真っ暗な線路「灘駅まで歩いてもらいます」…JR信号機故障に「十分な説明ない」と不満も
2021/11/21 15:30

 神戸市のJR摩耶駅で19日夜、信号トラブルがあり、帰宅時間帯に西明石―京都駅間の上下線で電車の運転を見合わせた。復旧のめどが周知されないまま、車内に3時間とどまった状況を乗客が証言した。

 「信号機の故障です」

 兵庫県加古川市の自宅に帰宅するため、大阪駅で新快速に乗車した男性会社員(54)によると、午後8時半過ぎに摩耶駅近くで止まり、こうアナウンスがあった。

 立った乗客もいた車内では、「復旧のめどはたっていません」「座席には交代しながら座ってください」という放送が続いた。

 午後11時過ぎになり、ようやく「降車に向けて検討している」と案内があり、男性は20日午前0時頃、摩耶駅で降り、家族に電話して迎えを頼んだ。

 「いつ、どの駅で止まるかわからず、事前に迎えを頼めなかった」。JRの対応に首をかしげ、「利用者の多い区間。きちんと対応してほしい」と求めた。

 一方、上りの快速列車は三ノ宮駅を出発した後、灘駅手前で停車した。

 乗客によると、当初は「1時間以内に運転再開します」と放送があったが、動きはなかった。乗客は眠ったり、携帯電話で家族らに連絡したりしていたが、その後も動く様子はなく、いらだつ人も出始めた。

 午後11時20分頃、「灘駅まで歩いてもらいます」と指示があり、乗客は線路を歩いて移動した。大阪方面に向かう途中だった神戸市内のアルバイト女性(32)は「外が真っ暗で、どこに止まっているのかわからなかったのに、十分な説明がなかった」と不満を語った。

 乗客は、駅を出てからも、帰宅に手間取った。日付が変わると、ほかの公共交通機関は動いておらず、灘駅前では、タクシー乗り場に長い列が出来ていた。

 JR側は「タクシーの運賃は後日、返金します」と声をかけていたが、「信用できないから紙に書いて約束してほしい」と詰め寄る乗客もいた。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20211120-OYT1T50200/