● 無印の反撃と 世論の逆転

 しかし翌3月16日、無印良品(上海)商業有限公司は、同社の公式アカウント上で、報道されている問題は「誤解」であるという声明を出した。中央テレビが指摘している食品パッケージに記されている「東京都」は生産地ではなく同社の本社所在地であって、
今回取り上げられた「ノンカフェインはと麦&レモングラス茶」の生産地は福井県、「大粒卵ボーロ」の生産地は大阪府で、いずれも中国が食品輸入を禁止している放射線汚染地区ではない。
.

 いつもなら、315晩会で社名を出し吊るし上げた企業に対しては、中央テレビ局はその後、行政の立ち入り検査があればその様子、企業責任者の事情説明、消費者の抗議の声などを追加的に報道する。
例えば、イオンに立ち入った行政担当者に対し、中国の現地責任者が日本産の食品の前で「棚から商品を下ろした。現在、産地を再確認している」と説明する様子が報じられた。しかし、中国で最も有名な無印に対しては、なぜか報道はなかった。
無印の出した「誤解」声明についても、中央テレビは報じていない。

 もっとも、他のメディアは、無印への取材を忘れたわけではない。16日、『澎湃新聞』は「上海出入国検査検疫局が提供した情報によれば、無印良品が販売している上述の二つの食品は、それぞれ福井県と大阪府で製造されたことが調査によって確認された」と報じた。「
無印良品(上海)商業有限公司の輸入記録を調べたところ、日本の放射能汚染地区で製造された商品は見つかっていない」とのことだ。

 無印が公然と「誤解である」と声明を出した後、遅ればせながらカルビーも反論をした。
カルビーについては、個人輸入などの電子取引(Eコマース)で人気商品ゆえか、ネットでは何人かのブロガーが輸入禁止の地域から入っている製品はまったくないという情報を明らかにし、小さいながらも“つぶやき”での援護をした。

 かくして、中央テレビの面目は丸つぶれとなった。国営のメディアとして、基本的な事実確認さえ疎かにしているようでは、
あまりにも職業倫理と節操に欠けていると言わざるを得ないのではないか? そんな中央テレビを非難する声が、ネット上に次々に上がった。『新京報』は3月16日、『沸騰』上に掲載した無印良品を叩く記事をひそかに削除した。