■飛び交う怒号と悲鳴
 「またか、ふざけるな」「人気アトラクションより長い行列ができてる」「東急は遅延証明書を日めくりカレンダーで作れ」「体がちぎれる」――。
15日の田園都市線のトラブルは朝の通勤・通学ラッシュを直撃。
ツイッターでは現場に居合わせた利用者の怒号と悲鳴、焦りの声が飛び交った。
架線障害が起きたのは池尻大橋駅近くで、東急では原因を詳しく調べている。

 田園都市線では10月19日にも停電が起きている。
9月5日には埼玉県内の変電所の障害でJR東日本の山手線、京浜東北線、埼京線が一時運転を見合わせた。
9月12日には東京モノレールでも停電トラブルがあった。

 電気系トラブルが多発している遠因として、現場の人材難を挙げる声が関係者からは出ている。
変電所の点検や架線工事は電鉄本体が直接行うのではなく、電気設備子会社や専業の下請け業者が手掛けるのが一般的。
電鉄会社は就職先として人気があるが、現場作業が中心となる電気設備会社は、重労働とのイメージが強いため、なかなか若い人材が集まらない。
一方で、設備の点検作業を仕切っていた年長者が定年退職で大量に引退している。
人員構成に崖ができた結果、技術伝承が滞り、初歩的なミスが多発する構図だ。

 実際、9月5日のJR東の変電所トラブルでは、作業員の単純な作業ミスが原因だった。
定められた手順を踏まず、電気を止めないままスイッチ類の点検をしたところ、地面に過大な電流が流れ、センサーが異常と判断。
変電所全体が停止する事態となった。