――もし現役のJR九州社長だったら、北海道への支援を決断できますか。
「九州の鉄道事業は赤字だから“支援してもらう側”ですよ。
ただ多角経営のノウハウ提供や経営への助言は喜んでやります」


■札幌圏での多角経営、道新幹線の貨物輸送を増収の柱に
――JR九州は不動産事業など多角化で黒字を確保しています。
「努力しましたよ。社員をホテルや飲食店に出向させ、帰ってきたら『何でもやりたまえ』と。
アイスクリーム店やパン店、焼き鳥店。いろいろやりました。『ダボハゼ経営』と言われながらね」

――なぜ成功したのでしょう。
「優秀な社員に関連事業を経験させたからですよ。
関連事業が2番手扱いでは一流にならんですよ。
『(本体の)社長候補が来る』となれば、関連会社の社員も頑張るじゃないですか。
唐池(恒二・現会長)には、焼き鳥店も高速船事業もやらせた。
豪華観光列車ななつ星の食事なんかには、飲食業の経験が生きていますよ」

――JR北海道も関連事業の売り上げが連結ベースで5割近く、力を入れているとの立場です。
「比率より中身が大事です。 JR九州のマンション事業は九州トップですよ。
まだ北海道は本物じゃない。 関連事業の8割方は札幌圏に集中しているでしょう。
僕はJR北海道は三つの事業部に分けて経営するべきだと考えています」

――と言いますと。
「まず札幌圏事業部。 200万人都市圏で快速“エアポート”など鉄道を目いっぱい便利にして、
マンション事業や飲食業など多角経営をやる。 
少なくとも札幌圏の赤字は埋める。

次に、その他の北海道事業部。 
鉄道は絶対にもうからないですよ。 上下分離して線路や施設の維持費は国なり道なりが負担する。
原資に鉄道が黒字のJR他社の収益を充てるわけです。 
極端に利用が少なく社会構造に合わない路線は廃止もやむを得ない」