中東のイスラム系の国に生まれれば一生宗教を信じる事が出来て
死の瞬間まで幸せに過ごせる。例えテロリストになって悪逆の限りを尽くそうとも。

日本等の先進国に生まれてもタナトにならない限りは、死について深く考えない限りは
癌等の死が近づく病にかかるまでは人生を幸せに過ごせる。

タナトになったらそこから一生涯を不幸なまま生きねばならない。
金でも努力でも権力でも決して覆せない死が悩みなのだからこの不幸は絶対に治せない。

最大の不幸である死は結論であり結果だが、その結果に辿り着くまでの過程
つまり人生は嫌でも過ごさなければならないし、
その過程までもを不幸で塗り潰していくのがタナトフォビアなのだ。

結果に達するまで幸福な中東の人達。結果に達するギリギリまで幸福でいられる一般人。
過程の全てを不幸で染められるタナト患者。同じ時代に生まれてもこれだけ差がある。
楽しい事を楽しく感じられず、幸福を幸せと思えず、喜びや快楽を享受しても飲み込めない毎日。
これが、老いて死に消えゆくまでずっと続いてゆく…。