのタイヤに巻き込まれ、粉砕されて後方に消える...

ーーーーー

見えた!
ダム湖に浮かぶ白い鐘楼......
ピョートル大帝が考え、スターリンが強引グ・マイウェイして仕上がったモスクワ運河。
この水底に、まるで犬鳴村のようにして旧カリャージン市街が沈んでいる。
「水上を上手く渡れれば、タイヤ跡も残さずモスクワ入りだな」(カロル)
「先ずは新市街だ。落ち着いてメシにしたいし...ペペには船酔いの薬がいいだろう」(山南)
「うん...」(ペペ)
「ごめんな」(カロル)
「いいのよ」
この頃、気が急いてる...仲間が大事、理屈では分かっているのだが。
「深呼吸しろ。射線に突っ込むようでは長生きしないぞ」ネストルが背中を擦ってくれた。
「このトレーラーのオーナーがお前なら、ドライバーもお前だ。
 けどな、俺たちだってナビゲーターくらいは出来るぜ」
「多少の無理は付き合うわ。持ちつ持たれつ、でしょ?」
「ネストル...山南...ペペ...」

ーーーーー

「森林警備隊は、こっちには来ないな?」
「もうどっからどこまでが自分らの土地か分かってないんだろう、この辺でいいやってな」
「幌はもっと濃い緑に塗ろう、これじゃグレイシャー・ブルーだぜ」
「ジープも緑、まるでモリゾーとキッコロね」
「「「サイズ感がおかしい」」」
こそこそ話だが楽しくサムソン・トレーラーを隠し終え、僕たちはカリャージン入りした。
0119ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/25(日) 11:28:57.65ID:Jkq0aUIV0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第33話 もしもハードロックカフェでお経を聴いたら

〜U.C.0100 サイド3 ズム・シティ〜
「それで、話を受けちゃったの?」
「ふわぁぁぁ...放ってはおけんだろぅ」
寝不足だ、歳を重ねて4時間くらいしか眠れなくなったが
昨日は2時間...いや1時間か? 気絶していたと言った方が正しい。
あのマジュロとかいう外交僧の話を鵜呑みにするのもどうかと思い、
過去にコロニー間ネットで配信されていた、魔羅坊殿の布教LIVEを聴いた。
頭にテコテコと鳴り響く木魚と鳴子......
魔羅坊殿の布教...パフォーマンスか、あれはへヴィーメタルだ。
なるほど、宗教世界に触れてみると、自分が如何に不安定な場所に暮らしているか実感する。
確かなものが、何にもないね、どうして僕はここに...Tell me why! といった感じか。
眠気覚ましのコーヒーも要らなかった、部屋の防音が機能しているか不安になったくらいだ。
無音の宇宙で派手にビームをぶちまけといて、
木魚、鳴子、サビでは銅鑼を鳴らし、魂の経をシャウト。
不安と不満がタラタラの若い奴にはよく効くだろう、劇薬だ。
「ペペ、お前...まさかとは思うが、カルトに御関心はないよな?」
「仏教由来の伝道なら、ギフトショップでアオザイを売るんじゃないかしら?
 あたし、気になってたんだ」
「...あんなの、スケスケだろ」
「エッチ!」
まぁ大丈夫だろう。

「物騒なんだからな、行くなよ」
「...分かった、気をつけてね」
「あぁ」
そこで俺たちは別れた。
0120ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/25(日) 11:37:17.33ID:Jkq0aUIV0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第34話 溜湖大邂逅

〜U.C.0079年 地球 ロシア中西部〜
 カリャージンは12世紀の記録に集落
(スロボダ:入植地であるなどの理由で税の支払いを免除された町)として登場する。
ヴォルガ右岸(南岸)のカリャージンは、
対岸に15世紀に建てられたマカリェフスキー修道院が大きくなるとともに重要性を増した。
この修道院はカリャージンでも最も目立つ建物で、1525年築の食堂をはじめ歴史的に興味深い建築が集まっていた。

〜〜〜〜〜

「そろそろ秋か...」
カリャージンの砂っぽい丘の道に、枯れ葉がひらりと舞う。
ヴィシニー・ヴォロチョークとはうって変わって物寂しげな街路、空気が沈んでいる。
石造りの家並みも、暗いまま足音すら立たない。
「無いなら無いで、いいからね!」
ふざけるな、子供に無理させられるか。
人が住んでるんだ...薬くらいあるはずさ。
あてもなくトボトボと歩いていた。
「全くの予定外だから、捨ててあった古地図しかないのが残念だな」
別行動から合流したネストルも、薬屋は見つけられてなかった。
「最後は向こうのブロックだけだ、君は先に戻っててくれ」
「大丈夫か、カロル? 気を病んでるように見えるが」
「一人で頭を冷やしたい時もあるさ」
「そうか、...程々にな」
ネストルは僕を放っておいてくれた。
長居するような場所でもないし、早く決着をつけなければならない。
0121ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/25(日) 11:37:28.99ID:Jkq0aUIV0
 ...結局、ドラッグストアの類は無かった。
池端の小丘の上で途方に暮れ、目の前に灯台を兼ねた鐘楼が浮かんでることに、不意に気づく始末。
酔い止め薬の一つも用意してやれない僕が、これからを戦えるのか?
「あら」
そんな時、後ろから声がした。
シャツこそ白いが、黒ネクタイに黒いコートの女。全身黒ずくめのスヴェルドロフではない。
「シ=ラーチャ...?」
「初めまして...なのに、名前を知られてるのね」
「いや、会ったことも知るはずもない。ここには来たばかりだし...」
「不思議な人。うむ...」
「どうした?」
「...キャロル・ムーンリヴァー!」
「カロル・ツキシマな」
「ごめんごめん、人の名前を間違えるなんて失礼よね」
「半分当たってたんだから50点あげよう」
「優しいんだ」
「君ほど奇特じゃない」
シ=ラーチャ? シ=ラーチャ、シ=ラーチャ......全く心当たりがない。
しかし、お互い不意打ちで話し始めてしまった、続けるしかあるまい。
と、シ=ラーチャは背後に、目の前に、僕の回りをクルクルと回ってみせて
最後に僕の手を、彼女の上着のポケットに突っ込ませた。
「何を...!」
「取ってごらん」
中身を取ると、それは箱詰めの酔い止め薬だった。
「この辺は置き薬しかないのよ。
 私は当分陸地だから、船に乗る頃にはまた買ってる」
「お、おお......ありがとう」
「気にしなくていいわ、仲間じゃない」
この女、ハニートラップでもなければ只の不審者なのだが...不思議と敵には思えなかった。
奇妙な親近感すら覚えた、調子が狂う。
0122ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/26(月) 16:25:32.92ID:cwNV3OOU0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第35話 【サイド3宙域】3分で分かる宇宙世紀のマタドールガンダム【ガブール・ベルグゾン式2型】

〜U.C.0100 サイド3 ズム・シティ〜
 色即是空空即是色や無生法忍といった経文の語録が読まれる中、
初期ズム様式の流ビル、中空の毒ガスボンベやサイコガンダム(MF形態)を模したダミーバルーンなどが
ホジャ・ギジェット駆るガブール・ベルグゾン2式の胸部ビームに焼かれ、宇宙の塵となる。

「跳んでくるからな、気をつけろよ」(カロル)
「現状、こちらに流れてくる破片はありませんね」(ヴァシリー)
バギ・ドーガ改とアイザック。
俺たちは魔羅坊殿には内緒で廃人工衛星の陰に隠れ、無線を傍受し、それを観戦していた。

ボールM型をベースにしたコントロール機の遠隔操作で
無人機動のジム・クゥエルやハイザック(毒ガス弾銃装備)が乱舞し、
ベルグゾン2式と鍔ゼリ合うや銅鑼の音!ブワンッ!
鳴子が緊張感を醸し出し、クゥエルとハイザックが同時に伐られ爆発四散するや銅鑼のグォレンダァ。
見事な自作自演だが、太刀筋には鍛えたものが見える。
ホッジャのベルグゾン2式はサーベルを掲げ、般若心経ロックで幕を閉じるかに見えた。

「...誰ぞ、そこにおるのは」
ホッジャの撃った前腕部ビームガンが廃人工衛星に着弾!
「バレた!」
「ちぃっ!」
「出歯亀とは、関心せんのう」
ベルグゾン2式のサーベルは消灯することなく、そのままこちらに向けられた。
0123ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/26(月) 22:19:16.02ID:cwNV3OOU0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第36話 三方大荒野

〜U.C.0079年 地球 カリャージン〜
 突如、背後からジェット音がする気がした、すると聞こえてくるようになった。
「何だ!?」
「来ちゃったか...」
「あれか?」
「それね」
何ともとぼけた会話だ。
いよいよ僕がふざけたみたいじゃないか。
やがて丘陵地帯の向こうから見えてきたのは、ガウ攻撃空母だった......

ーーーーー

 ペペもまた、得体は知れないが脅威を感じていた。
後部の馬小屋のプレクラスニー改も息を荒くし軽く震えている。
「トレーラー、出しましょ」
「唐突にどうした?まだプリョス(=カロル)が戻ってないぞ」(ネストル)
「悪い予感ってやつか?」(山南)
「バトゥミ(=山南)まで......そういうものなのか?」
「そう。......カロル」
ペペは薬を探しにいったまま一向に戻らないカロルを案じた。

ーーーーー

「オデッサから盗まれたサムソンが寝てるってのは、この辺か?」
「送られた座標は間違いありません」
通報はジオン兵からチョコレートと光る缶バッジを貰った少年の、散歩のためだった。
あの年頃の砂利ボーイの承認欲求は並みではない。
「悪戯でなければ、出向いた甲斐もあるのだが...」
ガウのブリッジ・クルーはカメラを回して地表を見回すも、草木、緑、緑の森ばかり。
「ポイントD、異常なし...」
その瞬間、ポロっと緑の幌が落ちて、サムソン・トレーラーが発進した。
「異常あり!通報されたものとおぼしきトレーラー!!」
「艦長、MS部隊投下します!」
「急げ!」
小回りの効かないガウが転進するには数分を要した。
0124ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/26(月) 22:20:58.06ID:cwNV3OOU0
「見つかっちゃったわよ!」
「不味いな...」(ネストル)
バーニアを下に向けて減速しながら降下するザク小隊が、照準もデタラメに撃ってくる、外れた。
「よし俺が囮で連中を引き付ける、その間で逃げろ!」(山南)
サムソン側の機銃で戦うにも相手が悪い。
「無茶言わないで! 相手はザクなのよ?!」
「とはいえ旧ザクだぁ、やってやれないことはない」
「...無茶はするなよ」
「おう」
「ネストル!!」
山南が走行するトレーラーからファンファンに移乗したのと、旧ザク隊の着地は同時だった。

ーーーーー

「こら三番機、尻餅を突くんじゃない!」
「隊長ぉ、訓練ではバッチシだったんですよぉ」
「マニュアル通りにやってますというのは、アホの言うことだ!」
「すみませーん」
「ホラ、行くぞ」
しかし隊長も隊長で、ぬかるんだ地表に足を取られそうだったのだ。
(地球に慣れるのが先か、終戦が先かだなぁ...)

ーーーーー

「行くわよ」
「行くって、どこに?」
「モスクワ」
「そんな、 まだペペたちが...」
「今行ったら共倒れよ、心中希望?」
「あぁ......いや.........挨拶くらいはしたかったな」
「生きてれば会える、生きてこそ」
その時だった。
ザバーッと盛大な水しぶきを上げて、アッガイ隊が地上に姿を表したのは。
......いやいや、こういうのこそ感知してくれよ僕とシ=ラーチャの直感!!
大型のモノアイが怪しく光る。
「行こう!」
「来て!」
僕たちは駆け出した。
0125ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/27(火) 14:05:24.23ID:AV6sjbYp0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第37話 【ズム・シティ】3分で分かる飛べないガルスはシュツルム・ガルス【ニヴフ専用シュツルム・ガルス】

〜U.C.100年 サイド3 ズム・シティ〜
「なんだあの機体は?」
「後ろのアイザック、防衛隊カラーじゃないわね」
「ティターンズか?!」
「ここは大丈夫なんだろうな!?」
「皆様、落ち着いて!! あの者たちの襲来も我らの想定通りです!
 蛮族は我らの手で成敗致します! どうか、席に戻って!」
パニックを起こし駆け出そうとした観覧客は、係員の教徒に抑えられる。
会場警備員はこれをどうしたものかと......「一先ず止まってください!」異教の方に従った。

ーーーーー

「何なのですか、あれは!!」
「心をお沈めください、スワティク・パル阿闍梨(あじゃり)!」
舞台裏で自分の公演の番を待っていたスワティク・パルは、憤慨した。
彼の日常は基本的に阿闍梨(先生)として不足のないものだ。
しかし一年戦争で妻子を毒ガスの餌食にされ、信仰に救いを求めた男の多面性は時おり暴かれる。
「ホジャ・ギジェット君のような若者に任せられません、私が引導を渡してやりましょう!」
「阿闍梨!!」
スワティク・パルは山車として用意されていたゴブリンAに乗り込んだ。
「誰ですか、あのような者たちを呼び込んだのは!!」
ゴブリンAは実弾ライフルを宙に撃ちながらずいずい進む。
「キャーっ!モビルスーツが入ってきたわ!!」
「阿闍梨......事態は深刻化するばかりですぞ」

ーーーーー

「あちゃー、とんでもない爆弾かかえてんじゃないの」
ニヴフは懸念以上の事態に声を上げた。
魔羅坊殿がズム・シティにもMSを持ち込むというので隔壁に待機していたが
実弾の入ったライフルなど、税関は何をしていた? 鼻薬を嗅がされていたのだろう。
それはさておき、一人コロニー待機を命じられたニヴフは
これに単独で対処しなければならない。
「奴さんは...いい感じだ、こっちに来てらぁ」
隔壁出入口からゴブリンAまで10m、7m、5...「そこだぁ!」
「何だと?!」奈落が開き、MSは尻から落ち、何事もなかったように奈落は折り畳まれた。

 幸い、巻き込まれた群衆はいなかったようだ。
「暴れん坊はとっちめないとなぁ!」
「誰なんです、貴方一体!?」
「通りすがりのシュツルム・ガルスだ!」
それはリアスカートをリック・ドムII仕様にした以外は、シュツルム・ガルスそのものだった。
0126ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/27(火) 14:20:49.99ID:AV6sjbYp0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第38話 双方大典雅

〜U.C.0079年 地球 カリャージン〜
 小型アッガイ2機(以下、アッガイor豆ッガイ)は歩兵を下ろすと、途端に愚痴り始めた。
(小基地につき本来は1小隊=3機配備だが、
イレギュラーな出動ともあって基地防衛に1機を残している)
「しっかし、女1人の為に最新の水陸両用機を使うなんざ...とんだジャジャ馬みたいだな?」(軍曹A)
「男だ女だって拘るから、そんな歳にもなってカミさんも貰えないんだろうが」(軍曹B)
「いい女がいればねぇ〜」
「ゲイじゃないのか」
「バイでもないぜ、バイはバイで面白そうだが」
「悪趣味〜」
そうは言いつつも周囲警戒を怠らなかったはずの二人、
どのみち小柄なワッパに気づくのは遅れたことだろう。
「わっ?!ワッパ!!」
女の運転するワッパ、後部で男がグレネードランチャーのM72 LAWを構え...
「どうした?!」
「ぎゃーっ!!」
軍曹Bの豆ッガイは浮上してきたワッパにメインカメラをやられ、真後ろに転倒する。
「気をつけろ、後ろ、後ろに回った!!」
「後ろ?!下?!何処だ!」
見敵し、ステップを踏んで回り、前腕部バルカン砲を撃つも照準が合わない。
「ならば!」

ーーーーー

「右だ!近いぞ!」(軍曹B)
「うわぉー!わぁぁーーっ!!」(軍曹A)
「あっつ!」(カロル)
豆ッガイの掌部ビームサーベルがスレスレを通り、熱で髪の先が焼けるような感触を覚えた。
これがビームサーベル...ほんの数センチ先で当たれば即死だ。
残った豆ッガイは回転しながらサーベルを振るい、こちらに当たるのを待ってるようだった。
「しがみついてて! 動きがいい方のアッガイは目を潰した、上出来よ」
シ=ラーチャは軽機関銃のSIG KE7を構え、片手で上下左右に運転し、
もう片手で豆ッガイの間接めがけてブチ込んでいく。
「何をやっているんだ」サブカメラで見ていた軍曹Bには意図が読み取れなかった。
当然、水陸両用機の厚い装甲に時代遅れの機関銃など効かないのだが...
「いい音! そこ!そこ!そこ!」
(怖っ)
「ハハハ、怖いか!怖かろう!!」
何となく分かった、シ=ラーチャは着弾音のエコーロケーションで相手の状態を''見て''いるのだ。
0127ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/27(火) 14:21:05.83ID:AV6sjbYp0
「何なんだ、何なんだよォ!」
軍曹Aは蚊が刺すような機関銃撃の連続に、段々と不安を煽られた。
「落ち着け、軍曹!!」
頭部10連ミサイルランチャーをばら蒔き、地形が変わっても目先の異常者たちに当たらない。
ドゴォっ! ドカァ!バキィ!グシャア!
「うおっ?!」
プラスチック爆弾だ! しかも致命的な部分を連鎖的に攻めてくる。
右から左に、足がもぎ取られ、左前腕の銃口が暴発し、右前腕は装備を含め動かない。
「何だ、無力化されたというのか?!」これでは自走砲にもならない。
更にバックパックの爆発!「うわぁ!」
(帰ることすらままならない...そんな...)
ここで双方の攻撃が止んだ。

「そっちのアッガイ!聞こえているか!」
シ=ラーチャは何処からか拡声器を取り出して呼びかけた。
「な、なんだ?!」最初に目潰しされた方が応える。
「目隠しのまま私たちと鬼ごっこしたくなければ、仲間を連れて立ち去ることね。
 地上に降りたお仲間は、浅墓なことになったわ」
亡くなった仲間を連れ帰りは...しないだろう。
死体の臭いを充満させたまま潜航するのはパイロットに酷だ。
「わ、分かった...!」
「軍曹ぉ...(泣)」(A)
軍曹Bのアッガイが軍曹Aのアッガイを引く形で、水面の鐘楼の向こうに消えていった。
「今度こそ出発ね」
「お、おう...」
もしも、僕の初陣がこんな風な負けだったら、...今も戦えてるとは思えない。

「何を持ってきたの?」
「歩兵たちのドッグタグさ...5年後か10年後、返せる日が来るかも」
「...返り討ちに遭わないことを願うわ」
多分、偽善になるだろう。
これからも敵兵を殺し続けるかもしれないし、全員分は回収できまい。
自分のためだ、自分のケジメとしての。
0128ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/28(水) 17:25:24.51ID:te/szm980
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第39話 【ズム・シティ】3分で分かるラーニング能力の高い小鬼【ゴブリンA】

〜U.C.100年 サイド3 ズム・シティ〜
コロニー隔壁の内部。
「速ぇ、あのデブ中身スッカラカンかよ!!」
ゴブリンAの疑似ホバー駆動が、スパイク・シールドを構えたシュツルム・ガルスを翻弄する。
敵機が本来は重装甲だったスペースに、使えば使うほど軽くなる燃料を詰め
自機が相手より5mほど大きいというのも凶報だ。
「鬼手仏心の覚悟で、貴様を救う所存!」タァン!タァン!
「うおっ?!」
背部に実弾ライフルの直撃、一般機のような推進器があれば隔壁を破く大爆発となったろう。
「救いの業を、受けろォーっ!!」
「死んでも嫌だねぇーーっ!!」
至近距離に接近し、致命傷を撃ち込もうとするゴブリンA。
シュツルム・ガルスの右フックが実弾ライフルをかすめ、スパイクに引っ掻けて跳ばした。
「はぁ......はァ......」
「ふぅ.........」
ゴブリンAは左手を下に、右手を上に構えた合気道の姿勢だ。
体格差をモノともしないのだろう。
長期戦になりそうだ...

「止まった......のか?」
「睨み合ってる内に退避だ!!」
日常業務に出て、タイミングの悪い警報と実戦に遭った作業員たちにはいい迷惑だった。
0129ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/28(水) 17:27:36.34ID:te/szm980
機動戦士ガンダム U.C.100 ズム・シティの落日
第40話 一方大円舞

〜U.C.0079年 地球 カリャージン〜
「大股抜きぃーっ!!」
「なんと!!」
山南の戦いぶりは奮戦そのものだった。
ファンファンというそれなりのガタイを持つ戦闘ヘリでありながら、
機体を縦に作ってザクIの間を抜けたり、ローターに間接部品を引っ掛けて小破させたり、
ともかく時間を稼ぎながらジワジワとダメージを与えていた。
「隊長、これでは狙いを定められません...隊長?」
「隊長ォ!」
「うぐっ......スマン、酔ってた」

「そろそろ潮時だな」
山南のファンファンは天高くクラスター弾を撃った。
「隊長ォ!鉄の雨が!鉄の雨が!」
「散弾だぁ!!」
旧ザク隊はメインカメラを守る構えを取り、腕や肩に鉛球を埋め込まれた。
爆発しないのを確認して構えを解いた時、ファンファンは既にそこを去っていた...
「追いますか?」
「いや...あのファンファンの逃げ足だと、もう無理だろう。
 ガウと合流して、作戦の練り直しだ」

ーーーーー

ペペ「水路はもう無理ね」
ネストル「あぁ、隠れる場所がないからな」
ペペ「潜水できればなぁ...」
ネストル「無茶言うなって」
ペペ「プレクラスニー改だって、水浴びしたいわよね?」
馬は嬉々としてヒヒンと鳴いた。

山南「どーせひーとりさっ、かーぜーがーいーう♪......やれやれ、ダム湖ってのは広いもんだな」

シ=ラーチャ「調子の悪いワッパは捨てて、マルシュルートカで行きましょう」
カロル「待て待て、そっちは北上だ。南下はあっち」

それぞれがモスクワを目指す、異なる道で、異なる足で...
0130ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/29(木) 11:17:22.74ID:Gr4NywP60
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第41話 【サイド3】3分で分かるEWAC機の奮戦【アイザック】

〜U.C.0100年 サイド3 ズム・シティ近海〜
「お主らを炊き上げ、天に昇れば自ずと救われるであろう!」
「ええぃっ!」
ビームサーベル同士の衝突、向こうの方が出力は上か。
「天まで届け!!」
「宇宙よりも遠い場所があるかっ!!」
ヴァシリーは上手くやってくれているか......よしっ!
アイザックは戦艦の残骸の影から狙いをつけている。
俺は射角を見てサーベルの打ち合いを反らし、北に上がった。
直ぐ様、アイザックのビームランチャーが撃ち込まれる。
「何をぅ!」
避けた構えでそのままサーベルを突き出し突撃するホッジャ。
ビームの弾丸が弾かれ、弾かれ...着弾!
「やったか?!」
ガブール・ベルグソン2式の左手は消し飛ぶも、そこから上にダメージは無かった。
「手数が減ったならぁ!」
フェダーイン・ライフルを連射しながら距離を取る。
何故一気に切り捨てに行かないかといえば...
「小癪なっ!」
本体のビームが強烈なのだ。
腕と胸部からの3連を避けるも、額の一門が銃身にかする。
「ええいっ!」
フェダーイン・ライフルをスピアに持ち換えて応戦、向こうも残りのサーベルを抜いた。
0131ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/29(木) 11:18:04.47ID:Gr4NywP60
 やはり出力で負ける......相手の方が多少新型だとでも言うのか?
「業火に燃えろ!!」
ビームが臨界点に達した敵機の胸部砲門!
「させるかっ!」
ビームジャベリンを構えたアイザックが、下からベルグソン2型を突き上げた!
「ぐぅ...おのれっ」
「何っ!」
アイザックに向き直ったベルグソン2型は背中の放熱板を射出、
それで俺の斬撃を避けられたのはいいとして、アイザックだ。
切れ味のいい板を咄嗟に回避するも膝下をもっていかれた。同時に敵機も爆発。
背部からイジェクションポッドが射出、ランドムーバーで作業用ポッドに回収される様子だ。
「やめておけ、ヴァシリー」
「しかし!」
「援軍が出てきたらその機体でどうする? 脅かすだけでいい、撤退だ」
「...はい」
これでズム・シティを諦めてくれればいいのだが...

ーーーーー

〜サイド3 ズム・シティ隔壁〜
「浄化を!」
「危ねぇだろうがっ!」
ニヴフのシュツルム・ガルスが、
スワティク・パルのゴブリンAのリムーヴァル・メイスを弾き飛ばす。
それは爆発しないまま隔壁内を転がった。
「oM vaizravaNaaya svaahaa!!」
「ここからいなくなれぇーっ!!」
クロスカウンター、スパイクシールドの一撃!
「神よ!仏よ!!精霊よ!!!」
次の瞬間、スワティク・パル阿闍梨の身体は大地へ溶けいる形になった。
爆発はしていない。
俗人に言わせればミンチよりも酷いという、あの姿である。
しかしそれが溢れ滴るのは大地ではなく、鋼の向こう、真空の宇宙空間に対してであった...
0132ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/29(木) 11:23:25.35ID:Gr4NywP60
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第42話 核に埋もれる紅い忌避 {ドゥブナ}

〜U.C.0079年 ロシア中西部〜
 1946年、ソビエト連邦政府は原子力研究のために陽子加速器の建設を決定し、
モスクワからの距離がありイヴァンコヴォ水力発電所も近くにある現在地が選ばれた。
イーゴリ・クルチャトフが科学技術面を指揮し、
都市建設およびモスクワへの道路・鉄道建設を含む計画の総監督は
内務人民委員部長官ラヴレンチー・ベリヤが行い、
グラグに収容された政治犯らも使って建設が進んだ。
計画決定からわずか3年後の1949年12月13日、加速器は稼動した。

〜〜〜〜〜

 暗闇に携帯照明の灯りが蠢く。
「やっぱり辛麺は残ってるものだなぁ」
ザクI小隊からまんまと逃げおおせた山南は、打ち捨てられたデパートの屋内駐車場に駐機し
食料品コーナーに缶詰やインスタント食品が残ってないか、食べられたものか物色していた。
「誰だ!!」
「やっべ」
山南はバラックバッグに入れられるだけを詰め、身を低くしてその場を去った。

「こっちだ!」
「何処いった?!」
足音が遠のいていったのを確認して、山南は息をつく。
漏水が肩に滴る、そこは扉を挟んで向こうの非常階段だった。
「!?」
「ポケットに入れた手を、ゆっくりと出しな」
女の声だった、銃口のようなものが見えたので山南は声に従う。
0133ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/29(木) 11:24:04.95ID:Gr4NywP60
「立って!」
ボディーチェックが始まる...
「なんかこう...ムズムズするな」
「黙ってなさい!...銃もナイフもないじゃない」
「車に置いてきた」
顔かたちの綺麗な娘だった。
「きゃっ」
顔が合ったところで相手の拳銃のようなものを弾き飛ばす。
それは近くで見れば分かるようなモデルガンだった。
「よくないな、こんなことして。
 逆上した野郎にナニをされるか...」
「...今更、喪うものもないよ」
「...尚更、奪えないな」

「こんなところに暮らしてたんじゃ、そのうち失明するぞ?」
「日に一度は屋上に出てる、陽射しが気持ちいいし...景色も嫌いじゃない。
 シリコンバレーって此処にそっくりなのかな?」
「シリコンバレーにはサローヤンの像がある、この辺ではブルガーコフの絵葉書を売ってる。
 工場なんて何処もそれほど変わらん、グローバル化の後ではな」
「植えてある木は違ってくるでしょ?」
「ま、サンノゼにポプラは似合うまいなぁ」
「登ってみる?」
「足音がしなくなったらな」
打ち解けたようだった。
0134ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/30(金) 10:47:00.60ID:sl9l+n6p0
機動戦士ガンダム U.C.100 ズム・シティの落日
第43話 もしもムンゾにメッカがあったら?

 サイド3の7バンチ『烏梁海(ウリャンハイ)』は当初こそ海洋コロニーとして建設途上にあったが
ジオン独立戦争が開戦されるや各種工業に必要な水を供給するため
7日間ぐらいでドライ・コロニーにされたという
(十二分に貯水されていた9バンチ/海や21バンチ/リゾンデは
水陸両用機試験のため少量の取水に留まっている)。
やがて干上がったプール・ブロックと地上部の間に
戦時廃棄されたコロニーの残土が集積され、それを擁壁で保持し
高原型観光コロニーとして再生したのが7バンチ/ウリャンハイ改め『クィズィル』である。

〜〜〜〜〜

〜U.C.0100 サイド3 ズム・シティ〜
 ズム・シティ政庁裏のチアトゥーラ支部。
「で、こないだの坊さんが言う通りの小さな神社......には留まらなかったと」(ニヴフ)
「仮にも阿闍梨の位だった人物が撲殺されたんだ、
 連中の気分はランバレネに出向くシュバイツァーの如し、だ」
「僕たちは蚊トンボですか」(ヴァシリー)
「トンボなら逆立った宗教家の気持ちを均せるかもな」(カロル)
「聞いてはいたが、南洋宗のことになると投げ槍なんだな。お前が冗談を言うなんて」
「お前がルナリアンをやってた時の恨みさ、ココ」(カロル)
ココ・ラプテフ・ラジャーブは新たにチアトゥーラのズム・シティ代表として赴任した
浅黒い肌にクールな印象を持たせる30代後半で、レジスタンスをやってた頃に度々共闘していた。
賄賂を受け取ったソン・セダは文字通りの「島流し」、何処のサイドに飛ばされたかも知れない。
「で、事を穏便に済ませる為に、手つかずだったクィズィルを寄進するわけだ」(ニヴフ)
「あそこもあのままじゃテキサス・コロニーの二の舞ですからね、厄介払いだ」(ヴァシリー)
「魔羅坊殿からすればスワティク阿闍梨は立派に殉教を遂げられた...と言えるか」(カロル)
「記念碑の一本も建立するだろう」(ココ)
「遺族年金は御布施から出してほしいね、こっちはコロニーを潰されかけたんだ」(ニヴフ)
「高僧を手にかけたことは暫く引きずることになるぞ、それだけは胸に置いておけ」(ココ)
「...俺がコロニーに残るべきだった、ホジャより不味い奴がいたとは」(カロル)
「気にすんなって!今度は上手くやるさ」(ニヴフ)
「僕も非殺傷性の装備を調達しておきます」(ヴァシリー)
「頼んだ」(ココ)
しかし...風の会預りだったクィズィルである、新たな火種になるのでは...?
0135ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/30(金) 10:50:10.31ID:sl9l+n6p0
「さて、仕事の後はお忍び旅行だ。件のコロニーへな」
「潜入捜査ですか」(ヴァシリー)
「そう」
「結局仕事だな、いいけど」(カロル)
ココもクィズィルが気になるようだ。
そこでインターホンが成る、ココはそれを待ってたらしい。
「お、丁度いい。入ってくれ」
入室したのは、藤色のスカーフが似合う女だった。
「ルリエ・サモワールです。こちらで事務員をさせていただくことになりました」
「よろしく」「よろしくお願いします」「よろしーく」
「今度の留守を預かってもらう、男3人旅だ」
「いいなぁ、ココ代表ったら女の子とマンツーマンかよ」
「ん? 留守番はお前だぞ、ニヴフ」
「ゑ?」
「今度の件は無理をさせたからな。
 出来る処理は前日までに片しておくから、ルリエに事務所の勝手を教えといてくれ」
「至らないこともあると思いですが」
「留守番で事務処理かよぉ...ま、よろしくね」
「土産は買ってくるさ、未来の幹部候補殿」
「へいへい」
0136ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/30(金) 12:49:57.13ID:sl9l+n6p0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第44話 舟に舞い落つ紅い蝶 {ペレスラヴリ=ザレッスキー}

BGM ロルツィング - 歌劇《皇帝と船大工》序曲
https://youtu.be/WQmTrP9pNZc

 1688年から1693年にかけて、まだ親政を行っておらず
 仲間たちとの軍事演習ごっこに明け暮れていたピョートル大帝は、
プレシチェーヴォ湖に自らの楽しみのために小さな船による艦隊を浮かべた。
これが後に彼が組織するロシア海軍の基礎と考えられている。
現在、町の博物館にはこの時の船の一隻が保存・展示され、
ロシア最初の「艦隊」の様子を伝えている。

〜〜〜〜〜

パカラッ パカラッ
ネストル「いい調子だ、ちょっとスピード出てるぞ!」
ペペ「これくらいでいいかしら?」
ネストル「上出来、...っと、今日はこれくらいだな」
ペレスラヴリ=ザレッスキーまで来たペペとネストルは、路上の倒木で足止めを食らっていた。
「4輪バギーだけなら横道から出られるんだけどなぁ」
「カロルが用意してくれたサムソンよ!棄てられないわ」
「あぁ、俺も迷った......で、通行規制解除を待ってるんじゃないか」
ネストルとしても、早々とモスクワ入りして真っ先にジオンや勘違いした連邦軍と戦うより
少し間を置いた方がいいという判断だった。
「まったく、女2人に一番のデカブツ押し付けてさ...こんな小さい娘に心配までさせて」
「気遣ってくれるのは嬉しいけど、あたしは平気よ。はい」
「おう、ありがとな」
ネストルはペペから缶コーヒーを受け取った。
0137ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/30(金) 12:50:52.53ID:sl9l+n6p0
 ネストルは気分転換にと、ワッパを使った観光ガイドに声をかけた。
「ゴリツァ・アヴェルザーデだ、観光かい?」
「ネストル・ドニエストル。
 旅職人をやってるんだけど、予定のコースが爆撃に遭ってこっちに来たんだ」
「そりゃ大変だったね、妹さんもいるというのに」
「ペペ・ゴイゴビッチよ、アバズレじゃないわ」
「分かってるよw」
ペペはからかい返された気がしてムスッとした。
「今のはお前が悪いよ、ペペ」

「先ずはゴリツキー修道院、いい玉ねぎ頭だろう?
 ここはユーリー・ドルゴルーキーが建てたんだ、モスクワを設計した偉人さ。
 略奪や火災で度々ぶっ壊れてるけど、その度に再建されて今もここにある」
「ところどころで様式が変わってるんだな」
「モザイクみたい」

「急須とお茶の博物館はU.C.0035年に統合されるまで別々だったんだ」
「緑茶もあるの」
「ロシアは広いからね」

「ペトルーシュカ、元々はロシアの娯楽を扱う博物館だったのが、何故かアメリカ化してる」
「おが屑を敷いた床って素敵ね...ネストル、ピンボールばっかしてると置いてくわよ!」
「もっかい、もっかいだけ!」

「酸汁(クワス)の博物館! 一時はコーラに圧されたけど、巻き返しの時です」
「飲みすぎるなよ、微量とはいえアルコール飲料だ」

「ロシアの発明品博物館!ここを見れば、ソビエトが世界を二分したのも分かるというもの」
「タチャンカよ! レプリカの機関銃も付いてる」
「うちのプレクラスニーに譲ってもらえないか?」
「ダメダメ、見るだけで」
二人はモスクワを前に、首都の成り損ないを堪能した。
0138ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/30(金) 13:19:45.54ID:sl9l+n6p0
「博物館《ピョートル3世のボート》...と、今は常設展示してなかったな」
「肝心のボートは何処に行ったの?」
「たまに湖に係留してるんだよ、見に行くかい?」
「行こうぜ!」
「うん!」

(周囲を見回し、昼寝してる監視員しかいないことを確認するゴリツァ)
「これがフォルトゥナ号? 思ってたより小さいわ」
「ロシア初の艦隊と言っても、要するにボート同好会だからな。
 ここから帝国の歴史が始まるなんて、誰が信じたものやら」
「乗ってみたらどうだい?」
「いいの?」「乗ろっか」

「!?」
「どうした?...ガイドのおっさん!」
「荷物を陸に投げてくれ、俺も撃ちたくないんだ」
「ネストル...」「正気か?」
「戦争で何かと徴用され...観光客なんて来ないし...一杯一杯なんだよ...早く!」
「ちっ......分かったよ」ポイッ
「すまないな」ドッ
「きゃっ」「このままじゃ湖ど真ん中まで流される」
「向こう岸に着いてから通報なりすればいいさ」
「あの野郎...」

「ちょっ、君たち?!」
「ウィンドサーフィン中に失礼! 船は博物館に返しといてくれ」ピョイッ
「ごめんなさいね! 向こう岸で通報していいから!」ピョイッ
「ちょっ、おおっ?!」ピョイッ
0139ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/30(金) 13:23:30.61ID:sl9l+n6p0
BGM 風を切って(唄・間庭小枝)
https://youtu.be/Vn-f1UDxccI

「よしっ、アイツ岸辺を走ってるぜ」
「追い付ける?」
「余裕!」
「...マジかよ」
「気づかれた!」
「でも対向車線が混んでるから、内陸には逃げないわ」
「グッジョブ大渋滞!」
「くそォ、何で混んでんだ? なんで追ってこれるんだ?」
「神風はアンタに味方しちゃくれなかったんだよ!」
「べーっ!」
「畜生...っ!」

「ペペ、せーの で飛ぶぞ?」
「う、うん!」
「せーのっ!」ピョイッ ピョイッ
「何とか着地!」
「俺は二段ジャンプ!」ドスッ
「ぎゃーっ!!」ドサァ
(ワッパは自動停止した)

「......悪かったよ」
「おじさんも悪い人じゃないんでしょ? 追われても撃たなかったし」
「魔が差しても泥棒は泥棒だ、このワッパ貰っていくぜ」
「セイルボードの持ち主が来たら、返してあげてね」
「ハァー......大切にしてくれよ」
「泥棒の言うことかよ (-_-;)」
「ありがたく使わせてもらうわ」

「俺、いつまでボートに揺られてるのかなぁ...」
0140ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/04/30(金) 13:52:49.09ID:sl9l+n6p0
えー
U.C.0100→秘密結社チアトゥーラと南洋宗の一派・魔羅坊殿が接触するまで
U.C.0079→カロル・シ=ラーチャ組以外はモスクワ近郊に到達

今週でここまでやりました。
1日2話更新は無理があったなぁ...w
僧兵の事情などろくに知らないまま過激派として書いてます、批判はどんとこーいデス。
一年戦争編はモスクワ抜けてちょっとしたら中央アジアに突入します

みんな大好き『祖国は我らの為』にから
https://youtu.be/rwAns-qsMPo
みんな大好き『ジェッディン・デデン』へ
https://youtu.be/2eaxzv6obf8

ユーラシアは広いなぁ
0141ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
垢版 |
2021/05/02(日) 12:59:37.45ID:8XTQHTwe0
ちょいオーバーヒート気味なので月・水・金で更新する予定。
上手くすれば再来週は平日更新に戻ります
0142ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
垢版 |
2021/05/03(月) 10:35:09.76ID:CoHwpTJ80
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第44話 もしもレソトが仏教総本山だったら

〜U.C.0100 サイド3-7バンチ クィズィル〜
「ここが...サイド3なのか?」
そのコロニーにはズム様式というものがない。
石段が続き(右側通行で左右に車椅子用の昇降機もある)、香の匂いが漂い、
平地ではゲルテントを模した露店が軒を連ねる。
自動車道のような舗装は無く、ぬかるみにくい合成土か石畳の上を馬がカッポカッポと行く。
サルヴァドール・デ・バイアに保存されているような
アップタウンとダウンタウンを結ぶエレベーターさえ、この御馬様と馬主が優先されるのだ。
(ネストルとプレクラスニー改が見たら、どう思うんだろうな...)
「どうしたんです?」(ヴァシリー)
「いや、昔の知り合いを思い出してた」
「南洋宗だったのか?」(ココ)
「いや全然、神様を信じる性分じゃなかったよ」
「それは不幸なことです」(ムガン)
案内人(シェルパ)のムガン・ペルモサイ君は敬虔な魔羅坊殿の信徒で
年頃からして、まだ日曜朝の英雄譚に憧れてるようなところが見て取れた。

「しっかし...エレベーターや昇降機を使うのはダメ?」
ゆうに百段は登ってるだろう、キツい...
「堪えてください、これも修行です。
 僕の祖先は、険しい土地に住む少数民族でした。
 人類が宇宙に旅立つ以前、地上の頂点に至るにはシェルパの助力が必要で
 しかし一方の、都会的な国の装備も不可欠だったと聞きます。
 皆で手を取り合って快挙を成す、その為には団結が必要なのです」
(そんなチベットはスペースノイドの団結で隕石爆撃されたな)
もしもニヴフがこの場にいたら、それくらい言ったかもしれない。
穢れを知らない少年には、なるべくそのままでいてほしいものだ。

「符を」
「こちらです」
「...うむ、よい旅を」
ムガン君は門番に木の割符を手渡し、照合され、俺たちを通してくれた。
クィズィルはブロック毎に朱塗りの塀と門で区切られており
今回のような内覧時は、シェルパの持つ割符が許可証となり
特別な信徒の監視下で通過することが出来る。
無理に押し通ろうとすれば門番の錫杖に打ち据えられ、
ランドムーバーもないまま宇宙遊泳を楽しむことになるとか。
「気になる店や施設があったら言ってください、入っていい場所はおよそ把握してますので」
0144ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
垢版 |
2021/05/04(火) 08:13:48.37ID:mfWeJOW90
簡単なメカ紹介

>>111-113
○アッグ
 MSという名の大型土木工作機(と言っても16m弱)。
両手にドリルを持ち、歩けないのでホバー推進する。
https://bandai-a.akamaihd.net/bc/img/model/b/1000146637_1.jpg

○ドラケンE
 ジム・スナイパーIIのオマケ。
5m弱のミドル・モビルスーツだがビームサーベルをドライブ出来る。
http://uc-timeline.com/wp-content/uploads/2012/10/title_draken-e_re.jpg

>>122
○ガブール・ベルグゾン式2型
 元々はエゥーゴ残党過激派エグムが運用していた機体。
画像では下段の左から2番目。
設定上は胸部の3連ビーム砲のみが武装とされるが、本作では前腕上下の穴をビームガン(下側はサーベル兼用)、
額の穴もビームガンの高火力重MSとして描写している。
また背中の放熱板は百式のように射出可能(オリジナル設定)。
https://livedoor.sp.blogimg.jp/redcomet2ch/imgs/e/e/ee0df8a6.jpg

>>123-124
○ザクI
 旧ザク、1日ザクとも。
お馴染みザクIIの先代にあたるMS。
偏狭ならまだ使ってるかなという判断で小隊編成に、多分大隊にするほどの配備状況ではない。
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/h/hadoutaitei/20180221/20180221222115.jpg

○アッガイ(サンダーボルト版)
 銀河の状況が違うので小型化したアッガイ(12mくらい)。
前腕に機関砲を持ち、頭部は10基のロケットランチャーに換装されている。
また三本指のマニピュレーター中央にビームサーベルがある等、パイロット次第では主役機の活躍も出来る代物。
(画像はオプション装備の火力型)
https://www.stoicfps.com/wp-content/uploads/2017/12/gundam-MSM-04-tb-ka.jpg
0145ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/05/04(火) 08:49:01.65ID:mfWeJOW90
>>125
○ゴブリンA
 15m級の元祖小型ザク。
ザクIIのジェネレーターを使いつつ重装甲なので日持ちするし使いやすい...というのが本来の設定だが
スワティク・パル機は装甲を削ってプロペラント・タンクにすることで動けるデブと化している。
また本作ではオプションとしてグフ・ヴィジャンタのリムーヴァル・メイスを装備。
https://livedoor.blogimg.jp/arutoro/imgs/e/4/e4f4e5d8.jpg
http://www.tinamini.com/re?kb=85&;size=480x1000&url=http://api.tinami.com/image?api_key=___apikey______amp___cont_id=521678___amp___no=4

○シュツルム・ガルス(ニヴフ専用機)
 装甲や推進器を削って運動性に特化したガルスJのバリエーション機。
流石に救援の難しい小規模組織で推進器ゼロは不味いだろうということで、リアスカートはリック・ドムIIの流用。
今回は閉所での防衛戦のためチェーンマインは使わず、勿論袖はない。
https://gunplapocchi.com/wp-content/uploads/2018/10/HGUC-SCHUZRUM-GALLUSS-46.jpg
https://livedoor.sp.blogimg.jp/yuichibiz/imgs/6/4/6481c9c3.jpg

○アイザック
EWAC用に改修されたハイザック。
用途の都合上ビーム兵器を扱うことはほぼ無いが、兵力不足になれば前線に出せる機体。
地味にオプションが豊富。
https://www.1999.co.jp/itbig03/10039677k2.jpg
https://www.1999.co.jp/itbig03/10039677k3.jpg
https://www.1999.co.jp/itbig03/10039677k4.jpg

○ワッパ
 デキるジオン兵ならガンダムを爆発四散にだって追い込めるヤベー乗り物。
https://hobby.dengeki.com/ss/hobby/uploads/2018/02/6-440x293.jpg

○M72-LAW、SIG KE7
 それぞれアメリカのグレネードランチャーと、スイスの軽機関銃
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a6/M72-LAW-firing.png
http://img-cdn.jg.jugem.jp/830/1205606/20111117_2404293.jpg

>>138
○フォルトゥナ号
 「幸運」を意味するピョートル3世のボート。
https://cdni.rbth.com/rbthmedia/images/2019.06/original/5d15ed9c15e9f97f8a16514a.jpg

○セイルボード
こんなのヨットじゃないわ、マストの付いたサーフボードよ!
http://wind-surfing.biz/design/basicdesign/CODE0000000027.gif
0146ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/05/05(水) 09:51:33.00ID:DhCH8IrM0
機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第45話 細密画の紅い点描{セルギエフ・ポサード}

 セルギエフ・ポサードは、1340年代にセルギー・ラドネシスキーによって創建された
至聖三者聖セルギイ大修道院の周囲に形成された門前町(ポサード)。
1742年には周辺の村落と合併して市域を拡大している。
宗教的な市名を理由にソ連時代には「セルギエフ」と改名し、
さらに「ザゴルスク」(Zagorsk)と改称したが、
ソビエト連邦の崩壊後の1991年、元の市名に戻った。
市は「黄金の輪」を構成する古都のひとつである。
モスクワから日帰りで観光できる距離にあるため、週末には多くの観光客が訪れる。

〜〜〜〜〜

 長い道が通る針葉樹林の、パーキングエリア用に開けた路肩。
「ツァーリ・ブルゲルじゃないけど、これで良かったかい?」
「上出来よ、セヴァステャン」
「どういたしまして、マドモワゼル」
僕とシ=ラーチャはバス・スタンド買ったサーモンとディルのライ麦ホットサンドを半分にして食した。
「財布がスラれなきゃ、二枚いけたのにね」
「お相伴に預り光栄です、マドモワゼル」
マルシュルートカは長距離バス旅でお馴染みの数回の休憩を重ね、次で町に入るはずである。

「臨検だぁ!」
これでもかという大きな声で、嫌でも分かるジオン訛り。
(ちょっ、どうする?!)
(小芝居に付き合ってちょうだい)
「お前は、身分証はあるのか?」
「はい、僕はこの通りの旅職人で、キャロル・プリョスと申します」
僕はデッチ上げの職人手帳を見せた。
「ほほぉ......で、そっちは?」
「ごほっ...ごほっ...」
軍人は、僕に膝枕されてるシ=ラーチャに関心を移した。
「旅の途中の連れ合いです、体調を崩してしまって」
「いい女じゃねぇか」
「はい、僕には勿体ないくらいで」
「こほっっ...かはっ...」
「ちょっと薄着が過ぎるんだろう、町で重ね着を買うがいいさ」
「はい、ありがとうございます」
「ふぅ......ふぅ」

「言ったわね」
「甘え上手なんだね、マドモワゼル」
「あなたも立派だったわ、モナミ」
白と水色の巨大な鐘楼が見えてきた。
88mあり、建設当時はロシア最大の建築だったという。
0147ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/05/05(水) 09:53:51.44ID:DhCH8IrM0
「あの女、手配書にそっくりだったじゃないですか」
「特徴を見なかったのか? 凍った河に落としても、悠然と泳いで倍返しに来るタイプだ。
 ああも可愛らしく風邪を引いちゃいないよ」

ーーーーー

 その日の昼は、清々しい青空だった。
ジオン兵が辺りを闊歩してるからこそ、僕たちは堂々と観光をしてみせる。
「聖人がこの教会堂でロシアをモンゴルから守った。
 だから恩恵に預り、恩返しをしようと皆が街を作っていった...」
「それにしても可愛い町よね。
 あのウスペンスキー聖堂なんて、絵本に出てきそう」
「昔を知るのは昔の人間だけ...か」
「清貧だから、仰々しさがないのよ」
「引き算が全てを決するのかも」
ボランティアの掃除夫が落ち葉を掃いていた。

「気になってたんだけど、君わざと間違ったマルシュルートカに向かってるんじゃないか?」
「どうしてそう思うの?」
「君は聡いじゃないか、おバカタレントには向いてない」
「...こんな時間が長く続けばいい、そう思ったことあるでしょ?」
「そりゃ...そうだけどさ」
「早く会いたい、追いつきたい人がいるの?」
「......あぁ」
「そっちを取るんだ」
「君といて楽しいのは本当さ」
「しょうがない人だなぁ......行きましょうか」
「おい、そっちは」
「こっちの方が近いわ、急がば回れよ」

 その後に知ったことだが、僕が乗ろうとした路線は
連邦軍とジオン派ゲリラの戦闘で路上が抉れ、3日は使い物にならなくなっていた。
0148ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/05/05(水) 12:29:02.25ID:DhCH8IrM0
〜マルシュルートカ車内〜

「ねぇ......あなたは何処に向かっているの?」
モスクワとかバイコヌールとか月ではない、その先のことを知りたいんだと。
「お尋ね者になってしまったからね、何処にも居場所がないのかもしれない」
「だったら...」
「放っておけない子がいる。
 君よりしっかりして見えるけど、それでいて無鉄砲なんだ。
 こうしてる間にも戦ってるかもしれない」
「そう」
「挨拶も無しに別れた連中もいるし...言っていいかい?」
「どうぞ」
「両手に花......不味いかな。
 勿論あの子のことを女とは見ていないが、見守りたいのと傍にいたいのは似たようなことだろう」
「男のエゴね、付き合う方の身になってほしい」
「すまない...
 この戦いが終わったら、その先を考えられる。
 まずは、この星を出よう」
「分かった」

やがて、マルシュルートカは大きな停留所に止まった。
連邦道路M8と環状道路の交差点、地平線で濛々と煙を上げる大規模工場の煙突、
僕らはモスクワ市街に到達したのだ。
0149ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/05/05(水) 18:59:25.39ID:DhCH8IrM0
今週の0079編はここで御仕舞い、次週からモスクワの話に入ります。
ひと組くらいはMSとバリバリ戦わせるんだったかなぁ...
泥棒から奪ったり、仮病で逃げたり、あまりロボットアニメを基盤にしてる感じが...まぁ嵐の前の静けさということで

金曜日は上手く出来たら>>111-113の番外編の第2章、ダメだったら0100編のクィズィル・コロニーで油を売ります(双六かw)
0150ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/05/05(水) 19:10:58.13ID:DhCH8IrM0
あとまぁ、今回の0100編チアトゥーラ組はMSを持ち出してませんが
今後の扱いについて↓

○カロル・ツキシマ
 バギ・ドーガを中継されてしまったので、再度リペイント予定。
 何か思いついたら武装も追加します
○ヴァシリー・バシコルト
 任務にもよるけど、どのみちアイザックを中破させてるので他の機体に乗せる予定
○ニヴフ・ノルニレンコ
 この人のガルス・タイプは元のガルスJを任務毎に改修して兼役させてます。
 なのでガルスKが脇ミサイルを撃っても、それはJから都合上撤去しなかっただけ、という塩梅です
○ココ・ラプテフ・ラジャーブ、ルリエ・サモワール
 基本この人たちはパイロットじゃありません。
 そのうち母艦でも出すかな...
0151ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/05/07(金) 09:40:32.52ID:v7dalpNg0
機動戦士ガンダムU.C.0079 ガラス瓶の中の舟
第2部 手をつないで

 マリモラ・オセチアーナは遠縁の親戚を便り、サイド6のバマコ・コロニーに疎開してきた少女である。
ある夏の日、扶養家族は彼女を置いて休暇に出てしまった。
プライベートビーチにまで、給仕を連れていこうとは考えなかったのである。
「ふぅ......Zzz...」
天気のいい朝、マリモラは悪い気はしなかった。
よそ者の自覚があればこそ、こういう時に気を抜ける。
彼女は庭の白樺の幹に背中を預けて、うたた寝をしていた。
「ばぁ!」
「ひゃっ!......なんだ、ラジーじゃない」
ラジー(ラザルス)は木の枝から逆さにぶら下がって出てくると、
器用にジギタリスの花茎を、マリモラの黒髪に差してやった。
「どうしたんだい?ため息なんかついて」
「(髪に何を差したんだと訝しがりながら)
 あたし、あんたみたいに元気っ子じゃないだけよ。
 知ってるでしょうに」
「せっかくの休暇なんだから、外に出ればいいじゃないか」
「何処に?」
「へへっ」
ラジーはマリモラの手を引いて、駆け出した。
0152ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/05/07(金) 09:47:48.03ID:v7dalpNg0
BGM Zabadak - Лето(夏)
https://youtu.be/Z6iWAQ90M9s

「どっから調達したのよ、こんなの!」
「これでも作業場で顔が利くんだぜ」
ラジーはマリモラをキャトル型のデコプチに乗せ、郊外の街路樹の間を散歩...散歩?していた。
キャノピーを開け、さながらオープンカーである。
(なお本体がプチモビなので、スカート内の足でパタパタと動かしている)。
「はぁ......でも新鮮、木の枝がこんなに目の前にあるなんて」
ラジーは枝に生っている形の悪いマンゴーを獲った。
シャツで軽く拭ってマリモラに差し出すも、彼女は首を横に振る。
並木道はオフシーズンで人が出払ってるのもあり、彼らを咎める大人たちもいない。
「幹より間隔が小さいから、たっぷりフィトンチッドを浴びてリラックスできるよ」
「変わってるわよね、普段はアホ面なのに物知りなんだ」
「将来は造園か、樹木医をやりたいと思ってんだ」
ラジーは手が汚れるのも厭わず、汁気たっぷりのマンゴーに齧りついた。
「生産的でよろしい、はいハンカチ」
「ありがとっ」
自分は何になりたいのか、マリモラにはまだ分からない。
(このまま今の家のお世話をして暮らせないかな、いっそ家政婦は見たとか...フフッ)
ラジーは種と芯をペッぺと外に捨てた。
この大胆さは自分にないなぁ、とマリモラは案外素直に感心していた。
0153ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/05/07(金) 10:24:58.25ID:v7dalpNg0
「わぁ、綺麗!」
マリモラが連れて来られたのは、百日紅と青いアジサイが満開の一寸した公園だった。
「よっと」
ラジーは要領よくビニールシートを敷き、ポンポンと勧める。
「夏の花見ね」
「そゆこと」
陽だまりに二人で横になった。
「あんな塀の中でお世辞を言ったりして、窮屈にならないの?」
「そういうところが快適って人もいるわよ。次男は体が弱いし、三女はドールハウスが世界の半分みたい。
 あたしは三時のティータイムが一番の楽しみ」
「満更でもないんだ」
「多分、好きかも」
「ぼくにはわからないなぁ」
「きっと、一生わからないこともあるのよ...」

「えいっ」
マリモラはラジーの二の腕を握った。
「ちょっ、な、何だよ」
ラジーもそろそろ年頃である。
「うーん......やっぱり凝ってるんじゃない?」
「へっ?」
「動き回ってるわりにストレッチしてないのよ、ズボラなラジー」
「そ、そかな...」
「整体の練習材料、なってくれるかしら」
「せーたい? おっ、えっ、ちょちょちょ...きゃっ、くすぐったい!」
マリモラが花の写真を撮って回っている間、ラジーは突っ伏していた。
まるで体に力が入らなかったという。
0154ダーバン亡命政府 ◆uR8dsBxKL.
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2021/05/07(金) 11:18:44.94ID:v7dalpNg0
「おっと、そろそろ返さなきゃレンタル料を取られちゃう」
時々デコプチのモニターを覗いてると思ったらそれか、とマリモラは悟った。
「先に返却しましょうよ、それから帰るわ」
「悪いね」
「全然よ」
マリモラは満足げで、二人はキャトル型デコプチで工業ブロックに向かった。

ーーーーー

「なんだ、あれ?」
機体に入ったデータを照合すれば隣の24バンチ・クールラント仕様のプチモビと分かるのだが
まだラザルスはその機能を知らず、一先ずカシャッとキャノピーを閉めた。
「何でここにキャトルが?!」
一触即発なのだが、それは不審者たちの方がうんと驚く奇妙な絵面だった。
「見られたからには生かしておけねぇ!」パンパン!
クールラント仕様プチモビ2機中の1機がハンドガンを発砲した。
「うわぁ!!」
咄嗟に機体を左斜め向きにし、マニピュレーターを回して防ぐラザルス。
所謂ディフェンスロッド機構である。
「よせ、相手は子供なんだから」
「そうか、ならば問題はないな」
「問題、ないか...」
どうやら不審者側で勝手に納得したらしく、勝手に退散していった。
「なんだったんだ、あれ」
「ラジー、そこ拡大できる?」
「へっ? う、うん」
モニターを拡大すると、何か四角い物が配管に取り付けられていた。
接着剤が生乾きであることから、さっきの二人がやったことだろう。
「ちょっと見てくる」
「ラジー?!」
マリモラは機体に残った、番というよりも単に度胸がなかったのである。

 やがてラザルスが戻ってきた。
「何だったの?」
「時限爆弾」
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