こういう方向の恐怖症克服方法もある。
明治天皇侍従の山岡鉄舟の談話。
「自分がいちばん恐ろしいと思っているものに接近して、これになれてしまうことだ。
初めのうちは、必ず肉体はおののき、神経は震え、普通の精神状態は吹っ飛んでしまうにちがいない。
しかし、しばらくするうちには、自分の恐れに打ち勝とうとする努力が積み重なり、平気でいられるようになるのものだ。
畏れ多いことだが、後光明天皇と申すお方は、ひどく雷鳴を恐ろしがられたのである。
しかし決意されるところがあり、雷鳴の起こるたびに必ず露台にお出かけになられて、きちんとお座りになり、
激しい響きと閃光に接するようにされていると、いつかその恐怖のご性格は消えてしまったとのことである。 」