ヒント
銀色の鉄道車両、なぜ増えた? そのメリットと塗装離れの背景

コストが掛かる鉄道車両の塗装

JRや特に首都圏の私鉄では、銀色のボディに色テープを貼った車両を多く見ることができます。
そのため鉄道にあまり興味ない人が見たら「会社や色が違うだけでどれも同じ電車」に見えてしまうことでしょう。

かつて車体に色を塗っていた鉄道車両が、ここ20年ほどでなぜ、銀色ばかりになったのでしょうか。

銀色の鉄道車両の多くは、ステンレス(ステンレス鋼)、もしくはアルミ(アルミニウム合金)でできています。ステンレスは「stain(さび、汚れ)がless(少ない)」という意味で、さびにくい金属です。

これまで車体を塗装していた理由のひとつに「さびを防ぐ」というのがありました。

しかし塗装は、パテを塗って表面を整え、色を塗って乾かして、2色以上塗るならさらにマスキングをして色を塗ってまた乾かして……という作業が必要で、時間と手間がとても掛かります。

塗装を省略できれば、検査日程を短縮できます。
鉄道車両は乗客を運んで初めて利益を生むものですから、ステンレス車両の塗装省略は、鉄道事業者にとって大きなメリットなのです。

また、鋼鉄の車両はさびることを見越して板を厚くしていますが、さびないのであれば板の厚みを減らしても問題ありません。
板を薄くして軽量化すると、走行に要するエネルギーを減らせて経済的というわけです。

アルミは鉄に比べて強度が低いため、ステンレスのように板を薄くすることは難しいのですが、鉄と比較すると比重は1/3ほどであるため、ステンレス以上に軽量化のメリットがあります。
さびについてもステンレスと同程度には強くなっています。

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