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古典の舟師はまだまだあるぞ。兵典から:
「武コ中,李靖隨河濶、孝恭討輔公祏。賊一軍舟師三萬頓於當塗,柵斷江口,傍江築城,
又遣陸軍二萬據當塗南路,亦造柵自固,並蓄力養鋭,」

武徳年代に、李靖は河濶、孝恭に随って輔公祏を討った。賊の一軍の舟師三万は當塗に
頓(とど)まり、柵で江口を絶ち、江岸に築城した。また他に陸軍二万を派遣して當塗南路
に據り、これ亦柵を造って自らを固め、同様に力を蓄え、鋭を養った.

「舟師」と「陸軍」が対語として用いられている。いずれも目的地に着いたら築城して立て
籠もった。舟師と言い、陸軍と言えども最終的にやることは同じで、違いは舟で行くか、歩いて
行くかと言う移動手段の差に過ぎない。

「舟師」とは舟に乗った軍隊の事であり、普通の軍隊がたまたま舟で移動するものだ、と私が言う
所以である。以前に「渡海遠征軍」と書いたが、大河なども含むから「水上遠征軍」と言った方が
よい。もちろん江南軍も舟師だ。この語を用いず「兵」と書いたのは一文の中で重複を避けた
からだ。だから分かるようにわざわざ「渡海」の語を添えている。

付け加えれば上記の例で、舟師三万と陸軍二万だから、数から言えば舟師のほうが主力だ。
舟師が補助部隊とは限らないことがわかるだろう。