国土交通省は、コロナ禍で旅客需要が落ち込む鉄道会社の経営改善を進めるため、人件費の削減を後押しする方針だ。

 2022年度から無人券売機などの設備投資に対する固定資産税を軽減し、各社の地方路線維持につなげたい考え。22年度税制改正要望に税の優遇措置を盛り込んだ。

 優遇措置を希望する鉄道会社は、設備投資計画を国交省に提出する必要がある。税の減額は、無人券売機に加え、(1)線路の修理すべき箇所を調べる目的で車両底面に取り付けるモニタリング装置(2)ワンマン運転でも安全を確保するためのホームドアや信号設備―などの整備を対象とする。

 具体的には、22、23年度に導入した設備に対し10年間、税を軽減する。JR、大手私鉄の路線は前半5年を5分の3、後半5年を5分の4に減額。中小私鉄は前半は2分の1、後半は3分の2にする。JRや大手でも、赤字の目安となる「1日の平均輸送人員4000人以下」の地方路線については中小私鉄と同じ割合で減らす。

 鉄道各社は、都市部など人口密集地域の路線で得た資金を活用して地方路線を維持してきた。しかし、外出自粛やテレワークの影響で都市部でも鉄道需要が低下。新型コロナウイルス感染症の収束後も元の水準には戻らないとみられている。JR西日本は収支改善のため、10月に在来線の運行を計127本削減することを決めており、各社でこうした動きが加速する可能性がある。

 全国知事会は8月の緊急提言で、路線の合理化が進まないよう国に対応を求めていた。 

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