本件遭難は、主機室の給気ダクト内部の点検が不十分で、左舷補機室側給気ダクト底部の排水用の目皿が閉塞したまま運航が続けられ、外気取入口から浸入して同ダクト底部に滞留した海水が、
船体動揺時に給気通風機に吸引され、主機室内の通風ダクトの吹出口から主機冷却清水ポンプ駆動電動機に降りかかり、同電動機が焼損して主機の運転が不能になったことによって発生したものである。
船舶所有者が、入渠整備の際、工務監督もしくは乗組員に対し、主機室の給気ダクト内部の点検を十分に行うよう指導していなかったことは、本件発生の原因となる。
漂流が長時間に及んだのは、乗組員による復旧措置が適切でなかったことによるものである。