● 国営テレビの誤報に反証 破られた暗然の了解

 3月22日現在、誤報に対して、中央テレビは事態の収束に乗り出すことはなく、もちろん日本企業に対する謝罪なども、番組を見るかぎり行っていない。

 誤報に対して謝罪・訂正することは、国営放送の中央テレビを除けば、中国のメディアもきちんと行う。ただし、筆者の感覚としては、中国のメディアも日本のメディアと同じく、
各社の意見の違いがあってもメディア各社の間には「互いを攻撃し合わない」という暗黙の了解はある。中央テレビが間違いを犯しても、その間違いを直接指摘するようなことはしないのが、これまでの風潮だった。

 しかし今回、前述のように『澎湃新聞』はそのタブーを破り、独自の取材によって中央テレビの誤りを正す報道を行った。

 『財新ネット』も同様に、この問題に対して「客観性」を貫いた。3月16日、『財新ネット』は「日本の食品:正規ルートでの購入には何ら問題なし」という記事で、無印良品だけでなく、すべての合法的に輸入された日本の食品を弁護した。
同記事は「日本の食品は汚染されているゆえに、すべて店頭から撤去すべきだ」という根拠のないデマを直接否定した。

 驚くべきことに、中国のポータルサイト大手『網易』は3月17日付で、「誤解は禁物:日本からの輸入食品はどれも安全」という記事を掲載し、『財新ネット』よりもさらに力をこめて日本の食品を弁護した。

 『網易』の記事では、「福島原子力発電所での事故が発生した後、中国は直ちに日本および放射線汚染地区からの輸入食品を締め出した。この禁止措置は国家品質監督検査検疫総局が2011年6月13日に公布したもので、今日に至るまで続いている」と指摘している。