17条憲法 推古14年(西暦604年発布)
第一条
和を大切にし人と争いをせぬようにせよ。人にはそれぞれつきあいというものがあるが、この世に理想的な人格者というのは少ないものだ。
それゆえ、とかく君主や父に従わなかったり、身近の人々と仲たがいを起こしたりする。
しかし、上司と部下がにこやかに仲むつまじく論じ合えれば、おのずから事は筋道にかない、どんな事でも成就するであろう。

第四条
上級官僚や地方役人は、みな礼法を物事の基本とせよ。民を治める肝要は、この礼法にある。
上の者の行いが礼法にかなわなければ下の者の秩序は乱れ、下の者に礼法が失われれば罪を犯す者が出てくる。
群臣に礼法が保たれていれば序列も乱れず、百姓に礼法が保たれていれば国家はおのずと治まるものである。

第六条
悪を懲らしめ、善きを勧める。ということは、古くから教えである。それゆえ、人の善行はかくすことなく知らせ、悪事は必ず改めさせよ。
人に媚び、人を欺く者は国家を転覆させ、人民を滅ぼす鋭い剣ともなる者だ。
また、媚びへつらう者は、上の者には好んで下の者の過失を告げ口し、下の者に会えば上の者を非難する。
このような人々はみな君に対して忠義の心がなく、民に対しては仁愛の心がない。大きな乱れのもととなることだ。

第十一条
官僚の功績や過失をはっきりさせ、それにかなった賞罰を行うようにせよ。
功績によらず賞を与えたり、罪がないのに罰を加えたりしていることがある。政務にたずさわる者は、賞罰を正しくはっきりと行うようにすべきである。

第一七条
物事は独断で行ってはならない。必ず皆で論じ合うようにせよ。些細なことは必ずしも皆にはからなくてもよいが、大事を議する場合には誤った判断をするかも知れぬ。
人々と検討しあえば、話し合いによって道理にかなったやり方を見出すことができる。